俺と不思議少女秋の奇跡と久露の真実2
なんとかクリスマスまでに滑り込みで秋編を終わらせることができました!
ではどぞ(/・▿・)/
久露さんは怪我は三日ほどで治り、今は普通に体育の授業も受けている。
あんなことがあったにも関わらず、二人は今まで通りの関係を続けている。
でも逆に、久露さんの癒菜への積極的な行動は少し控えるようになった。
そして今日、今日の放課後に、久露さんに時間をとってもらい、話し合うことになった。
―――それは久露さんの本当の真実について
今日も部活があるが、俺と久露さんは適当な事を言って部活を休んだ。
美奈にはそのまま部活に残ってもらい、俺は久露さんと俺の家に来てもらった。
街のその辺で会話して、同じ高校の生徒に見つかるリスクを避けるためだ。
「それじゃあ聞くけど、この間部室で俺が聞いたことは、信じていいんだよね?」
「はい、信じてもらって構いません」
それは久露さんが階段から落ちた日のことだった。
俺が美奈に荷物を取って欲しいとお願いした後、久露さんは目を覚まし、俺にいきなりあり得ない一言を告げた。
「私の正体を、風夜さんに教えます。すこし私の話を聞いていて下さい」
最初は何の事かさっぱりだったが、今年の初めに起きた非現実的な出来事を思い出した。
「私は癒菜さんを救いに来ました。彼女には、私のせいであの日からずっと、悲しい想いをさせ続けてばかりです、私は、助けられてばかりなのに・・・」
彼女に言われた通り、俺はその言葉には一切のあいづちを入れず、ただ聞いている。
「私は去年の秋にあの学校の部室で死にました。それまで私を育てくれた彼女には、辛く悲しい思いをずっとさせてばかりです」
今の会話を聞いただけで、だいたいの事は見当がついた、きっと彼女は美奈と同じ―――
「私は癒菜を救いたい、だから言います・・・私はクロなんです!」
久露さんが普通に考えたらオカシイ言葉を言っても、俺は一切動じた素振りを見せないし、顔にも出さない。
「美奈さんの事が分かり、私は真実を明かす事に決めました」
「・・・そうか、だからあんな古いチラシを持ってたし、部活に詳しかったわけか」
「はい、あれは私の知っていた唯一のこの場所への道しるべでした」
どうやら美奈は俺の家に転生されたのに対し、久露は部室ではなく、この街から離れた場所に転生されたようだ。
「でもなんでこの市内じゃないんだ?」
「それは簡単な事です、転生するときに癒菜のいる場所をお願いしたらあの場所に、癒菜や風夜さんが合宿に行っていたあの市内だったわけです」
久露さんは笑顔でそういった。
「じゃあ、久露さんも期限は一年間なのか?」
美奈と同じように転生されたのなら、期限も同じはず。
でも久露さんは首を縦に振らなかった。
「いえ、私は、夏から私の死んだ、いえ、言い方が悪いですね、私の命日までになっています」
「クロの命日・・・二日後じゃないか!」
「はい、ですから最後の手段として風夜さんに正体を明かしたわけなんです」
あと二日で癒菜を部室に来させるなんて事、できるのか?
今までさんざんやってきたのに、全部失敗に終わってる。
恐らく校長命令でも来ないだろう。
癒菜はそれだけトラウマになっている。
「この事は癒菜には言わないで下さいね?ただでさえ今風夜さんに正体を明かしたことですら、規則に反するかもしれない。それにもしも言った場合、規則で言った場合は強制的に戻されます」
「なんつー無理ゲーやらしてんだよ神は・・・」
美奈の一年間とは全然違う。
美奈の時も期限はあったが、自分の正体を伝えて信じてもらうこと。
でも久露は期限付きで、さらに正体を明かせない。
「これは私の憶測なのですが、もしかしたら美奈さんの正体を知っているから、言ったらすぐに信じてしまうからだと思うんです。・・・簡単に言うと今の風夜さんのように」
確かに、その憶測は間違ってない。
むしろその可能性が一番高いだろう。
「でもさ、癒菜はさっきの通り、全然部室に行こうとしないんだよな、部室に行けば、少しは可能性があるだけどな」
「そのことなんですが・・・私、最後の手段として癒菜にすべてを明かそうと思うんです。いい、ですか?」
「いいわけないだろう!」
そのあとは癒菜と美奈が来て普通に会話した。
「俺は絶対に正体を癒菜に言うことを許さないからな」
「ですがどの道消えることには変わりありません、なら癒菜にすべてを明かして消えた方が―――」
「その発想から離れろよ!だいいちそんなことしても癒菜は余計に傷つくだけだからな」
久露の自虐的な発言に腹の立った俺は、つい大声をあげてしまった。
それに真実を知ってしまった癒菜はまた自分を責めるだろう。
「ま、俺がどうにかするから、な?」
「それで、いい案は思いついたのですか?」
「え・・・?」
「いえ、あの、いい案が思いついたからここに呼んで二人で話しているのでは?」
え?いい案といっても、今日はとりあえず俺に任せとけ宣言しといて早まるのを止めようってだけだったんだが・・・。
「ごめん、まだ案がでてない」
「じゃあなんのためにここに二人っきりでいるんです?はっ!まさかあんなこと等をするために為?!」
「いや断じて違うからな!」
ペットは飼い主に似るとは本当の事だったらしい。
久露が癒菜に見えてきた。
「おほん。冗談はさておき、本題に入っていいでしょうか」
「あ、ああ、いいよ」
咳払いで場の空気を戻して、久露さんはまじめな会話を始めた。
「私は癒菜にお願いして、部室に来てもらおうかなって思ってます」
「でもこの間も駄目だったんだろ?」
「癒菜は押しに弱くて、特に押し倒されるのは弱いんですよ?しらないんですか?」
いや、まあ、知らなかったけど、なんかまた会話ずれてきてない?
さすが癒菜が育てた子だ。
「でもさ、もしもうまくいったとしてどうするんだ?」
「それは風夜さんに任せます」
その日はそれで解散になった。
理由は美奈が帰っていたからだ。
最初家に久露さんが来ていたことを驚いていたが、すぐに夕飯を一緒に食べないかと聞いていた。
今日は久露さんも一緒に夕飯を食べてくれるそうなので、いつもより一人前多く料理している。
今日の料理担当は俺だった。
後ろではテーブルに座って二人は待っている。
「ねえ美奈さん?美奈さんは、一年間で短いとか、不便とか、理不尽とかって思ったことはないんですか?」
「そんなことないよ、私は風夜ともう一度会えて事だけでよかったし、こうして同じ生活ができるだけで満足だよ」
美奈の答えを聞いた久露は、少し驚いた様子だった。
「ほら二人とも、夕飯で来たぞ」
「わーい!今日はグラタンだ!」
グラタンは美奈の好物の一つだ。
「熱いから気をつけろよ」
「うん!・・・んー!美味しい~」
しっかりと息を吹きかけ、冷ましてから食べた美奈は、「たまんない!」といった様子で、その味を堪能している。
隣の久露も、食べたのは初めてだったようだが、美味しいといって食べていた。
その日は結果時間が遅くなり、久露はうちに泊まっていく事になった。
「ね、ねえ美奈さん、あなたはいつもそうやって寝ているんですか?」
「うん、そうだよ?おかしいかな?」
美奈はうちに来てからずっと俺と同じベットで寝ている。
ダブルベットで今まで一緒に寝ていたからという理由だったが、人の姿の美奈はちょっと困る。
特に夏なんて大変だった、熱いといって下着で寝て、それだけでも十分だというのに、朝起きたら取れていた事もあった。
「夏は服着ないで寝たよ?熱いからね~」
「は、裸・・・ですか」
美奈からそれを聞いた久露は、顔を真っ赤にしている。
「いっそのこと、久露も入るか?温かいぞ?」
「・・・わかりました、変態と寝る趣味はありませんが、しかたないですね、風夜さんがそういうのならそうします・・・失礼します!」
そういって久露も俺の隣んに入ってきた。
「な、なあ久露、なんでこっちなんだ?」
「だ、だって反対側は美奈さんが一人で占領してるじゃないですか」
それを聞いて隣を見ると、美奈が一人で静かに熟睡していた。
「はあ、仕方ない、俺はソファで寝るから、ベットは二人で使ってくれよ」
俺は起き上がり、ベットから出ようとしたとき、袖をつかまれた。
「・・・どうしたんだ?トイレか?」
「今の言動、癒菜に言いますよ?」
「悪い、冗談だ、取り消してくれ、いや、忘れろ」
やっばい、ますます癒菜に似てきたかも。
「その、せっかくですし、三人で寝ましょうよ、ね?」
「・・・・・・まあ、久露がそれでいいならいいけど」
そういって俺は再び布団に入った。
俺が布団に入ると、久露が腕を抱きしめてくる。
「ごめんなさい、長い間人の温もりを感じてなかったので・・・」
「別に構わないよ」
時期的にもこうしていた方が暖かいし、久露のお願いだけあって、断るのも申し訳ない。
「見た目は高校生でも、中身はまだ子犬のまま・・・か」
「し、失礼!・・・でもないですけど・・・そうですけど・・・」
否定しようとした久露だったが、本当のことを否定しても仕方ないと思ったのか、否定しないでそのまま受け入れた。
「癒菜にそっくりだな、そういうとこ」
「そうなんですか?飼い犬は飼い主に似るってやつですかね・・・?」
「たぶんな・・・」
「・・・そういえば、いつの間にか呼び捨てなんですね」
「この方が久露も話やすいと思ってな・・・・・・久露?」
横から寝息がしたので見てみると、久露はすでに眠っていた。
よほど誰かと眠りのが落ち着くのか、その表情はとても安らかで、無防備だった。
「美奈さん!起きてきださい!」
「んにゃー!寒い~!」
朝から久露が美奈と格闘していた。
「起きてくださいっ!・・・って、離してください!布団が千切れてしまいます!」
久露が布団を剥がすと、美奈は器用に布団をつかんでいた。
千切れるのを恐れた久露が布団を離すと、その隙を見て美奈が布団に潜った。
「んもうっ!・・・風夜さん、助けてください!」
「やっぱ久露もダメだったか、はあ、ほら美奈、牛乳温めたから出てこい!」
「はっ!飲む!!」
美奈は毎朝の牛乳を欠かさない。
夏はキンキンに冷やしたもので、冬は温めたものを飲む。
たまに飽きたと言って、イチゴを混ぜたものや、ココアを入れたりする。
「あ、ちょっ、ちょっと美奈さん!」
美奈が起きたときに、飛んできた布団で久露が押し倒された。
「ほんっと、ありえません!」
部室で久露が餌を上げながら言っている。
素の話の意味は、きっと昨日のことだろう。
「まあ、美奈は犬だった頃も冬は外に出たがらなかったからな、まるで猫だったよ」
「にしてもあれは以上です!」
今日は美奈は冬とスイーツの食べ歩きに行き、幸也は友人の部活の手伝いに行っている。
そのため部室には二人しかいない。
「あの、風夜さん、いい考えがあるんですが・・・いいですか?」
「お、どんなのだ?」
「それは―――」
彼女の考えた方法は簡単だった。
部活の動物に会うのも無理、会いに来ないなら、いっそ連れていって会わせてしまおうというものだ。
しかしこれがラストチャンスになるだろう。
恐らく失敗すれば癒菜はしばらくは話を聞こうとしない。
「わかった、やってみよう」
「それで、ここに呼びだした理由って何?」
学校の中庭にある大きな木の下に癒菜を呼んでみた。
「あ、あのさ、あっと・・・何話そうとしたんだったかな~」
「ちょっとなにやってるの、早く思い出してちょうだい」
「あ、ああ、今思い出すから!」
俺は久露が動物達を連れて来るのを待っている。
でも急がないと癒菜が帰ってしまう。
「じゃあ思い出したら連絡をちょうだい、そうしたらまた来るから」
「癒菜さーん!」
癒菜が帰ろうとしたとき、ちょうど久露が来た。
その手には、十匹近い動物たちのリードを持っている。
「ちょっと、私は戻るわよ!」
「待てって!」
俺は帰ろうとした癒菜の手を掴んだ。
「離して!わかってるでしょう!?」
「わかってる。でもいいのか?このまま一歩も前に進まないで、このまま立ち止まってても、クロがかわいそうなだけだろう?」
そうこうしているうちに、久露が来てしまった。
「うっ・・・はあ、はあ・・・」
動物達を見ると、癒菜は吐き気と心拍の上昇により呼吸が荒くなっている。
久露はそんな癒菜を心配そうな目で見ている。
「うぐっ・・・げほ、げほっ!」
急に地面に座り込み、さらに苦しそうになる。
「癒、癒菜さ―――」
「こないで!!」
心配して近寄ろうとした久露を静止させる。
癒菜に言われた久露は、ハッとして、自分が今動物達といることを思い出す。
「久露、癒菜は大丈夫だから、もう戻っていていいぞ」
「は、はい!行こう、みんな」
動物達を連れて久露は部室に戻っていった。
久露が戻ると、癒菜は次第に調子が戻ってきている。
「・・・風夜、お願いだから、もうこんなことするのはやめて」
「・・・ごめん」
結果その日、癒菜はすぐに帰ったと先生から聞いた。
これでもう本当に本当のラストチャンスは明日、これが失敗したら、もう久露は・・・。
次の日、学校に行ってみると、癒菜は体調が悪いと言って、今日は休んでいた。
久露も今日はなぜか今日は休んでいる。
「どうしたんだろうね、二人とも」
放課後にはり、部室ではみんな二人について話している。
「わるい、俺ちょっと出かけて来る!」
俺は一つの考えにいたり、部室を飛び出た。
部室をでて、この間交換した電話番号に連絡を取る。
「――くそっ!何で出ないんだよ!」
次に電話した先は癒菜だった。
もしかしたもうついているかもしれない。
『もしもし、風夜?』
二コールほどで電話に出た。
その声は少し弱々しかった。
「癒菜、そっちに久露着てないか!?」
『え、来てないけど・・・何かあったのア?』
俺の慌てようから察したのか、癒菜が聞いてきた。
「久露の・・・久露の命がやばいかもしれない」
そのまま言うわけにもいかず、少し遠まわしに言った。
『・・・私も探すわ、どこ探せばいい?!』
俺は癒菜にもお願いして、心あたりのある場しょを、探してもらうことにした。
『・・・わかったわ、冬達にも探してもらうわ!』
「わかった、頼む!」
空を見ると、もう日が暮れ始めていた。
「どこにいるんだよ・・・久露」
俺はもう一度電話をかけてみた。
すると一コール目で反応があった。
「っ!もしも―――」
『お掛けになった電話番号は、現在使われておりません――お掛けに・・・』
さっきまで繋がっていた電話が繋がらなくなった。
それはつまり―――
「・・・くそ」
俺はふと空を見ると・・・。
「なんだ・・・あれ」
空に向かって伸びる一本の粒子の柱が見えた。
辺りを見ると、見えてないのか、誰も騒ぐ気配も空に注目する者もいない。
俺は電話をかけ、全員にそれを見てもうと、全員口をそろえて「見える、でも周りの人間はされも見えていない様子」といっていた
そして俺は、そこに久露あいると思い、みんなとそこで待ち合わせた。
光の柱は、前にクロと行った山の、大きな木のある広場からだった。
「・・・風夜、来ちゃったんですね」
そこには一人、光の柱の中にいる久露がいた。
「なんで、勝ってに消えたりしたんだよ」
「・・・もしも、みんなの前で消えるとしたら、私未練残っちゃいそうだったから・・・ごめんなさい」
久露は悲しそうな目で俺を見る。
「・・・どっちみち、未練が残ってしまいそうですですけど・・・」
「はあ、はあ、風夜、何なのこれ・・・・・・え、篠川さん?」
次に来たのは癒菜と美奈だった。
走り抜けてきたのか、癒菜はかなり息を切らせていた。
しかし光と共にいる久露をみて、驚いているようだった。
「風夜・・・言ってもいいよね?」
「あ・・・ああ、もう仕方がないことだしな」
俺は久露の決意通り、癒菜に全てを明かすことを許した。
いまさら隠しても仕方がない。
「あのね、私はクロは、美奈と同じ存在で、癒菜、あなたを助けに来たんだよ?」
「美奈・・・と?え?」
「それって私と同じ転生さてたってこと?」
信じつを初めて知った二人は、俺の時とは違い、少し驚いていた様子だった。
「そんな、もっと早く言ってくれてもよかったのに!」
そんなこと言う癒菜に、久露は今後の自分について話した。
「それじゃあ、久露はいなくなるの?」
「そういうことかな・・・でも責めないで、これは決して癒菜のせいじゃないから・・・あの日のことも、癒菜は一つも悪くない!」
久露は癒菜へ、自分の想いをすべてぶつける気でいる。
「癒菜言ったんでしょ?私に許しを得られれば、それで自分を許せるって!」
「い、いったわよ、でも・・・」
「私が癒菜のこと恨むわけない!むしろ感謝してるんだよ?あの日癒菜に拾われなかったら、私はあの日あのまま凍え死んでた、でも癒菜のおかげで、あれだけ私の人生が伸びたの、全部癒菜のおかげだよ?」
久露はいつもの丁寧語とは違った口調で癒菜に言う。
「それに、あそこにいる動物達もみんな、癒菜を恨んだり責めたりしない、ううん、みんな癒菜に帰ってきてほしいって思ってた」
「それって、美奈みたいに動物と話せるってこと?」
癒菜の言葉に久露は頷いて答えた。
「・・・本当に、許してくれる?」
「くどいなあ、初めから怒ったりしてないよ」
あんまり何回も聞いてくる癒菜に、久露は笑いながら返した。
「・・・ありがとう、クロ」
長かった想いに終わりが迎え、癒菜の目からは涙が流れる。
そして癒菜と久露の会話に一段落が付いたところで、久露の身体にも異変が起きた。
「っと、もう時間みたいだね・・・」
久露の身体も、光に包まれて消え始めた。
「ねえ癒菜、私の最後のわがまま、聞いてくれる?」
「うん、何でも聞く!」
癒菜は涙を拭いながらいった。
「この子の面倒は、癒菜が見てくれないかな?」
そういって久露は、茂みの中から子犬を抱きかけて持ちだした。
「子犬・・・?」
その子犬を癒菜はクロから受け取り、抱きかかえる。
子犬の毛並は、まるで子犬だった頃のクロにそっくりだった。
「これからはだれも面倒見れないから、代わりに見てあげて」
「うん、大切に育てるね・・・本当にありがとう、クロ」
そしてクロは俺と美奈に向き直り、言葉を告げた。
「美奈、朝はもっと起きれるようになりなさい、あと朝の牛乳はいいと思うわ」
「わかったけど・・・最後の言葉がそれって、ちょっとひどくないかな?」
久露の言葉に少し不満を持った美奈。
「あと・・・今を大切にね?あなたは私と違ってまだあと半年も一緒にいられるの、だから絶対に悔いのないようにしてね、二人とも幸せにね、癒菜も、幸也さんと仲良くしてよね?あんないい人、他にいないんだから」
「うん!ありがとう久露!」
「わかったわ、久露に言われたなら従うしかないわ」
「フフッ、よかった、悲しいお別れにならなくて・・・さようなら」
そういって、次第に薄くなっていたクロの身体は、消えた。
クロが消えると、光の粒子も消え、辺りは暗い森へと変わった。
久露が消えると、癒菜は膝をつき子犬を優しく抱きしめ、肩を震わせ静かに泣いていた。
「俺と美奈は少ししたところで待ってるから・・・行こう、美奈」
「・・・うん」
俺と美奈が少し離れると、背中から、思いっきり泣く声が聞こえた。
「・・・なんだ、二人もいたのか」
「ちょっと行きにくくてね」
頂上から森の入り口に入るところに、冬と幸也が立っていた。
「幸也、お前は行ってやれよ、今の癒菜にはお前の方が必要だ」
「ああ、わかった」
それからしばらくたって、癒菜は幸也におぶられてやってきた。
子犬は幸也のそばをテトテトと歩いて来ている。
「泣き疲れてなちまったみたいだ」
「重いっ!とか言ったら後で殺されるな」
俺が笑って言うと、幸也が顔を真っ青にしていた。
「あ、あぶねえ、言いかけた・・・」
「さ、おいで、抱っこしてあげる、寒いでしょ」
幸也の隣を歩いていた子犬を、冬が抱きかかえた。
「さ、帰ろう、癒菜が風邪を引いても困るしな」
「そうね」
そして俺達に起きた秋の奇跡のような出来事は、終わり迎えた。
明日のお昼にはいよいよアナザーストーリクリスマス編を投稿されます!
それではクリスマス編にてお会いしましょう




