朝の習慣
「姉さん血を吸われすぎてふらふらすんだが...」
「ご、ごめんねゆう君お腹ぺこぺこだったせいで吸いすぎちゃったの」
荒木 勇はフラフラする体をソファへと預けた。
高校2年生、週に2日、姉さんに血を吸わせる役割がある。
両親は旅客機の事故で亡くなった。
人ずきあいが苦手、中学生の顔立ちが抜けてなくたまに間違えられてしまうことも。
「ほんとにごめんね!次からは気をつけるから」
そして一生懸命頭を下げる彼女は幼なじみでもあり母親みたいな存在でもある紬 柚花。
高校3年生の一個年上の幼なじみだ、顔立ちは整っておりいつも笑顔で接してくれる。目は血のように赤く、髪は雪のよう白い。
背はすらっと伸びており、おっとりとした性格、勉強はいまいちなのが欠点。
それと吸血鬼の血を引く人間だ、姿は人間と変わりない、血を吸わないと大変なことになるらしいが姉さんは具体的には言ってくれなかった。
あとなぜ吸血鬼なのかは後々話そう。
「姉さん今までの血の量で足りてたんじゃなかった?」
「3年生になって吸う量が増えちゃったみたいなの」
「そ、そっかわかったよ姉さん」
俺、もつかな...
「ありがとうねゆう君いつも吸わせてくれて!」
「!?」
笑顔を向けてくる、可愛らしい笑顔だ。
不意にもドキッとしてしまった、可愛いなこんにゃろう!
姉さんの武器にはかなわないな。
「どうしたの?ゆう君?」
「なんでもないよ」
「あ、そうだった朝食作ったから食べてねゆう君」
「わかったよ、けど歩きずらいしフラフラするこら少しまってくれ」
「じゃあお姉ちゃんが抱っこしてあげようか?」
「いやいや、そこまでしなくていい!」
「えー抱っこさせて~」
「や、やめてくれ姉さん!」
抱きつこうとしてジリジリよってくる。
「姉さん!朝食食べたいしあと学校に遅刻するよ俺!」
「あら、こんな時間なの過ぎるのが早いね~」
今の時間は8時、学園につかなければならない時間は8時半、家から歩いて10分の所に学園がある。
「近いんだから大丈夫だよ?」
「早く出て損わないと思うぞ」
「それもそっかぁ~」ニコニコ
何度見ても可愛い笑顔だ。
姉さんさえいてくれればいいかなと少しだけ思う。
朝食を食べ終わり、食器を洗い、元の場所に戻す。
「じゃあ行きますか」
「そうだね行こう~」
玄関のドアを開けた。