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5話 D-1 宮乃 陽御壱

少し自分勝手な子です。

 M組8番 宮乃陽御壱 男 15歳


 誕生日 1月1日 山羊座 AB型


 成績優秀。スポーツ万能。委員会や生徒会に所属し、リーダーシップをよく取る。


 担任の平均評価「クラスをいつもまとめてくれるので助かります」

 友人の平均評価「自己中だが頼りがいが有り引っ張ってくれる」

 両親の平均評価「常に見張られているようで怖い、ミスを許さない」








 世には悪がいるらしい。死ねばいい。


 世には正義がいるらしい。消えればいい。


 そのどちらかあやふや? そうか。


 なら俺に従うといい。なぜなら俺が「絶対」なのだから。













 ラシューニュー、エーピア国。ここはファンタジーでお馴染みの王様や貴族や騎士のいる国だ。

 100年以上前のギャレイデンとの戦争のあとに、疲弊したジリベリデン帝国から80年前に独立した。初代国王カラ・ザイス・サットシーは苦しむ人々を集め、それぞれが安定した生活を送れるように尽力した善王だと言われ、その時に協力をした6人の人物の子孫が貴族となり、帝国に対して独立戦争を仕掛けその時に軍を率いた英傑の子孫が騎士となっている。

 王家と貴族達により政治は行われ、騎士は軍の役割を持つ。帝国はやがて崩壊し、早くから立て直していたエーピアはラシューニューでもトップの豊かさを持つことになった。

 今では治安の悪いところは少なくなっており、首都の活気も衰えていない。


 首都ツーデンス。その警備を担当する騎士のケレイル家。その現当主コーザ・ケレイルは今日も書類仕事に追われ徹夜していた。

 彼の悩みは尽きない。魔術による犯罪、奴隷の非公式売買、防諜の強化、九凶星事件により増えた破滅論を唱える宗教団体。いくら治安は向上したとは言え次から次へ問題は起きる。

 あまり言えたことではないが他の騎士の家や王家、貴族はお家騒動の嵐で宛にならない。この広い首都の警備のほぼ全てをケレイル家が担っているようなものだ。先日も甥が二人倒れた。街の人々からは常に疲れている貧乏くじ一家と言われている。それをいちいち気にしていられるほど暇でないのは確かだ。


「旦那様!! 失礼します! ヒオ様が!! 何とかしてください!!」

ノックもせずこの屋敷で働いている執事が入ってくる。その声が頭に響く。


「……分かったすぐ行く。妻も起こしておいてくれ」


「はい!!」


 慌ただしく走っていく執事。走るなと言っているのに。こんな早朝からなんだというのだ。いや、大体の事情はわかる。コーザの今一番の悩みの種だろう。


 長男であるヒオ・ケレイル。今年で8歳になる息子は甘やかしてしまったためにだいぶやんちゃになってしまったのだ。





 家族が使う食堂では何やら俯いたメイドと腕を組みそれを見上げている少年がいた。


「ヒオ! 一体どうしたというのだ。こんな朝から」


「父上! このメイドが私の言いつけを破ったのです。もうミスは許さないと言っていたはずなので解雇を言い渡しているところです!」


「何を言っている? ニーナが何をしたというのだ。ニーナ、話してくれるかい?」


「待ってください父上。先にこの金食い虫に話されては私の発言力が弱まります。ここは私から話させてください!」


 メイドを指差しそう言う息子。この二人はそんなに仲が悪いとは思っていなかったので少し混乱する。最近になって息子はこのようにはっきりと何かを言うようになっていた。昔は無口だが素直な子だったのにと成長を喜ぶ反面コーザと妻、ラーザはよくため息をついていた。


「金食い虫だなんて! ひどいですお坊ちゃま! 私はちゃんとこの家で働いています!」


「フン! 私以外の前でか? 貴様が何かしているところを見たことがないぞ!!」


「……待てヒオ。つまりお前はニーナが仕事をサボっていると言いたいのか?」


「そうです父上! この女はほどよく手を抜き仕事を他の者に押し付けているのです! 今日は洗濯物を洗わずに干していました。昨日の分を洗い忘れたのでしょう。

 その前は食事の残り物を使い次の日の食卓に並べたのです!! そんなものを父上と母上に食べさせる気か貴様!!」


「はあ……ヒオ、彼女はよく働いていると私は思うぞ? それにその程度の失敗は誰にでもあるだろう。その食事だって私達に影響はなかった。むしろ余り物もちゃんと使った彼女を褒めるべきだろう?」


「そう父上はおっしゃられるとは思っていました。ですがその原因がダメなのです!」


「ヒオ!! 話は聞きました! ニーナさんは優秀な子です。こんな小さいミスくらい許しなさい。あなたも騎士の血を継ぐものなのだから」

 

 そう言ってコーザの妻でありヒオの母ラーザがやってきてヒオの前に膝をつく。そして彼の両肩を掴む。


「……母上。フン! 母上がそういうのならこの悪を見逃してあげましょう。だがその優しさがこの女のような奴につけ込まれるのです。そのことをお忘れなきように父上。私はこれから出かけます。夕食はお先にどうぞ」


「ヒオ!!」


 そう言ってヒオはラーザが止めるのも聞かずに出ていった。


「ふう。そういうことだ気にするなニーナ」


「えっ? あっはい。……有難うございます」


 バツが悪そうにしていたニーナはまた仕事に戻っていった。ハラハラしながら様子を見ていた他の者達もまだ食事の用意が出来ていないことに気づき慌てて戻ってしまい広い空間には当主とその妻が残された。

 

「あなた、どこかで育て方間違えたかしら?」


「気にするな。男なら誰でもああいう時期がある」


「キャラミューが起きていなくてよかったわ。あの子お兄ちゃんの真似ばかりするもの」


「ははっ、嫁の貰い手がなくなるな」


「笑い事じゃありませんよ。もう」


 二人の重いため息が小さく響いた。



「災難だったわねニーナ」

 メイド達用の休憩室。そこで同僚にニーナは励まされていた。


「ったくほんとよ。ふざけんじゃないわよあのガキ。チクリやがって」


「でもアンタがサボってるの見つかるなんてね。なんか目つけられることでもしたの?」


「……ないわよ。皆サボってんじゃないの!! なんで一番評価の高いアタシなのよ! 糞! 糞!」


 机をニーナは叩き始める。彼女は気に入らなかった。この職場は緩いことで有名で、仕える屋敷として選ぶなら誰もがケレイル家を選ぶほどである。少なからずここの使用人はサボっている。一番真面目に彼女が見られているのはそれを誤魔化すスキルが一番高いからである。


「糞っ!! あーむしゃくしゃするぅ~! ……あれ? アンタアタシのクローゼット開けた?」


「無理でしょ? 誰があんとき食事作ってたと思ってんの?」


「あっ!!? まさかあのクソガキいいいいい!!!」











「あったよヒオ」


 屋敷の門を出て向かった住宅街。石造りの塀の上でヒオに袋を差出してくる女の子。

 その格好は服一枚で下は素足で汚れている。髪もボサボサであるがその頭部からは人ではない耳が生えている。

 ヒオは慣れた手つきで塀を登りそれを受け取る。


「よくやったなヴィラ。誰かに見つかったか?」


「いんや誰もいなかった。本当にどうやったの?」


「フン! 陽動も兼ねて断罪しようと思ったが失敗した。家族が平和ボケしていては困るものだ」


「そりゃぁアンタみたいなガキが何言ってもあんまり信じられないんじゃない」


「常識で俺を語るな半獣。これでも我慢したのだ。成長したと自分で自分を褒めたい」


「はいはい。半獣の孤児を友人としている奴を常識とは思ってないよ。んでこれは何?」


 そうヴィラがヒオの肩に顎を乗せて聞くとヒオはその袋から2cm程の緑色の塊を出した。


「マリャッカル。大人の食べ物だ」

 マリャッカルとは食べると魔力によって脳に快感を与える、特別な木の種だ。食べた本人の魔力を消費するために15歳未満の服用は禁止されている。

 また、その快感を求め中毒者が続出し魔力切れによる廃人が増えてしまい、規制をほとんどの国が掛けていて、手に入れるのは今は難しい。

 あの女も裏のつてで入手したのだろう。


「そんなものをウチに盗らせたわけだけどどうするの?」


「フン! 決まっているだろう。食う」


「えっ? 未成年は禁止されてるんだろ?」


「俺は違う」


「……何を言ってるんだ?」


「まあいい貴様も知っておいて損はない食え。俺たちがおそらくこれから戦うべき敵だぞこれは。いや味方か? ククク」


 そう言ってソレを口に含むヒオ。無言でそれをもう一つヴィラに差し出してくる。

 少し躊躇ったがヴィラはそれを口に入れた。少し体が熱くなってきたかと思うと頭がボーっとしてきた。


「なんかフワフワするぅ……」


「そうか。麻薬とはまた違うようだな」

 そう言ってヒオは一つマリャッカスを袋に戻した。口に含んだフリだった。


「ああっ!? ウチにだけ食べさせたなあ!!? ひどいぞぉっ!!」

 半泣きになって立ち上がったかと思うとヴィラはふらついてヒオに覆いかぶさる状態になる。


「酒に酔うようなモノか。アホが。俺は法律を破らん。毒見ご苦労。帰っていいぞあとは俺がやる」


「んにゃあああああああっ!! 納得できなあい!! おまえンち忍び込むのも学校に忍び込むのも大変だったのに!! 自分は家で寝てたくせにいい!! この鬼……ふにゅうぅぅぅ」


 バタバタとヒオの上で暴れ始めるヴィラ。だがヒオがその頭を撫で始めると大人しくなった。


「ククク俺に逆らうのかヴィラ? 貴様を虐めから救ったのは俺だ。貴様の心を所持しているのも俺だ。貴様は俺に依存していればいいのだ。俺こそ絶対だ」


「うん……感謝してるよ。できるだけそばにいさせてヒオ。もっと撫でてくれ」


「フン! 注文の多いやつだ」


 安らかにされるがままのヴィラ。その頭を撫でるヒオイチは笑っていたがその瞳は冷たかった。




 







 エーピア国立ツーデンス学園。国内でも有数の国が立てた教育機関である。一般教養から歴史や計算、生物学をほぼ全ての者が学べる。

 希望するものは法律を学び政治に携わることや、訓練を受け騎士の称号を得て従軍、魔術を学びさらにこの世の見聞を広めることを選ぶこともできる。もちろんそれなりの学費を要するが。

 エーピア国が先進国となっているのもこの教育のおかげであり外国から学びに来る者も多い。

 実力を持つものを優遇し、貴族や騎士による奨学金制度も存在する。この学園の卒業生という肩書きは将来有利になることが多かった。所謂エリート校である。


 そんな学園であるが今日は普段は落ち着きのある生徒たちも興奮していた。

 なぜなら、小さな町ほどの大きさのあるこの学園のあちこちに落書きがされていたのである。そのどれもがこの学園を誹謗中傷するようなものばかりで、あるものは僻みや妬みだと優越感にひたり、またあるものは純粋に激怒した。


 ここは専門コースである魔道学を学ぶ教室。窓の近くにある席で一人の少女は無言でその向こうの建物、それにデカデカと書いてあるモノ、必死に業者が消している件の落書きを見ていた。


「クリン。君は落ち着いているね。学校中大騒ぎだというのに。あの普段は鉄仮面と言われてるコロゾ先生の驚いた顔を見たかい? 傑作だったよ」


「いえ。私も内心では驚いていますよダレイブ。ただ犯人について考えていただけです」


 眼鏡を掛け真っ直ぐに金髪を伸ばす少女――クリンは同じクラスの赤髪の少年ダレイブに淡々とそう返した。

 専門コースに通うには少なくとも3年学ぶ必要があるがこの二人はたった1年半、12歳にしてこのコースに進んだエリートとしてこの学園でも有名だ。現にこの二人の話す姿をある者は羨望の目で見つめ、ある者は嫉妬の混じった目で睨んでいる。


「犯人か。我が校の先生が探せぬ犯人に心当たりでも?」


「ありません。ですが少なくとも外部犯でしょう。学園に入るには能力検査ゲートを使う必要があり、学校側もそれで生徒の出入りを把握しています。

 あれだけの量の落書きを行うのは並の人間ならば不可能。魔法やスキルを使わぬ場合一晩だけでは足りない。そうなるとこの学園内に犯人がいるならばかなり限られた人物となります」


「いるならばそれは僕ら……

「見つけたぞ!! クリン! ダレイブ!! 貴様らが犯人だろう?! ははははは!」

 ……ってことになっちゃうね」


「まあ正確にはこのコースの上位に位置する者か騎士や貴族コースの上位でしょう。……その場合先生たちがすぐに発見できそうですから私は外部犯だと言ったのです……が……」


「貴様らこの私を無視する気か!! この騎士であるキリル・ゴサケレイルを!」


 取り巻きを連れてクラスに入ってきた男。胸のバッジを見るに騎士コースの生徒だ。専門コースに通うのにはそれなりの成績が必要だ。だがこの学園は卒業する年数が決まっていないため、お金をかけて通い続ければ基本的にどのコースにも進むことができる。

 そのためコースの下位の成績地帯ではこのようにコネと金で入ってきたような頭の弱い者も多い。

 騎士を名乗っているが正確に言うとこの男がその称号を持っているわけではない。その資格は試験に受からなければならないからだ。にもかかわらずそう豪語するのは苗字からしてこの地の警備を任されているケレイル家の分家だからだろう。実際の騎士たちからすれば苦笑ものだ。

 それにこの国では魔法使いと騎士の仲が基本的には悪いのだ。魔法を扱うものからすれば騎士は猪で、騎士からすれば魔法使いは卑怯者。近年ではその考えは減ってきていて交流を図ろうとする者もいることにはいる。だがまだそれは少数派である。


「なんのようですか? 犯人を探しているなら私たちは違います。夜通しサークル活動で研究室にこもっていましたので。他のクラスの生徒とチャクレイ先生に聞いてもらえれば分かるはずです」


「はっ!! 見苦しいな! 犯人は決まってそう言う!!」


「別に無実でも否定すると僕は思うけどね」


「あなたの勘違いです。授業が始まりますよ。送って差し上げましょう『キリル・ゴサケレイル』、『自分の部屋にお帰りなさい』」


「なっ!!?」


 そうクリンが呟いたと思うとその騎士もどきは消えた。リーダー格を失った取り巻きたちも驚いてあたふたしたあと、魔道学コースの生徒たちに睨まれ退散していった。


「魔女に名を名乗るとは正気を疑いますね」


「あはは、あの言葉のあとに彼の部屋に送ってあげるのがクリンらしいね。30分は掛かるだろう可哀想に」


「……それで犯人なのですが」


「おお。戻すのかい」


「クリンちゃん! ダレイブくん! 落書き見た?!! いやーすごいすごい! 誰だろうねこんなこと考えるバカは!!」

 そう言って紙の束を抱え駆け込んでくるくせっ毛の茶髪の少年。政治コースに入っているコロッサだ。ほぼ貴族しかいない政治家を平民でありながら目指している。


「もう授業が始まるけどコロッサ」


「えっ? ああ嘘っ!? まあいいや! こんな日に授業を受けるのも無い無い!! 見てくれ落書きを目撃情報から全てまとめてきたんだ! ほぼ消されちゃったから苦労したよ!」


「我が校の悪口を纏めるなんてよくやるよ」


「本当ですか。見せてください。早く。すぐに」


「おっ? 食いつくねクリンちゃん! はい!」


 そう言ってコロッサはクリンの机に紙束を広げる。それは30枚以上あるようだ。クリンはすぐに揃えると捲っていく。その目は真剣そのものだ。


「ん? これだけなのかい? ボクが見た限りだと校庭に、寮に、飼育小屋に、誰かの下着にと百はくだらないけど」


「数自体は多かったんだけど実は種類は限られてたんだ。ネタ切れでもしたのかな? ハハハ、見てよこれなんかナナル先生の婚活事情について書いてある! 落ち込んでたなあ彼女!」


「……これは……そういうことですか」


「どうしたんだいクリン?」


 何かに気づいた彼女は紙の順番を変えまとめる。そしてその落書きの左上の文字を指差す。


「コロッサ。このメモの内容は書いてあった状態のままなのですよね?」


「うん。一応そうだよ。変な改行多かったけど……え? まさか……」


 クリンがその束を立て一枚づつ手前に倒していく。その左上の文字だけを読んでいくとある文章が出来上がった。



 

 『次代を担う者たちよ集え、今ここに我らが正義を示さん。――古の騎士』


 


 メモすべてが机に倒れた。クリンはまたそれを立てる。そして今度は右上を指差す。




 『この国なりし時、全ての始まりの場所にて待つ。夜が来る前に集まられたし。』



 紙を捲る音が止む。三人はしばらく無言だった。


「これは? 暗号? 犯人の目的はこのメッセージを届けることかい? よくわかったね」


「落書きの文章それぞれに何かしらの数字が入っていました。その順番に直しただけです」


「わおホントだ! 初代学園長の童貞卒業の年齢なんて書いてあってそっちばっかり気が入ってたよ!」


 クリンは目を細めた。

 このメッゼージは一体何のために書かれたのだ。何かを集めるためのものには間違いない。何を。いや誰を。どんな人物を対象としてこの言葉は送られたのか。


 まず、この学園に通う者。このツーデンスにはこの学園以外にも教育機関はある。しかし、落書き事件がおこったのはここだけだ。

 次に、数百箇所に書かれた落書きを調べそれを整理することのできる者。この時点でかなり限定される。そんな情報収集能力を持っている者等希だ。クリンでさえコロッサがいなければこの時間で推理することはできなかっただろう。

 そして、語学が堪能な者。落書きはこの国の言葉だが並べられた暗号はこの国が帝国の一部だった時に使われていた言語だ。勉強しているか家が古いものでなければ読めはしない。

 最後に、この怪しいメッセージを読みその集合場所へ限られた時間までに行くという勇気と決断力を持つ者だ。


 

「これを書いた者は革命でも起こすつもりですか」

 メッセージの内容からそう推測するのも無理はない。


「案外……いや、そうかもね」


「……すんごい気になる。他に誰か気づいたかなあ?」


 男二人も十分に考えているらしい。

 三人はとても迷っている。そうせざるを得なかった。ただのいたずらである可能性は低い。こんなことのために学園のセキュリティを破る必要があるのか。破れるのにやることは落書きだ。

 それにせっかく気づいたものを無視できなかった。好奇心だ。この手紙の主は一体どんな人物なのか。


「古の騎士、ですか……初代国王カラ・ザイス・サットシーは……」


「とある場所で初代六貴族と四大騎士と誓いの儀を行った……」


「……ヲーゼヌン・クィーンの生命の泉だね!」


 その日学園の優秀な者たちが授業を一斉に休むという前代未聞のちょっとした事件が起こった。








 学園より半日かかる郊外にその泉はある。水霊ヲーゼヌン、その女王が住んでいたとされ、今は生物保護区になっている公園だ。

 途中、貸し馬屋で馬を借りていこうとして行き先を告げると料金がタダとなった。『古の騎士』の権力にも泉へ向かうルートを把握されていることにも驚かされる。

 魔術転移門で近くまで行くことができるがそれでは足がついてしまう。街を外れた場所で移動手段を売るところを利用する人は様々で、お忍びの貴族もよく利用する。その為料金を払うことにはなるが口止めを図ることができる。その口止めもタダだと言われた。このルールがクリンは嫌いだったので顔をしかめたが。


「おっどろいたなあ! 今日だけで濃い事がいっぱいだよ!!」


 馬に揺られコロッサが興奮しながら言う。


「魔術転移門は生命の泉のとこだけ点検中だったね。歩いても間に合わない。自然とこの馬を使うことになるわけか。恐れ入ったよ!」


 ダレイブも興奮を隠せないようだ。学園をサボることも初めてだったし、何より自分達が正解を選んだような満足感を得ていた。


「……そうですね」


「なんだい? まだあの口止め制度に怒ってるわけかい?」


 クリンは表情を崩さずに前をぼうっとして見つめている。


「いえ。いえ。……ああ、まあそれはいいです。私は少し帰りたくなってきました。さっきのあの出来事で騎士が相当な権力か財力を持っていることがわかりました。仮に『彼』と呼びますが、さらに彼が馬に乗れる人物を欲していることもわかりました」


「……それが?」


「彼はおそらく……騎士団、軍隊を作る気なのかもしれません」


「ええっ!!? 無理だよ僕!!」


「まあ、馬車で来るという手もあるので私が単純にそう思ったということです」


 ダレイブは沈黙し、コロッサは顔を青くする。だがここまで来て引き返せるかというと否、だ。


 泉の女王像の前には同じ学園の生徒であろう者たちが集まっていた。上級生や下級生もいる。教師はさすがにいないらしい。その数は30いかないほどだ。


「クリン。あれ」


 馬から下りダレイブが指差す方を見れば、そこには学園トップの成績を誇る政治コースのゼラ・ノイス・サットシーがいた。この国の王族である。彼はクリンの視線に気づくとこちらへやってきた。


「どうもクリン・トトラ。私の誘いは断るのにこんな趣味の悪いパーティの招待は受けるのかい? ああ、いやすまない。単純に気になったのだ。慎重な魔女のあなたがここに来るとは思っていなくてね」


 この男は王族ではあるが王位継承権を持たない。この男のもとで卒業後働かないかと誘われたのだがクリンは断った。成績は全て彼の力であるため、尊敬に値する人物ではあるがその分慎重さが足りない。

 ついて行ったら巻き添えになりそうだと思った。そして、この男は人の上に立つことには向いていなかった。自分の考えが薄いとでもいうのだろうか。


「いえ。ただ乗り遅れたくなかっただけです。何が起こるか興味がありました。ゼラ様はどうお考えでしょう?」


「うーん。私もそんなところかな。悪い奴なら捕まえたかったのだ。先生に報告しようとも思ったんだがマリップホンプに止められてね」


 クリンはゼラの後ろにいるクリンよりも小さな少女、前髪で目を隠しローブを羽織る魔女マリップホンプを見る。

 彼女は同じコースに所属しクリンと同じく仕え魔を目指している。仕え魔とは雇われたところ専属のボディガードのようなもので研究費用や生活費を面倒見てもらう代わりに、その家で魔術を教えたり薬を作ったりする。

 クリンとマリップホンプはなにかと衝突することが多かった。成績も勝っては負けてを繰り返している。ゼラに今仕えているように見えるのもクリンが誘いを断ったからである。


「……マリップ、あなたはどう考えていますか? この件については」


 クリンの後ろで男二人が苦笑いを浮かべる。


「はあ? 別に何も考えてないですケド? 面白そうだから来ちゃったって感じ?」

 返ってきた言葉はクリンを煽るものだった。


「……真面目に答えてください」


「いやいや真面目だし。超真面目だし。クリクリこそ真面目に考えたら?」


「クリクリとは誰ですか? コレッゾの内蔵の匂いを嗅ぎすぎてついに幻覚が見え出しましたか?」


 ゼラ一人だけでここにたどり着けるはずがないのだ。そういう点ではクリンは彼女を認めてはいる。口調も性格も気いらないが。


「こいつらはなんでいつも仲が悪いのだ?」


「さあ、ボクからはなんとも」


「あははは……」





「クリクリ。そろそろだよ」


「ええ」


 言い争いをしているともう夕暮れが近づいていた。男たちは他の者たちと話し込んでいる。情報収集に励んでいるようだ。王族はただ話しているだけだが。

 不意にマリップホンプが携帯杖でクリンの尻を叩く。


『ハロハロー。聞こえる?』


『急な念話はやめてください。それで?』


『多分大方の予測はそっちとおんなじ。あのアホ、先生とか騎士に報告しようとしたから止めたわ。ワシ一人で来ればよかったし……。でも後でうるさいんだよなあ。マジ最悪』


『報告していたらどうなっていたと思いますか?』


『別の学校に誘いが行くと思う。古の騎士の狙いは未成年だし。それであちこちの学校で噂が立って結局古の騎士無しで馬鹿ばかりの組織が作られることになるはず。あいつ自身が関わることなく。だからいきなりコンタクトとってきそうな今回を選んだ。ぶっちゃけワシもうすでに陥落しちゃってるし。騎士すげくね?』


『早い鞍替えでしたね。……それで気づいてますか? あれ』


『もちろんだし。ワシ舐めすぎ』


 二人の見つめる先には本を読む少年、それも8歳位の子がいる。その体には魔力による認識阻害が掛けられていた。二人の視線に少年は気付くと本を閉じた。広場の階段を登り、そして夕日をバックに女王像の前に腕を組み立った。


 そこまで行くと周りのものが気づき始める。こんな子供は知らない。下級生に確認を取る。やはり知らない。


 ――まさか。そんな考えを誰もが飲み込んだ。



「よく集まってくれたぞ! 次代を担う者たちよ!! 俺が貴様らを招待した者だ!!」





 辺りを静寂が包む。この場の全員がその言葉を頭の中で何回も繰り返した。その少年は無表情に生徒達を見渡す。


「――証拠は?」

 誰かが呟いた。


「遅いな。俺なら今ので貴様らを半壊させてやる。証拠か……そうだなまず俺の名を名乗ろう。

 俺の名はヒオ・ケレイルだ!! 疑うなら名前を開示してやる。鑑定でもなんでもスキルで確認しろ」


 確認可能なものはすぐさまスキルを使い確認する。今この子供はケレイルと名乗った。四大騎士の家系だというのか。


「クリンちゃん?……どう?」

 視線を少年から逸らさずコロッサが聞く。


「本当です。ご丁寧に家系図まで。現当主の息子だそうです」


 その言葉に全員が息を飲む。と同時に納得した。してしまった。

 いやだが待て、いくら騎士の中でも最上級の家柄だとしてもあんなことが可能なのか。


「あの落書きはどうやったんだ!! なぜバレない!」

 また誰かが聞く。聞きたいことは皆同じだ。


「フン!」


 呆れたようにその少年は笑うと手を一度叩く。


「!? うわあっ!?」

「きゃっ!?」


 驚くのも無理はない。少年の拍手と共に100人以上の人影が彼らの周りに集まったのだから。


「半獣……?!」


 さらに驚くべきことにそれらの人影は全て半獣で構成されていた。


「こいつらは全て能力の登録されていない孤児だ。いくらゲートに引っかかろうが記録にないものを探せはせん。それに貴様らの学園の教師はそれどころではなかったからな」


 少年が今度は指を鳴らすと半獣たちは再び姿を消した。この遮蔽物のない湖畔で一体どこへ消えたのか。


『まずいですね』

『まじやば』


 一度敵の武力を意識してしまえば弱気にならざるを得ない。相手はこちらの倍の数。それに加え能力を登録していないということは個人情報を持たないも同然。犯罪歴がつくことも厭わない。

 そしてさらに問題なのが相手が半獣ということである。人間と違う部位を持つものを基本この国の人々は半獣と呼ぶ。遺伝子の関係で普通の両親から先祖帰りとして生まれることがあり、その多くは障害者としての扱いを受け、捨てられる者も多い。そのことから半獣は人間を憎んでいるという考えが一般的に根付いている。

 実際に知識がある者が多いとは言え、彼らを見たことで青ざめてしまっている生徒も数人見受けられる。


『ペースを握られましたね。どうします』

『ワシ傍観するわ。ちゃっちゃか質問しちゃって』


 クリンはマリップホンプの足を軽く(・・)踏むと質問した。


「それどころではないとはどういうことでしょう?」


「名を名乗れ女。俺には貴様らすべてが同じ人間にしか見えん」


「……」

 クリンは名乗らない。今名乗るわけにはいかない。名前の大切さは魔女である自分がよくわかっている。初めに名乗ったコイツが規格外なのだ。


「失礼なやつだ。まあいいだろう。今朝落書き騒ぎとは別に職員の間にある事件が起こったからだ!」


 そう言って少年は何かの箱を投げる。それをクリンはキャッチする。


「開けろ」


 ダレイブとコロッサとアイコンタクトを行い、いつでも対応できるようにする。しかし開けるとそこには綺麗な緑色の種のようなものがあった。それを見た全員が驚く。それが何か知っていたからだ。


「……!! これを一体どこで? まさかあなたの家は……?」


「そこに考えが飛躍するか。貴様身内を疑わないだろう? 甘いな。

 フン! 簡単なことだ。それは今朝その職員室で見つかったものだからだ。」


 それだけで生徒たちは察する。察してしまう。なぜ規制されているはずのマリャッカルが医療施設もない自分の学校にあるのか。


「だが優秀な貴様らはこう思うだろう。学校にあった証拠はないと。ククク。だが気づけ、そこが問題ではないと!! なぜこの国にそんな大量のソレがある?! なぜこんな少年がそれを持っている?!!」


 もうほとんどが飲まれてしまった。まだ声変わりもしていない子供にだ。この場の誰もが彼の、ヒオ・ケレイルの言葉の続きを待った。


「今この首都にその種を密売している者たちがいる!! なぜか!!? そんなもの貴様らにはいくらでも予測できるだろう?! 金儲け! 権力争い!! はたまた外国の陰謀!!

 だが理由などどうでもいい! これは違法だ! 国に対する、民に対する冒涜だ!! 俺は騎士の家に生まれた者として、一人の民として許せない!! だが当主たる我が父君は8歳である俺の言葉を信じようとはしなかった!!

 そこで貴様らの力を頼ることにした。次世代を担う者たち。この国を将来動かしていく者たちよ!」


 そこで一旦ヒオは言葉を切る。目的は伝えた。あとはどう返事がくるか。


「少年。いやケレイル殿。私はゼラ・ノイス・サットシーという。これでも王族の端くれだ」

 ゼラが語る。

 クリンは慌ててマリップホンプを見るが彼女は口笛を吹く。


「ほう。他の言葉はいらん。返事をしろ。立ち上がるのか! 無視するのか!」


「私は王位継承権を持たない。だがこの血には善王のものが流れている! 私は民のために何かしたい!! 未成年、それだけが壁だった!! だが今、国がこんなことになって黙っていることなんてできない!! 協力させてくれ古より続く誇り高き騎士よ!!」


 次々に賛成の声が上がる。その声は男のものばかりだ。


「なぜ、このことを公表しなかったのですか。あなたの力があればそれくらいはできるのではないですか?」


 その中でクリンは言葉を絞り出した。


「俺が、いや8歳の子供がその種を汚い権力者に持っていくとする。何が起こるかわからぬ貴様ではあるまい? その種の服用が禁止されているのは未成年だ。成人が受けているのは流通の制限のみだ。奴らは何もせずに快楽を得るのだぞ? それに――」


 しまったとクリンは思った。うまく誘導されてしまった。


「何を貴様らは迷う? 間違いがどこにある? 誰が困る? 平和に暮らしている民がどう困る?

この腐った種を滅ぼして困るのは誰だ!!? 快楽を貪る大人だ!! 私腹を肥やす貴族だ!! 堕落した騎士だ!! 政治家たちの顔色を伺う王族だ!!

 貴様らがこれから行うことはれっきとした正義である!! 迷うな! 貴様らはこの気色の悪い種から生まれた大人になりたいのか!!? 俺はそんなものゴメンだ!!!

 こんな汚物は、それを扱う者共はこの国にいらないのだ!!!」


 そう言うとヒオは持っていたマリャッカルを握りつぶした。粉となった種が風に流れ消えた。


「立ち上がれ騎士たちよ!!」


 生徒たちが吠えた。皆一斉にクリンから箱を奪うと種を手に取り、思い思いの方法で破壊していく。


 未熟な青い誰もが疑問を感じていた。将来が不安だった。汚い大人になどなりたくなかった。

 その手に持つ『種』に全てをぶつけた。


 ある者は格式張った家のあり方を。

 ある者は騎士になれぬ体の弱さを。

 ある者はその身分に許されぬ恋を。








『いや、やばいっすわ。あれ8歳の器じゃねえわ。就職先けって~い。身分問題なしだし。顔も将来良くなりそうだし。こりゃあ最高じゃね?』


『……』


 クリンとマリップホンプは作戦を練り始める生徒達を遠く離れた泉の縁に座りながら眺めていた。その中にはダレイブとコロッサの姿がある。ダレイブは戦力として魔法の腕前を披露し、コロッサは情報をまとめている。その顔はいつものどこか退屈そうなものではなかった。


『やばこっち来たんですケド』


 生徒全員との挨拶が終わったヒオが近づいてくる。座っているクリンより少し目線は高いくらいだ。ヒオはまだ余っていたマリャッカルを差し出す。


「私は入るなんて言ってませんよ」


「意地を張るな魔女クリン・トトラ」


 名前を知られていることには驚かない。そう見えるようごまかす。


「貴様無能が嫌いだろう? 仕え魔を目指しているのに何を馬鹿なことを言っている? 貴様より優秀な者など限られるだろう愚か者め」


 クリンは確かに無能が嫌いだ。そもそも仕え魔を選んだのもお金が欲しかったからだ。従軍や城仕えをしても給料は安いし女性は嫌われ出世できない。騎士団なんて行ったら何をされるかわかったものではない。フリーの魔女となってどこかで暮らすことも考えたが、クリンには体の悪い母がいる。

 母のためにも自分の研究のためにも奨学金を返すのにもお金がいる。でも、自分の能力を扱えない無能の下で働くのは嫌だった。何よりそんなの退屈だった。


「もう答えは出ているだろうクリン。俺に仕えろ。今からでも金を出してやる。それくらい父上も許す。むしろ許させよう。」


 ――貴様の主は俺だ。貴様より優秀なこの俺だ。


 


 その言葉を無表情で聞いていた彼女は彼の手から汚いグシャグシャのモノを受け取るとすぐに燃やしたのだった。







 ケレイル家。夕食を済ませコーザは今日も片付かない書類の山と格闘していた。するとまた頭に響く足音が聞こえてきた。ノックがされることなく部屋の扉が開けられる。


「旦那様!! 警備隊の方がいらっしゃってます!! お願いします!!」


「……分かった。すぐ行くから走……」


 その執事は勢いよくドアを閉め走っていった。コーザはしばらく頭を抑え唸っていた。




「カラカス隊長。一体何事だ」

 玄関先で待っていた男は息を切らしている。


「コーザ様!! 『緑』の組織が壊滅しました!!」


 最初コーザは幻聴かと思ったが、どうやら違うらしい。もう一度その報告を詳しく聞くと、日々の疲れが溜まっていたのか白目を向いて倒れた。












 食堂。夜遅く帰ってきたヒオはラーザにたっぷり説教されたあと一人で食事をとっていた。その後ろにはニーナが控えている。ラーザの計らいでそうなっているのだが、ヒオはそれを無視、ニーナは笑ってすらいない。


「フン! 今回はちゃんと作っているようだな。犬用のモノでも入れたかと思ったぞ」


「……あの、お坊ちゃま」


「なんだバツイチ」


「なっ?! なんで知って……じゃないや。あのぅ私のクローゼットの中のモノ知りません? もしとっちゃったとしたら怒らないので返してくださいませんか? お坊ちゃまにはまだ早いものですよ」


「知らん。鼠にでも持ってかれたか。哀れだな」


「ぐっ!! こっこの……ガキャ……!!」


「『痺れ肉のNo.2』の話だが」


 ニーナが固まる。冷や汗をかき顔色が悪くなる。


「な……なんの話でしょう?」


「お前の話だ娼婦め。こんなもの買っているから羽振りのいい我が家の給料でも足りず、あんな仕事に手を出すのだ愚か者」


 そう言ってヒオはポケットからマリャッカルを一つ出す。


「あああああああああああああっ!!? やっぱ持ってんじゃねえか!!! ていうかアンタホントに8歳??? ああっ!!」


 ニーナが奪い取ろうとすのをヒオは軽くいなす。そして椅子から立ち上がったと思うとニーナを転ばせ、足で頭を踏む。


「ぐううううううううぅぅ!! このガキ!!」


 ニーナの力ではそれをどかすことができない。


「俺の言うことを聞け。そうしたらこのそこらへんで拾った種などくれてやる。貴様まず男遊びも大概にしろ! この家に連れてくるな!! 臭くてたまらん。そんなことしてるから寝坊するのだ。

 あと夜勤中の酒もやめろ!! 貴様酔った時の行動覚えていないだろう? 俺の部屋に来て荒らすだけ荒らして帰っていくのだぞ!!?」


「ひーーん!! 分かりましたああ!! 分かったから早くそれくれ!!」


「……ホントか貴様」


「こんな態勢にしてまで信じてくれない!!! アタシにどうしろって言うのよ!!?」


 足をジタバタさせながらニーナは抗議するがヒオは冷たく言い放つ。





 「――真面目に働け」



 ニーナは黙った。








 次の日ケレイル家では無事仲直りをした二人がじゃれあっていたという。







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