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 「おそかったわね」

誠次が座っているはずのそこにはセミロングの髪を揺らす月葉が座っていた。

「何のつもりだ?」

予想外というわけではないがややいらつき、強い口調で問うた。月葉は微笑み座るように促す。碧斗は警戒しつつも正面に座った。

「さて、なにから説明すればいいのか」

月葉はつくったような困った表情を見せる。チャイムが鳴り碧斗は逃げるようにミキサーを操作し始める。適当にCDを入れながす。クラシック風の音調が二人をあおるように始まる。

「そうね。まず、あなた以外にもあの能力を持つ人はいるの。私とあなたと、あと一人」

二人はほぼ同時に弁当を食べ始める。月葉の弁当は小さくピンクが主体でなんともかわいらしいものだった。

「その能力を持つ人には他人が書いたことが現実になっても記憶はなんともないの」

「なんともない?」

「そう、他人がやったことに影響を受けないの。だから、あなたが殺し私が記憶を改ざんした高田麗菜は最初からいないことなってる。だから、高田は最初から・・・・私一人なの」

碧斗は怖いと感じる。背筋にさむけがした。月葉のただ純粋な微笑みにすら。

「最後の一人は誰なんだ?」

「知らないわ」

碧斗の問いに月葉はすらりと答えた。ムスッとした様子がわずかに話しにくくさせた。

「いろんな人間に話しかけたけど誰もヒットしなかったわ。ただ、わかってるのはこちらに敵対してること」

「?」

「今までにも貴方の周りでたくさん殺られてるみたいでね。あなたの大事だった・・人が」

月葉は無邪気な笑みを碧斗に向け話を続ける。

「もしくは貴方の周りの誰かかもよ?独占力の強い友達とか」

薄笑いを浮かべる月葉を碧斗は睨みつけた。

「いい加減にしろ」

碧斗は冷たく吐き捨てる。月葉は碧斗から顔をそらし話を続ける。

「でもまぁ、あなたの周りにいることは間違いないかもね」


 チャイムと同時に放送室を出た。頭の中では月葉の言葉がぐるぐると回っている。もし本当ならしなければいけないこともある。誰がそれなのかも把握しなければいけない。

「いや、もう使わない」

碧斗は一人つ呟き教室に入る。先にしなければならないことがあるのだから。

「誠次!」

強くその名を呼びひどくあきれた表情を見せた。

「わかってるよな?」

あくまでやさしく、しかし気迫を籠めて問う。

「いや、その、あはははははぁ」

目の前を通り過ぎようとする誠次の足を碧斗は引っかけた。誠次はもろに引っ掛かり転びそうになりバランスを取り戻そうとした。碧斗は誠次の首にかかったヘッドホンをつかみとめる。

「さて、どうなりたい?」

碧斗の問いに誠次は必死に首を振るも完全にスルーされにぎやかな教室が誠次の悲鳴によって静まり返った。


 HRが終わりチャイムが鳴り響く。ほとんどの生徒が下校を始める中、碧斗はただ考え事をしていた。首に巻いた包帯がふだんより息苦しく感じ意識するともっと苦しく感じた。

「!」

一番後ろの席に座っていることで一つのことに気づく。一番前の誠次の席、机の中に一冊のノートが入っていることに。

「まさかな……」

碧斗は教室から自分以外がいなくなるの待ちそっとノートを取り出した。


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