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クレイジー・マジシャンズ  作者: 鈴木那由多
◆6話 不穏な影、微弱な風
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不穏な影、微弱な風 エピソード1

 まばゆい日差しが照らす絶好の天気。

 今日も学生たちは普段の通学路を経て学校へと向かう。

 そしてその通学路の脇、木々が鬱蒼としているところにある男が潜んでいた。

「ククク、女子高生の太もものなんとまばゆいことか! 光ってる! 太陽の光が反射してぴちっぴちの肌が反射してるぜー!」

 佐竹紀明は今日も絶好調だ!

 そんな至福のひと時もつかの間。その後頭部を一切の遠慮なしに殴りつける結城愛理。佐竹は不意の一撃をノーガードで受けてしまい、前に突っ伏してしまう。

「き、きさま……どうして俺がここに潜んでいると分かった?」

 意識が朦朧とする中、佐竹は問いかける。

「あんたの目が太陽の光で反射して光ってんのよ。きもちわるいくらいね」

 そして最後に結城愛理は「滅べ」というようなことを吐き捨てて去っていくところで、佐竹の意識は虚ろなる闇へと飛んでいった。


 昼休み。

「あー頭いてー」

 佐竹は今朝愛理にぶん殴られた箇所をさすりながら言う。

 康太と佐竹は教室にて弁当を食べていた。

 康太は自分の席で。佐竹は話題の転校生である七瀬泉希のイス(旧佐竹のイス)を拝借して、康太の机に弁当を広げて食べていた。最近の昼はこのパターンが通例となっていた。

 しかもなぜか、昼休みは必ずといっていいほど七瀬は教室にいないので、イスは使い放題であった。(こんな表現も変だが)

「お前がアホなことしてるからだろ」

 と、卵焼きをぱくつきながら、ぶっきらぼうに答える康太。

「お前にはつくづくガッカリだよ。一時は俺と志を共にして戦うこともあったというのに、最近の康太ときたらわが身可愛さのあまり、自身の秘めたる欲望を抑えてまで、善良なつまらない人間を演じているというのだから」

「善良ならいいんじゃねーの?」

「馬鹿か! お前は馬鹿か!?」

 いきなり立ち上がって佐竹は喋り出す。これ以降もまくし立てるように喋るのだが、康太はこの時点で思っていた。……うぜぇ、と。

「本能を抑えて、つまらない人生送ってみろ! ……そう、たとえるならば夢も希望もないサラリーマンだ。あるのはマイホームのローンで、それを返すために働くだけのつまらない人生だ。見方によっては、マイホーム建てて堅実に父親としての本分を務めている善良な人間とも言えそうだが、これはかなり苦痛だぞ!? 本人も知らぬ間にそんな人生に疲れ果て、やがて趣味だったボードやビリヤードにも手をつけなくなり、一体なんのために生きているのか。そんなことを考えるようになる。……でも、答えは見つからない。なんでか分かるか、康太? それはな、そいつ自身がその長い年月を経てくそもつまらねー人生を歩んできたからに他ならねーんだよ」

「いや、知らねーし。てか、人の人生勝手に他人が評価するのもおこがましいと思うけど……」

 と、ここで康太の携帯にメール受信の振動がなった。学校では物静かキャラな、サイレント愛理からだ。

(そいつから早く離れろ。そいつは人を駄目にする病原菌だ)

(……こいつは人間のクズかもしれないけど、それでも俺の友達だ)

 と返しておいた。すると、すぐに返事が返ってくる。

(あんたにはガッカリよ)

 どうしろと……。

 福島康太の身の回りには理不尽な出来事がいーっぱいあるのでした。ちなみに佐竹の話は昼休みが終わるまで意味もなく続くのでした。なのでここでは割愛。

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