木を植える冒険者①
短めです。
◇◇◇
ゴミ拾いを一通り終わらせた俺たちは、終わったら来るようにと言われていた指定の場所へ向かう。
何人かの人がもう待っていた。
快活な男性たちは、俺たちを労いながら、集めたゴミを手際よく回収していった。
その男性たちに混じって、一人だけ、高級そうなドレスを着た、金髪の女性がいて、黙々と作業をしていた。
きれいな人だったけど、愛想なくぶすっとしていて「こんな仕事、嫌で仕方ない」と、全身から訴えているように感じた。
どう見ても、この場には、そぐわない。
監督スタッフかな?
男性たちと金髪の女性は、回収したゴミを持って、引き返していく。
最後まで女性は無言だった。
メガネを掛けた市長の代理人が、にこにこと俺たちに話し掛けてくる。
「お疲れさまでした。では、次のお仕事です」
すぐに彼は、たくさんの黒い種が入った袋を渡してきた。
「白葉樹の種です。これは、フィルヒナーのシンボルでしてね。その種を、こちらが所定する場所に植えていただきます。
主に街角、公園、畑ですね。箇所は多いですが、3人いらっしゃるようなので それほど手間はかからないでしょう」
マアトは数に入ってなかった。そりゃそうか。
自分だけ仲間外れにされた彼女は、ちょっとむくれているように見えた。
「種をすべて植え終えたら依頼達成ですので、ギルドに報告してください。では、よろしくお願いします」
代理の人は、用件を伝え終えると、ぺこっと頭を下げて、急ぎ帰っていった。




