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俺と不思議少女の一年間!☆  作者: 蒼空
俺と不思議少女の偽装婚約者編
23/44

俺と癒菜の初デート2

デート編は今回で完結です。

二人のデートはどうなるのか!?

どぞ(/・▿・)/

木々の多い一本道を歩いたまま、気まずい空気が流れる。

あれから何度も説得をしてみたが、「戻らない」の一点止まり。


機嫌を損ねてないか心配だが、手を繋いでる辺り、まだ行ける。


「な、なあ、頼むよ、癒菜がいないとさ、なんかまとまらないんだよな」

「そんなの、部長である風夜がまとめれば済むことでしょう?」

「あ、ああ、そうだな・・・じゃなくて・・・はあ、何納得してんだよ俺は・・・」


まったく説得能力のない自分に、ため息が出る。

もっとうまくやらないと。


でも、なんて言えばいいのやら・・・。


「ねえ風夜、あれは事故なんかじゃないの、私が見落としたことによる、私の責任なの・・・・・・何度も言わせないで」


俺がこの話を切り出すと、最後には今の言葉だ。

そうやって、自分に罰を与えて、クロへの償いとしているつまりなんだろう。


本当は、誰も恨んでないって、わかってる、でも、そうでもしないと自分を保てないんだろう。


「わかった、癒菜のせいだとしよう・・・」

「やっとあきらめてくれたのね」

「・・・じゃあ、罪には罰、罰には許しが必要だ、癒菜の許しはなんだ?」


俺は、この場で話す最後の言葉として、その言葉を言った。

言われて最初は戸惑るようなしぐさを見せたが、少しして、何か浮かんだんだろう。

俺から手を離し、俺より一歩先にでて、言った。


「クロに許してもらうこと・・・かな」


後ろから見えた彼女の背中は、いつになく、寂しそうだった。


「・・・ほら、早く次の場所にいくわよ!」


スッと振り返って、俺の手を握り直して引っ張っていく。

その時は、もうそれ以上は言えなかった。





俺たちのいた公園から一本電車を乗り継いで、海の見える公園に着いた。

時間も予定通りに夕方。


「さあ、着いたわね」

「そこは普通、景色がきれい、とかいうだろ」


到着していきなりムードが崩れるような言い方した癒菜。


「そんなことよりも・・・するの?」

「えっ・・・そりゃあ、まあ、そうだろうな」


癒菜の母親が見ている以上、キスをしないわけにはいかない。

そうでもしなければ、納得してくれないだろう。


「いいのかな・・・私がもらって、その、風夜のファーストキス・・・」

「べ、別に俺は気にしてないぞ!」

「風夜がそうでも・・・美奈が、ね」


そうだった、まだ想いを伝えてなくても、美奈が俺の・・・彼女になるんだ。

無暗にするもんじゃない。


でも、冬との一件の時に、俺のファーストキスは終わっている。

でもそれを癒菜にも美奈にも言うわけにはいかない。


「大丈夫、きっと美奈はそんなこと気にしないさ。たぶん癒菜のことを考えて、自分のことを後回しにすると思う」

「わかったわ・・・じゃあ、行くわよ?」

「あ、ああ」


流れ的に、癒菜が俺の方に歩み寄る形となった。

俺は目を閉じ、癒菜が来るのを待っていたんだが・・・。


「あっ・・・!」

「え?」


癒菜の言葉に、咄嗟に目を開けた瞬間だった。

緊張で足が縺れた癒菜は、そのまま俺を巻き込んで、お互いに倒れる結果となり・・・。


「っ!?」

「・・・っ!」



そしてそのまま反転し、俺が上になって、あろうことか、癒菜とキスをしてしまっていた。


「・・・まさか、こんなことでするなんて・・・・・・怪我は、ない?」

「ああ、大丈夫だ。まあ、これはこれで、俺達らしいの・・・かな」


幸い地面は芝生が生えていて、怪我はない。

それに俺と癒菜なら、こう言う方がよっぽど自然なのかもしれない。


「・・・それもそうね」


さて、こんな形にはなったが、間違いなく、したことには変わりない。

これでとりあえずはデート内容は終わりのはずだが。


「デートはこれで終わりね、今日はありがとう」

「ああ、お疲れさま」


俺が癒菜に言葉をかけようとしたとき、癒菜の携帯に着信が入った。

癒菜はすぐにポケットから出し、俺に視線を向けた。

その顔つきから、相手は母親だということがすぐにわかった。


癒菜は電話に出て、話し初めたが、一言二言離し終えると、すぐに通話が終了した。


「・・・どうだった?」


俺が聞くと、癒菜は肩の力を抜いて答えた。


「・・・うまくいったわ」

「はあ、そっか、よかった」


俺は安心感で身体から力が抜けて、その場に座り込んだ。

俺が座ると、隣に癒菜もすぐに座った。


「今回のことで、当分はお母さんも諦めてくれると思うわ」

「そりゃ助かる、月に一度とかあったら、さすがに誤魔化しきれない」


そういって、俺と癒菜は二人で笑った。

そのあとは、癒菜の母も帰ったことで、いつも通りの関係に戻った。




そしてその帰り道のことだった。


「先輩、合宿先の花火大会の時にした約束だけど・・・」


このことはお互いに話し、なるべく早めに終わらせることにした。


「そのことなんだけどね・・・私には、風夜はもったいないと思ったわ」

「あきらめがついた・・・てことか?」

「ええ、デートして見てわかったわ、お騒がせしたわね。もう大丈夫よ」


どうやら癒菜の中で、何かが分かったようだ。

その表情は、喉のつっかえが一つとれたようだった。


「あと、やっぱり先輩ってつけてためぐちはおかしいわ」

「そうか?」


これは俺なりの、距離の置き方だと思ってたのだが。

普通に接しすぎると、すぐにクロの話に入る自分がいる。

だから普段や先輩のいないところでは、名前で言うが、いる前では基本的に先輩と呼ぶ。


「それにしても、今日は星がきれいねえ!」

「・・そうだな」




――雲一つない夜空、月明かりで薄く照らす帰り道。


彼女は珍しく無邪気にはしゃいでいたが、その背中には、まだ何か背負っているようだった。


それはきっとクロのこと。

美奈の力を借りればどうにかなるかもしれないが、それには癒菜が部室に来る必要がある。

それに本人の条件が厳しすぎる。


「クロの許し・・・か」


クロがもしも美奈のように、人として表れでもしない限り、きっと癒菜は自分を許せないだろう。


この秋、クロの一回目の命日が来る。

その時癒菜は、何を想い、どんな行動をするのだろうか。

今年が一番大事な年になるだろう。

次回は新章突入です!

そしてハロウィンの日には、アナザーエピソードとして、本編とは別に。

俺と不思議少女のハロウィンを短編で出すつもりでいますので、お楽しみに!

ではまた次回に投稿でお会いしましょう!

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