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 「まさかな……」

碧斗は教室から自分以外がいなくなるの待ちそっとノートを取り出した。

                    §§

 伊吹梨乃、存在消失。代わって井上瑠奈の存在出現。

 桜田亜澄、存在消失。代わって佐野真奈美の存在出現。

 大沢瑞樹、存在消失。代わって大野隼人の存在出現。

 飯田沙希、存在消失。代わって井端光の存在出現。

 大本心葉、存在消失。代わって岡本真の存在出現。

          ・

          ・

          ・

          ・

                   §§

 ずらずらと並べられた言葉。いや、名前。代わって以降の名前は確かにクラスメイトだ一ページにずらりと並べられ規則正しく書かれた文章。

「マジかよ」

笑おうにも笑えず微かな足音が耳に入り碧斗はノートを机に放り込む。すばやく自分の席に戻り寝ているふりをした。

「いや~ホント忘れ物」

扉があき誰かが入ってくる。声からして誠次だろう。碧斗はそっと顔をあげ今起きたというようにあくびをした。

「誠次か……。何やってんだ?」

少しわざとらしくなり微かに声が震えていた。

「うん、ちょっと忘れ物。海斗こそ何やってんだ?」

「いつの間にか寝てたんだよ」

碧斗は苦笑をつくる。誠次がケラケラと笑った。

「笑うなよ!」

いつものようなノリに戻ったと碧斗はほんの少し安堵する。

「あーそうそう。暇なら今日家こない?」

碧斗は一瞬警戒した。いつもの問いなのに違う意図を感じたからだ。

「そうだな。そのまま行く」

それでも断るのは不自然だと思い、出来る限りいつも通りの振る舞いで頷く。鞄を持ち教室を出た。


「おしいなぁ。もろいなぁ」

 一人なことを確認し呟く。携帯電話を閉じうっすらと笑みを浮かべた。

 もっとも、わかるわけないんだけど。

 心の中で呟き嘲笑うようにノートを焼却炉に入れた。


 いつものように部屋へあがる。相も変わらず奇麗な部屋でゴミ一つ落ちていない。

 「ほんと変わんねーな」

 ふと碧斗は呟く。

 「母さんが片付けてるからな」

 少し自慢げに言う誠次に心中苦笑しつつ適当に腰かけた。不意に扉があき猫が入ってくる。誠次がイライラしながらもヘットホンを置き猫に背を差し伸べた。

 「くんなって言っただろ?ゴンザレス。海斗のところにでも行ってろ」

 「全力で断るわ」

 碧斗がうんざりとした表情で言う。誠次の表情が一変し、笑顔になった。

 「あれー?碧斗くんは猫嫌い?」

 「うるせー。あと、猫の名前変わった?」

 誠次からやや離れつつ問う。

 「猫自体が変わったんだよ!いいだろー、ゴンザレスっていうんだ」

 「あぁ、最悪なネーミングセンスだ」

 碧斗はあきれた表情を見せなんとか話題をそらしていく。

 「な!悪くないって!……」

 必死に反論を始める誠次にあきれつつ、碧斗は思う。

 話題そらす方向間違えたわ。

 「あー、はいはい。悪かったね」

 やや棒読みながら言い、小さく肩を竦めた。

 「あぁ、そうそう海斗。ちょっとまじめな話しよ」

 誠次の言葉で部屋の空気がピリピリしたものに変わる。そう、誠次の抱えた猫が逃げ出すほど。

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