俺と癒菜の初デート2
デート編は今回で完結です。
二人のデートはどうなるのか!?
どぞ(/・▿・)/
木々の多い一本道を歩いたまま、気まずい空気が流れる。
あれから何度も説得をしてみたが、「戻らない」の一点止まり。
機嫌を損ねてないか心配だが、手を繋いでる辺り、まだ行ける。
「な、なあ、頼むよ、癒菜がいないとさ、なんかまとまらないんだよな」
「そんなの、部長である風夜がまとめれば済むことでしょう?」
「あ、ああ、そうだな・・・じゃなくて・・・はあ、何納得してんだよ俺は・・・」
まったく説得能力のない自分に、ため息が出る。
もっとうまくやらないと。
でも、なんて言えばいいのやら・・・。
「ねえ風夜、あれは事故なんかじゃないの、私が見落としたことによる、私の責任なの・・・・・・何度も言わせないで」
俺がこの話を切り出すと、最後には今の言葉だ。
そうやって、自分に罰を与えて、クロへの償いとしているつまりなんだろう。
本当は、誰も恨んでないって、わかってる、でも、そうでもしないと自分を保てないんだろう。
「わかった、癒菜のせいだとしよう・・・」
「やっとあきらめてくれたのね」
「・・・じゃあ、罪には罰、罰には許しが必要だ、癒菜の許しはなんだ?」
俺は、この場で話す最後の言葉として、その言葉を言った。
言われて最初は戸惑るようなしぐさを見せたが、少しして、何か浮かんだんだろう。
俺から手を離し、俺より一歩先にでて、言った。
「クロに許してもらうこと・・・かな」
後ろから見えた彼女の背中は、いつになく、寂しそうだった。
「・・・ほら、早く次の場所にいくわよ!」
スッと振り返って、俺の手を握り直して引っ張っていく。
その時は、もうそれ以上は言えなかった。
俺たちのいた公園から一本電車を乗り継いで、海の見える公園に着いた。
時間も予定通りに夕方。
「さあ、着いたわね」
「そこは普通、景色がきれい、とかいうだろ」
到着していきなりムードが崩れるような言い方した癒菜。
「そんなことよりも・・・するの?」
「えっ・・・そりゃあ、まあ、そうだろうな」
癒菜の母親が見ている以上、キスをしないわけにはいかない。
そうでもしなければ、納得してくれないだろう。
「いいのかな・・・私がもらって、その、風夜のファーストキス・・・」
「べ、別に俺は気にしてないぞ!」
「風夜がそうでも・・・美奈が、ね」
そうだった、まだ想いを伝えてなくても、美奈が俺の・・・彼女になるんだ。
無暗にするもんじゃない。
でも、冬との一件の時に、俺のファーストキスは終わっている。
でもそれを癒菜にも美奈にも言うわけにはいかない。
「大丈夫、きっと美奈はそんなこと気にしないさ。たぶん癒菜のことを考えて、自分のことを後回しにすると思う」
「わかったわ・・・じゃあ、行くわよ?」
「あ、ああ」
流れ的に、癒菜が俺の方に歩み寄る形となった。
俺は目を閉じ、癒菜が来るのを待っていたんだが・・・。
「あっ・・・!」
「え?」
癒菜の言葉に、咄嗟に目を開けた瞬間だった。
緊張で足が縺れた癒菜は、そのまま俺を巻き込んで、お互いに倒れる結果となり・・・。
「っ!?」
「・・・っ!」
そしてそのまま反転し、俺が上になって、あろうことか、癒菜とキスをしてしまっていた。
「・・・まさか、こんなことでするなんて・・・・・・怪我は、ない?」
「ああ、大丈夫だ。まあ、これはこれで、俺達らしいの・・・かな」
幸い地面は芝生が生えていて、怪我はない。
それに俺と癒菜なら、こう言う方がよっぽど自然なのかもしれない。
「・・・それもそうね」
さて、こんな形にはなったが、間違いなく、したことには変わりない。
これでとりあえずはデート内容は終わりのはずだが。
「デートはこれで終わりね、今日はありがとう」
「ああ、お疲れさま」
俺が癒菜に言葉をかけようとしたとき、癒菜の携帯に着信が入った。
癒菜はすぐにポケットから出し、俺に視線を向けた。
その顔つきから、相手は母親だということがすぐにわかった。
癒菜は電話に出て、話し初めたが、一言二言離し終えると、すぐに通話が終了した。
「・・・どうだった?」
俺が聞くと、癒菜は肩の力を抜いて答えた。
「・・・うまくいったわ」
「はあ、そっか、よかった」
俺は安心感で身体から力が抜けて、その場に座り込んだ。
俺が座ると、隣に癒菜もすぐに座った。
「今回のことで、当分はお母さんも諦めてくれると思うわ」
「そりゃ助かる、月に一度とかあったら、さすがに誤魔化しきれない」
そういって、俺と癒菜は二人で笑った。
そのあとは、癒菜の母も帰ったことで、いつも通りの関係に戻った。
そしてその帰り道のことだった。
「先輩、合宿先の花火大会の時にした約束だけど・・・」
このことはお互いに話し、なるべく早めに終わらせることにした。
「そのことなんだけどね・・・私には、風夜はもったいないと思ったわ」
「あきらめがついた・・・てことか?」
「ええ、デートして見てわかったわ、お騒がせしたわね。もう大丈夫よ」
どうやら癒菜の中で、何かが分かったようだ。
その表情は、喉のつっかえが一つとれたようだった。
「あと、やっぱり先輩ってつけてためぐちはおかしいわ」
「そうか?」
これは俺なりの、距離の置き方だと思ってたのだが。
普通に接しすぎると、すぐにクロの話に入る自分がいる。
だから普段や先輩のいないところでは、名前で言うが、いる前では基本的に先輩と呼ぶ。
「それにしても、今日は星がきれいねえ!」
「・・そうだな」
――雲一つない夜空、月明かりで薄く照らす帰り道。
彼女は珍しく無邪気にはしゃいでいたが、その背中には、まだ何か背負っているようだった。
それはきっとクロのこと。
美奈の力を借りればどうにかなるかもしれないが、それには癒菜が部室に来る必要がある。
それに本人の条件が厳しすぎる。
「クロの許し・・・か」
クロがもしも美奈のように、人として表れでもしない限り、きっと癒菜は自分を許せないだろう。
この秋、クロの一回目の命日が来る。
その時癒菜は、何を想い、どんな行動をするのだろうか。
今年が一番大事な年になるだろう。
次回は新章突入です!
そしてハロウィンの日には、アナザーエピソードとして、本編とは別に。
俺と不思議少女のハロウィンを短編で出すつもりでいますので、お楽しみに!
ではまた次回に投稿でお会いしましょう!




