起
その日、私たちのクラスに転校生が来た。前日に担任から聞いていたその情報にどんな人なのか、朝からクラスは騒いでいた。分かっているのは、転校生は男子で田舎からここに越して来たという事だけだ。その情報に男子は落ち込み、女子はイケメンが来ないかと騒いでいた。私は、昨日「子猫ちゃん特集~梅雨も吹っ飛ばせ~」という番組を見て、あまりにも子猫がかわいくて一睡もすることが出来なかった。そして眠過ぎて騒ぐ気にもならずにいた。ボーとしてると、「キーンコーン」とチャイムが鳴り、ホームルームが始まった。担任から連絡を聞き、早速転校生のお披露目となった。
「入っていいぞ。」
先生の声に合わせてドアが開き、そこから入って来たのは、巨大なアマガエルだった⁈
一瞬で眠気もさめ、周りを見渡すと皆石のように固まってしまっていた。そして、件の転校生?は、教卓の前に立ち、
「雨河 エルです。まだ、この地域に慣れていないので色々とお世話になると思います。よろしくお願いします。」
という、テンプレのような自己紹介をした。この、自己紹介によって石化していたクラスメイトも幾らか正気を取り戻した様であった。
そして、男子が
「質問っ!田舎ってどの辺?後、それって被り物なん?」
と尋ねると、
「故郷は、河餌流の里という所です。被り物?そんなものして無いのですが?」
転校生の答えに、まず河餌流の里ってどこやねん!そんな地名聞いた事も無い。それに、やっぱりあれは被り物ではなくて本物という事は、巨大なカエルだというのか?もう、突っ込みが多すぎて追いつけない。と頭を悩ましていると、担任が
「雨河はまだここ来て日が浅い。だから、できる限りこいつの力になってくれ。まぁ、春山、お前を雨河の世話係に任命する。」
そう言って、私の横の席に雨河君を座らせて担任が言った言葉の意味を理解した時、生き物係になった事を後悔したのであった。
ふと横を向いて雨河君と目が合い、
「春山さん、よろしくお願いします。」
この日から、私と彼による非日常な日々が始まるのであった




