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なんで?
アラームが鳴ったままの中、机の上におかれたノートに目を見開く。昨日確かに燃やしたはずの空想が書かれたノート。中を見ると燃やす前のものと何ら変わりがない。ただ、最後の一ページにこのノートを燃やしたことと今碧斗がとった反応がつけたされていた。
「………………」
口をパクパクさせ言葉を発しようとするが声が出ない。
「あおとー」
珍しく起きているのか母親の声。碧斗はあわててリビングに向かう。いつ窓があいたのか、カーテンが揺れ風が迷い込む。机に置かれた空想日記の空白ページが開かれる。
文字が浮かび上がった。
§§
いつもと変わらぬ雰囲気を出すクラスの中、碧斗は女子生徒と接触した。
§§
思考を巡らせても仕方がないと食事を終え部屋へ上がる。開かれたノートを閉じ鞄にいれカッターナイフに手を伸ばす。ここまではいつも通りだがこの日は別のものも手にとる。
カッターナイフの替え刃。
半透明なケースを手にとりカッターナイフと共にポケットにいれ部屋を出た。
いつも通りだ。
いつも通り過ぎて不思議に思う。確に高田はここにいない。しかしまるでなにもなかったかのように明るい、いつものにぎやかな教室だ。不自然すぎるほど。
「はよー、海斗」
「おはよう、海くん」
誠次とそのとなりに初めて見る顔。可愛いとも綺麗ともとれる顔付きをした女子生徒。
「はよ。誠次と……誰?」
ほんの少し警戒の色を出す碧斗。誠次はそれに笑ってこたえる。
「お前サイテーだな。忘れたのか?去年から同じクラスじゃねぇか」
「高田だよ?高田月葉」
碧斗はあえて明るく表情をつくり言う。
「ああ、そうだったな。悪い」
内心はかなり驚いている。少しずつ探りを入れていくしかない。
「ところで俺の知り合いに高田ってやつがいるんだけど君は知り合い?」
結構大胆に探り入れている様なきもするが名前もいっていないのにねっかってきたらビンゴだ、などと考える。月葉は一瞬考え笑顔でこたえる。
「うん、そうだよ。皆しらないけど双子なんだ」
知らないの意味は高田がいたことを知らないと意味するのだろうか?誠次は謎の会話に入り込まずただ呑気な顔で聞いている。
「下の名前で呼んでね?」
ほんの少し甘い口調でセミロングの髪を揺らし首をかしげ言う。
「わかったよ」
渋々口調でいうが半分ぐらいはなげやりにいう。
「な!海斗、それは裏切りだ!下の名前で呼ぶなんてまさか……」
やっと会話に入ってきた誠次の口を塞ぐ。クラス中の視線が集まりひそひそ話が始まっている。まさかとは思うが狙ったんじゃねーだろーな?と問いたくなる。もうこの学校で平穏な生活はおくれないだろう。
「てかその髪型とスタイルは相変わらずだな」
碧斗はわだいをかえようとあえて誠次に話をふる。
「センスがいいとは言い難い。朝会がある日以外は必ず首にかけてるそのヘットホン。ネクタイとカーディガンはゆりぃし」
出来れば誠次にも話題をふりたくないがチャイムがなるまではこれで持つしかない。月葉にふるよりはましだろう。
「とどめに、ふんわり~だったっけか?その前髪結ぶの。いくら校則緩くても……ホントに中学生かよ!ばかな高校生にしか見えないぞ」
「な!なんてこというんだ!この髪型はな、俺のポリシーなんだぞ!これを…………」
長々と説明を始める誠次に碧斗は苦笑しつつ思う。
訂正。この場合は月葉にふったほうが楽だ。
「そろそろチャイムがなるんじゃない?」
碧斗は二人が席へ戻るよううながせる。
「そうだな」
誠次はしぶしぶと席にかえる。月葉少し弾んだ足取りで席に戻りタイミングよくチャイムは鳴った。
昼休みが始まる。時の流れがはやいような気もするがまぁ。
弁当箱を片手に教室を出る。B棟にある放送室へと一直線に歩く。賑やかな廊下がうざったく感じイラだちほんの少し歩く速度を速め逃げるように放送室へと駆け込んだ。放送中の赤いランプが点灯していることからすでに誠次は来ているのだろう。ミキサー室とアナウンス室の二つの扉が並ぶ中、かすかに明かりをもらすミキサー室へと入る。
「おそかったわね」




