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俺が殺した?
ざわめく教室で一人思考が停止していた。ノートと共に机に入れた手が微かに震えている。いくらなんでも冗談だろと言いたくなるが目の前で見てしまったのだから。
「警察が……くる?」
冷静になろうと思考を回らせるもうまくいかない。ただ、しまったノートを取り出し書き込む。
『ざわめくクラスの中警察官は碧斗に気がつかなかった。
クラスメイト達は碧斗に何事もなかったように接した。』
書き終えても誰も話しかけてくることはない。ただ、ざわめきは全クラスへと広がり他クラスの生徒達が見に来ている。教員が数名上がってきているが碧斗はただ、焦っていた。
なにがいけない?
碧斗はただ、思考を回らせていた。喧騒など耳に入っていない。ただ、考えては手を動かした。
『教室の周りがざわめいている中、クラスメイトは碧斗にいつも通り話しかけた』
書いたものを現実にさせるにはある程度のルールがあるらしくホントに理想彼女に似ていると思う。でも正直碧斗は怖かった。ただ、書くだけで現実になってしまう。
怖い。
その思いは込み上げてきた。震えているわけではない。ただ自分なんかが持ってちゃいけないと思った。非日常が訪れたのは嬉しい。嬉しすぎる。しかしこれは強烈だ。だから自分の部屋で最後の非日常をノートに記入し庭で燃やした。
碧斗がノートを燃やしたことをバカだと思った。コレさえあれば世界を操れたというのに。
心底バカだと思った。
§§
吐いた息は白くなり天空をさまよってから消えゆく。体育館の二階部分、白い扉に隠された階段を急ぎ足で上り体育館放送室でミキシングを行う。出されていた椅子に座り時間をまつ。この時間はすごく暇だった。
チャイムと同時に朝会が始まる。意外にも静かになっている体育館。マイクを通しスピーカーから聞こえる声。先日……から始まる校長の長い話。
教員の号令で終わりを迎えるはずだがざわめき声と足音が聞こえ静寂に包まれる体育館。端による生徒。生徒をかばうように立つ教員達。
正面に立つは男が二人。ナイフを持った男と銃を持った男。どちらも身体付きはいい方だろう。しかし碧斗は飛び出しカッターナイフで男を刺した。そして楽しそうに笑った。
警官からの問いかけには憶えていないわからないと答え病院を抜け出した。
白々しい視線のなか碧斗はノートの力に気付きそしてクラスメイト・高田を殺した。そして恐れをなし最後の願いをかいてノートを庭で燃やす。煙は天高く舞い紙のもえるかおりが鼻をつく。それはまるで死んだ高田が碧斗を責めるように。
§§
その夜。碧斗は眠れなかった。ベットに入って目を閉じても眠れなかった。
手を下したのが自分じゃなければこんな風にはならなかっただろうか?
いや、直接は手を出してない。それでも、偶然なんて言い訳はできない。ノートはもうない。もう、日常になど戻れないのだ。
朝。鳴り響くアラームで目を覚ます。机の上には一冊のノート。見覚えのあるそれ。機械でかかれた文字。
それは、燃やしたはずの空想日記。