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30代ニートが就職先を斡旋されたら異世界だった件。  作者: りんご
第四章 戦いは唐突に
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街の美化運動


 ◇◇◇


 たくさんの人がまぶしそうに目を細めて歩く中、俺たちは地面と格闘している。


 街に戻った俺たちは、今日もサーシャさんのクエストに4人で協力することになった。

 彼女の受けたクエストは『街をきれいにする』という何ともアレな依頼だ。


 具体的には、落ちてるゴミを拾ったり、木々を植えたり、街の人にわかってもらえるようにポスターを貼ったりする。

 受付のおねえさんが言ってたことがなんとなくわかってきた。

 こんな仕事、ふつうの冒険者は、やりたがらない。

 ちなみに依頼主は街の市長になっていた。


「思ってるより、多いんだよ。大変だから、気をつけてね」

「はい」

「ゴミ拾いなんて、ひさしぶり。ちょっと楽しみかなー」

「がんばるー!」


 ギルドから掃除用具を借りてきてくれたサーシャさんの号令で、みんなが動き始めた。

 街はゴミって少ないのかなと思ってたけど、改めて見てみると、結構、落ちてる。


 若い冒険者の男が、パンの包み紙をぽい、と無造作に捨てていた。

 ……なるほど、ああやって増えていくわけだ。

 塵つも、ってやつか。


 紙くず、木の端材、小さな鉄くず、土の塊。

 意味の無いことな気もしたけど、誰かがやらなければ、増えるばかりだ。


「誰にゃ! マタタビを捨てたのは! こんな素晴らしい御方は もっと殖えろ!」


 フランさんは拾った枝切れをフンフン嗅いでいる。

 通りがかった街の人が、叫ぶフランさんを避けて歩いていった。

 ……あの人は、よくわからないな。


 サーシャさんが、マアトの面倒を見ながら、一緒にゴミを拾っていた。

 俺も黙々と拾う。


 街には、乾いた土の塊が いっぱい落ちていた。

 特に建物の窓の下にあることが多い。

 それを素手で拾って、かごに投げ入れる。


「あ、」

「え? なんですか?」

「う、ううん。なんでも、ないよ。その、あとで、ちゃんと手を洗ってね?」


 サーシャさんは、言い噤んだ。


 視界の端では、マアトが俺と同じように屈んで土を拾おうとしている。

 サーシャさんが駆けていった。マアトがきょとんとしている。


「なぁに、おかーさん?」

「その……て、手袋をしようね」


 まあ、素手で触るのはよくないな。

 俺も手袋をはめて、ぽいぽいと拾っていく。

 4人で協力したおかげか、ゴミ拾いは、そこまで手間取らなかった。

 


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