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俺と不思議少女の一年間!☆  作者: 蒼空
俺と不思議少女の偽装婚約者編
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19/44

俺と癒菜の偽装婚約者

今回は短い回になります。

予定では3~5話で終わります。

ここは癒菜の家のリビング。

合宿から帰って、俺は次の日すぐに癒菜に呼ばれた。

俺はいつもよりもキッチリした服装で癒菜の家へ足を運んだ。

どうやら本当に今日は癒菜の母親との対面日らしい。


「な、なぁ。本当にいつも通りでいいのか?」

「大丈夫よ。普段のあなたをしらないから」

「そ、そうか」


すると玄関の方からインターホンが鳴るのが聞こえた。

俺の隣に座っていた癒菜が立ち上がって、玄関へと向かっていった。

こう言うとき、グ〇グル先生やヤ〇ーの知恵袋は、いろいろと役に立つ。


「今回も事前に調べたから、大丈夫だ」


俺が緊張に深呼吸していると、玄関が開く音と共に、女性の声がこちらにまで聞こえた。


「癒菜、元気だった?ちゃんとご飯食べてるの?」

「あーはいはい、わかったから、いつも通りよ」


親、らしき人の声は、かなりテンションが高めで、癒菜から聞いた『仲が悪い』なんてイメージはない。


「こんにちは。あなたが風夜クンね」

「あっ。はい、こちらこそ、こんにちは」


癒菜の母は、癒菜ととても似ている。

まぁ親子だから当然なんだけど。

髪は癒菜と同じ金髪。

目は青。

スタイルもよく、普通に大人の女性。

そういったところだ。


「はぁ。お母さん、とりあえず座ってちょうだい」


初めて娘の彼氏を見てテンションの上がっている母を、癒菜が座るように言って座らせる。

癒菜はさっきと同じように俺の隣で、反対側に母。

ドラマとかで見たことのあるお見合いの感じだ。


「えっと。まずは紹介からね、こちらの方が私の彼氏の風夜君よ」

「風夜、この人が私のお母さん」


俺は癒菜の母と、もう一度挨拶を交わした。


「癒菜とはいつからなの?」

「え、えっと・・・・・・」

「三カ月前からよ」


すかさず癒菜が即答。


「出会いの場所は?」

「中学の頃からに友達になったわ」


これは嘘じゃない。


「どっちがどこで告白したの?」

「私からしたわ、場所は・・・・私の好きなクレープ屋さんのある公園よ」


クレープが好きなのか。


「いつ婚約が決まったのかしら?」

「一昨日、合宿先のお祭りのやっている神社の上で決まったわ」


半分あっている。


「といっても、婚約の話は前からしてたわ」

「そうなの?」


母は俺を見た。

俺はコクリとすぐに頷いた。

横では余裕の表情で癒菜がアイスココアを飲んでいる。


「それじゃ最後に風夜クン――」

「は、はい」


俺はどんな質問をぶつけられても答えられる自信がある。

さぁ、どんとこい!


「癒菜との初めてはどうだった?」

「えっ?」

「っ――!?」


なんと言う爆弾発言。

隣で余裕の表情でアイスココアを飲んでいた癒菜が、盛大に吹いた。

なんかもう、いろいろとぶち壊しだ。


「な、ななっ。なんてこと聞いてるのよ!!」


癒菜が口を拭きながら言った。


「あら、シタンじゃないの?」

「してないわよ!」

「そんなことしてません!」


俺と癒菜が必死に否定すると、癒菜の母は『あら、まだだったのね』

といって、なぜか少し落ち込んでいた。


「もうっ。なに言うと思ったら」

「婚約者が決まっていってたから、もうしてたと思ってたわ」


さすがにこの言葉は返せない。

てか返すより否定する。


「それより、そんなこと言うためだけにきたの?」

「そうだったわ。癒菜、あなた帰ってきなさい」

「は・・・はぁ?」


癒菜はありえないと言った感じだ。


「だって婚約者がいるなら、帰る理由も――」

「あるわ。お父さんのしたで秘書として仕事しなさい」

「いやよ!あんな人の下で、それも秘書なんか!」


癒菜は父親が出た瞬間、取り乱して勢いよく立ち上がった。


「落ち着けよ、なっ?」

「あ・・・・そうね、取り乱してごめんなさい」


まぁ、理由はどうあれ、美奈一人じゃ不安だから、美奈には冬の家にでも泊まりに行ってもらおう。


「第一風夜は妹と二人暮らしなのよ?そんなに簡単にOKが出るわけないじゃない」


そういって俺の方を見てくる。

まぁ俺としても、回避できればその方が一番だ。


「そうですね、俺も妹の面倒見たりとかもあるので、それはちょっと勘弁したいですね」

「そうなの?じゃあ、泊まりこみはなしとして、二日間二人でデートならどお?」


次の提案が飛んできた。

まぁ二人でデートなら、見られたところで抵当にごまかすことができる。


「ちょっとまってちょうだいよ。なんでそんなことが、私を連れ戻すのと関係があるのよ?」

「大ありよ、これでしっかりと婚約者としてお父さんにみとめて もらえれば、別に帰ってこなくていいわ」


その答えを聞き、癒菜は少し悩んでいる様子だった。

少しの間黙ったまま考えている。


「・・・・わかったわ。その提案、乗ってあげるわ」

「わかったわ」


そういって癒菜の母は、立ち上がり部屋を出ていく。

そのあとを癒菜がついていき、俺も玄関までついていく。

ここは婚約者としてちゃんと見送らないとな。


「それじゃあ、楽しみにしてるわ」


そういって玄関をでて行ってしまった。





「ごめんなさいね。まさかこんな大事になるなんて思わなかったわ」


リビングのソファにくつろぐ癒菜。

俺もその隣に座る。


「こんなことになるなら、俺じゃなくても幸也でよかったんじゃないか?」

「でもたぶん幸也だとなんかやらかしそうで怖いわ」

「まぁ、それもそうか」


いくら本当に付き合う相手だとしても、幸也がなにか恥ずかしいことをしないことはない。

なにせあの幸也だ。

ド変態な幸也だしな。


「まぁ何はともあれ話は早く終わってよかったよ。今日は俺が夕ご飯の当番だからさ、たぶん美奈がお腹空かせて待ってるとおもうから、そろそろ帰るよ」

「わかったわ。今日はありがとう、また明日。予定はきったら今日中に送るわ」

「わかった」



俺は癒菜の家を後にして帰路にたった。






「あ、お帰り。お腹ペコペコだよ~」

「ごめん、今作るから」


そして美奈がソファにぐったりとして待っていた。

その言葉に後には、お腹が鳴って、顔を赤くしていた。

時間は七時半、うちはいつも早めに食べてゆっくりしてるから、今日は遅い方だ。


「婚約者・・・か」


夕飯の支度をしながらふと美奈とのことを考える。

もしも美奈と付き合って、美奈さえオッケーなら、婚約者になることだってあり得る。

でも次の自分の頭に過った言葉に、現実を知る。



『私は、一年だけ人として生きる事を許されたの・・・・』



婚約のはなしなんて、まだ何年も先。

しかしその頃には美奈はいない。

俺はきっと約束通り冬と付き合っているだろう。

その時俺は、本当に・・・・俺の本当の気持ちで、冬に接することができるだろうか。


楽しい毎日で、忘れていた約束。

いや、覚えていてもそれを現実として受け止めようとしない自分。

この毎日が、この先何年も、ずっと、歳を取るまで続くと思っている自分。

俺は――


「今日の夕飯はなに?」


台所に立って考えている俺の隣に、ひょこっと顔を出してき美奈。

その表情はとても素直で、夕飯が何か考えてもいた。


「今日は素麺だ、もうすぐできるからな」

「夏にはちょうどいいね!」

「あぁ、そうだな」


一年後、俺の隣には美奈はいない。

この部屋は、俺は、どうなってしまうのだろうか。


でもとりあえず今は、今ある現実に向き合おう。

次の回は癒菜先輩との初デートです!

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