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俺と不思議少女の一年間!☆  作者: 蒼空
癒菜の過去決着編
29/44

俺と癒菜と過去の久露

いつも読んでいただきありがとうございます!

クリスマスの特別篇ももう半分は完成になっていて、残すところ半分!

では、では(/・▿・)/

その日は会話だけで終わり、帰りに部活に入るための申込書を提出していった。

少し帰りが遅くなったこともあり、美奈には色々と問い詰められたが、事情を話したら許してもらえた。


次の日の放課後からは、さっそく久露さんも一緒に部活を行い、まずは部活での動物たちの餌やりの仕方を覚えてもらい、次に散歩を教えて、最後に部活での禁止事項と絶対にしてはいけないこと、校則ならぬ部則を覚えてもらうことにした。

今日は五日目の、最終日、今までの事を簡単に復習説明する日だ。


「この子はミルクで、この子はドックフード、それでこの子が・・・えっと・・・」


久露さんにそれぞれの動物達にあげる餌の説明をしていたが、途中でわからなくなったようだ。


「そこの子もミルクよ、あとそこの子はソフトドックフードね」

「・・・だよ!」


隣でプリントを整理していた冬が、分からなくなった美奈の代わりに説明した。


「まったく、それくらい覚えてよね」

「った!ド忘れだよ!ド忘れ、いつもは覚えてるよ」


部員なら当たり前のことを知っていることを忘れた美奈の頭を、冬はファイルで軽く叩いた。

叩かれた美奈は、両手で頭を抑えている。


「ド忘れって・・・いつも忘れて風夜に聞いてるじゃない・・・」

「あれ!?そうだっけ!?」


ド忘れのド忘れをする美奈を、冬は半分呆れたように見つめている。


「美奈?良い機会だから、久露と一緒に聞いてて、説明は私がするから」

「あ、うん。わかった!」


そうしてまだまだ半人前の美奈は、久露と一緒に冬の講義を受け始めた。


「仲良いよな、三人とも」

「同じクラスだけあって、久露さんもすぐに打ち解けたからな」


少し離れたところから、俺と幸也は講義を眺めていた。


「幸也はいかないのか?」

「なんで俺?」

「この間あのケージの猫に、キャットフードとドックフードあげ間違えそうになったろ」

「げっ、なんでそれ知ってんだよ!」


理由は教えないが、たまたま居合わせた冬が、こっそり見ていたらしい。


「いくら一回程度あげ間違えた程度でどうこうならないといって、最悪の場合だってあるんだ。そこんとこ改めて肝に銘じておいてくれよ?もうあんなのは嫌なんだ・・・誰かがやめるのは、見たくない」

「・・・わかった、悪かったよ。さあてそれじゃあ、俺も講義受けてくっかなあ!」


俺の言葉を重く考え、幸也が珍しくまじめに謝った。

少し驚いたが、みんな同じようなことを繰り返すのは嫌だろう。


「癒菜を・・・連れ戻さないとな・・・ん?」


講義を暖かく見守ってると、スマホに通知が入った。

電源をつけて見てみると、生徒会室にいる癒菜からだった。




「ごめんなさいね、手伝わしちゃって」

「気にすんなよ、これくらい余裕だって」


あの後何かと思って駆けつけてみれば、生徒会の仕事で夏の書類をまとめていたら、一人じゃ持ちきれなくなったと聞いて、手伝うことになった。

最初は両手に持つ程度かと思ったが、小さい段ボール箱二個分もあった。


「だって今日もやってたんでしょ?・・・部活」

「ああ、そのことなら冬が上手くやってるよ」


やめてから部活のことを考えるのもいやらしく、そのため俺達も癒菜の目で部活の動物達に関することを話すのは控えている。


「聞いたわ、というより見たわ、転校生の篠川さんが新しく部員になったのね、おめでとう」

「ああ、久露さんのことか、彼女すごい動物が好きみたいでさ、癒菜に会ったって聞いたけど?」

「会ったわ、すごく大人しい子だったわ」


癒菜も高評価のようで、少し気になっている様子だった。


「なあ、今日この後久露さんの歓迎パーティやるんだけどさ、いいかな?」

「いいわよ、どこで行うの?」

「久露さんの家だから、帰りに電話するよ」


久露さんの提案もあって、今回の歓迎会は久露さん宅でやることになった。

当然誰も家を知らないから、家までは久露の案内によるものだ。




「お、来たな、生徒会は終わったのか?」

「おかげさまで、あの後すぐに終わったわ」


あの後生徒会の手伝いを終えた俺は、すぐに部室に戻り、今日行うことに関しての会話をしていた。

幸い冬の講義も終わっていて、すぐに会話を始められた。


「篠川さん、今日はよろこんでお邪魔させてもらうわ」

「い、いえ、私の方こそ!癒菜さんの貴重なお時間をいただき、歓迎会に来てくださってありがとうございます!」

「久露硬硬いよ!もっと楽に話していいから、癒菜さんだし」


久露が緊張しているのを察して、冬が一言余分に言った。


「私だからって何よ!まあ、確かにもっとリラックスすていいわよ?」

「はい!」


「会話はそこでいったん終了してさ、そろそろ行かないか?」


腹の減った幸也が会話を止めた。


「それね。・・・と言ってそこの男はご馳走狙いみたいだけど」

「だってよー、癒菜が今日弁当作ってくんなかっただろ?」

「寝坊するから悪いのよ」


どうやら昼から何も食べていないらしい。

昼に学校中を走り回ったのはそのせいか。




そして会話もほどほどにした俺たちは、久露の家へと歩いていた。

途中にあるスーパーで簡単な出来合いの食べ物を買って向かっている。


「ねえ、ここって癒菜さんの家の方じゃない?」

「・・・そうね、よく見たらそうだわ」


何度か来ている俺たちは、癒菜の家の方角に近づいていることに気づいた。

まあ、冬が言うまで気づかなかったけど。


「もしかして、家近いのかな?」

「・・・着きました、ここです」


そういって立ち止まった場所は――


「行かいどころか・・・」

「同じマンションじゃねえか!」

「まあ、一人くらいの転校生といったら、だいたい予想ついてたわ」


一人暮らしの生徒は、この高校指定のマンションに住む事になっている。

三年間の家賃は学費の時に一緒に払っているし、ガス、水道、電気は学校負担と言う嬉しさ。

しかも卒業後はしっかりと申請すれば、そのまま住むこともでき、成績の良い生徒は、卒業後そのままここの高校の予備教師としてそのまま就職できる。


「私は五〇一号室だけど、あなたは?」

「私は六〇一です」


真下と真上とは、偶然過ぎる。


「さあさあ、中に入りましょう!」


思いがけない偶然に驚いてる俺たちは、久露さんに背中を押されて中へと入っていった。




「やっぱり内装も同じなのね」


中は全く同じだった。

違うところといったら、久露さんはまだ来て間もないこともあり、部屋には必要最低限のものしかないってことくらいだろうか。


「それじゃあみんな、パーティの準備しましょうか!」

「おー!!」


「それじゃあこれとこれをそこに盛り付けて、あとはそれをそこに・・・幸也ちがうわ、そこに・・・だからそこ!・・・だから違うって言ってるでしょ!バカなの!?・・・あ、ごめんなさい、バカだったわね」

「おい待て!バカじゃないぞ!?」


台所の一角では、スーパーで買ったお惣菜をお皿に盛り付けているのだが、癒菜の指示がうまく伝わらない幸也は、何度も失敗している。


「なんか前より仲良くなったよね、幸也と癒菜さん」

「おう!そうだろ?」

「そんなことないわよ!」


冬がそう言うと、すぐに返事が返ってきた。

さすが、返しも見事なまでに息ぴったりだ。

いっさいの間を入れずに即答した。

ただ意見は真逆だけど・・・。


「癒菜さんと幸也さんは、その、付き合ってるんですか?」


二人の仲を見て思ったのだろう。

久露さんが二人に聞いた。


「ふぇ?!・・・そ、そうよ!仕方なくね!」

「え?じゃあ別れていいってことか?」

「ダメよ!」


癒菜の意外な返事に、全員謎の無条件反射で癒菜を見た。


「だって幸也言ったわよね?なんでもしますっ!・・・って、悪いけど、逃がさないわよ?」

「あ、あれはだな・・・あれは・・・・・・」


やめとくんだ幸也、相手が悪すぎる、お前じゃ癒菜に口でも権力でも勝てない・・・絶対に。


「やめときなよ、幸也じゃ無理だからあ」

「んだと冬!!」


今日も仲良く姉弟喧嘩か、平和だな。


「あそこの二人は置いといて、美奈と風夜は喧嘩とかしないの?」

「んーそうだな、あれっきりしてないな」


あの時の冬との出来事から、一回も喧嘩なんてしたことない。

たぶん今後も、喧嘩どころか互いに助け合っていくはずだ。


・・・いや、むしろ助け合ってると言うよりは――


「ん?どうしたの?」


美奈が俺の方を不思議そうに見た。


「いや、なんでもない。さ、早く盛り付けて食べよう!」

「うん!」


――美奈に気づかされてばかりだ。




「はあ~食べた食べた、もう食べられないぞ!」


明らかに食べすぎな幸也が、カーペットに倒れるように横たわる。


「一人であんだけバカ食いすれば、そりゃあんた・・・はあ、少し休んでていいわ、片づけは私たちでやるから」

「ああ!いいよいいよ、風夜も休んでて!最近は部活がいつも以上に大変そうだったからさ」

「そうよ、こういうことまで手伝わなくていいわ」


ここまで言われると、さすがに手伝うわけにもいかないか。

幸也もああだし、片付けは準備と比べたら楽そうだし、お言葉に甘えようかな。


「そうだぜ風夜、お言葉に甘えようぜ」

「お前が言うな!」


ほぼ全員の息がぴったりに、そんな言葉がナマケている幸也に浴びせられた。


「・・・幸也、休んだら少しでいいから手伝ってちょうだいね」


ほとんどの人が幸也に言った中、癒菜だけがそう言った。

そしてまた全員が、無条件反射で癒菜の方を見て固まった。


「ほら、片づけるわよ」


そういって一人台所へ歩いて行ってしまった。


「ね、ねえ?最近癒菜さん、幸也に優しくなった?」

「かもな」

「まあ私的には、幸也がもっといじめらてるのを見たかったけど」


冬にS発言に、俺は少し同様した。

たぶん美と久露さんもどうようしただろう。


「あの、冬さんはそう言う趣味があるんでしょうか?」

「ないわ。でもただ見たいだけ、だって面白いじゃない!」


そんな満笑の笑みで言わないでくれ・・・。


「・・・まさにそのことを言うじゃないのか?」

「あっ!癒菜さん忘れてた!」

「手伝わないと殺されるわ!」

「ええ!えええ?!」


そんなこと言って走っていく二人に、久露さんは驚き慌てて後を追っていく。

俺は幸也と最近あった出来事などを会話しながら、片付けている間の時間を過ごした。




「それじゃあ、今日はありがとう」

「俺はうまい飯食えたからよかったけどな!」

「何言ってんのよ!ほら、しっかりお礼を言いなさい!」


だらしない幸也は、癒菜に横っ腹を肘で数回コツコツッと叩かれ、渋々お礼を言っている幸也。


「それじゃあ四人とも、気をつけて帰って頂戴ね?」

「ああ、また明日」

「久露さん!まだ明日!」


そして俺たちは、それぞれ帰宅していった。




「さ、私たちも部屋に戻りましょうか」

「はい・・・ですが少し私に付き合ってもらえないでしょうか?」


篠川はそういって、さっきまでとは違った瞳で、私を見つめる。

まるで、私の心を見透かすように・・・。


「・・・ええ、問題ないわ」

「それでは、私の部屋で話しましょう」


私は再び篠川さんの部屋へ招かれてやってきた。

二人しかいない部屋は、さっきと比べてとても大きく感じる。


「それで?なんの話なの?」

「癒菜さんは覚えていますか?私と出会った日のこと・・・」

「あなたと出会った・・・日?」


私は、一体何のことを言っているのかわからなかった。

でも少し考えると、霧のかかっていような感じで、記憶の底から蘇ってくる。


「雨の降る秋の公園で・・・癒菜さんは、私を救ってくれました・・・」

「救っ・・・た?」


その言葉を聞いて、少しづつ記憶が呼び起こされる。


「その時の私にとって、癒菜さんは、太陽の様な、暖かくて、希望でした。落ち込んでた私を励ましてくれて・・・私もいつか、癒菜さんの様に、誰かを救えたら良いなって思ってました」


記憶はほとんど思い出したが、私は篠川さんの言葉を、ただ黙って聞いていた。


「でも、その年のその日の秋を最後に、それ以来癒菜さんには会えず、私も引っ越していました。でも最近また戻ってきて、このチラシのことを思い出したんです」

「これ・・・」


会話をしながら、篠川さんはチラシを取り出した。

それは、私がまだ部活に居た頃のチラシだった。


「っ・・・」


なんの変哲もないただのチラシなのに、それを見ていると、今まで考えないでいた想いや感情、自身に対する憎悪が蘇ってきそうになる。

季節は秋だというのに、額には真夏に外にいる時のように、汗をかいている。

私はそんな感情などを抑えこみ、苦しみが混じった声で言う。


「ご、ごめんな・・・さい。それしまって・・・ちょうだい」

「あっ、ごめんなさい!そうでしたね」


私の反応を見た篠川さんは、すぐにチラシをしまった。


「もう、いいかしら?・・・気分がすぐれないの」

「あ、っと、最後にいいですか?」

「・・・なに?」


きっと今の私は、とても青ざめているでしょうね。


「もう、部活には帰ってこないの?癒菜」

「そのとは・・・放っておいて」


今彼女に呼び捨てで呼ばれたとき、なんだか不思議な感じがした。


「でも!私はあの時助けてくれた癒菜さんを放っておけないんです!」

「ごめんなさい。これは私の問題だから、あなたには、私を救うことはできないわ」


そういって立ち上がり、癒菜は玄関まで歩き、扉を開けた。


「それじゃあ、今日はありがとう・・・お疲れさま、おやすみ」

「・・・私、あきらめませんから!」


私が返って行く後ろでは、篠川さんがそういっていたが、その言葉は、私の心には響かなかった。

それでは次回のお話でお会いしましょう。

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