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眠い。
ケータイのアラームがこれでもかという音量で鳴り響いていた。
7時。
暖かな布団をでて制服に着替える。誰もいないリビングで朝食をとり部屋に戻る。スクールバックを持ち家を出る。誰もいないバス停の前、少し離れた場所にで足を止めバスを待つ。
7時47分。
少し遅れてきたいつものバスに乗り込みラッシュ時間を過ごす。すいているとは言えないがぎゅうぎゅう詰めではない。10分ほどゆられいつものバス停―TB中学校前で降り校門をくぐる。いつも聞こえるはずの運動部の掛け声が聞こえず焦り歩くスピードが少し上がった。
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吐いた息は白くなり天空をさまよってから消えゆく。体育館の二階部分、白い扉に隠された階段を急ぎ足で上り体育館放送室でミキシングを行う。出されていた椅子に座り時間をまつ。この時間はすごく暇だった。
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急ぎ足で白い扉に隠された階段を上る。体育館放送室にこっそりと入りあたかも最初からその場にいたかのように立つ。ばれないだろうか。ばれないといいのだが…。
「海斗!」
限られたメンバーしか呼ぶことのないあだ名を呼ばれ嫌な予感がする。どうやらばれたらしい。
「せ……誠次」
誠次は怒ったような表情を見せ立っている。碧斗はそれを見なかったことのように扱おうと正面、体育館ステージをのぞける窓を見た。無論、ステージどころではない。
碧斗はすばやく椅子に座り仕事してますよ雰囲気を出した。一度目のチャイムが鳴り生徒たちの足音がする。生徒が来始めた以上誠次もそう口を出せないだろう。二度目のチャイムで、朝会は始まった。
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静寂に包まれる体育館。端による生徒。生徒をかばうように立つ教員達。
正面に立つは男が二人。ナイフを持った男と銃を持った男。どちらも身体付きはいい方だろう。しかし碧斗は楽しそうに笑った。
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朝会は終わりを迎えようとしていた。
校長の長い話が終わり号令が掛けられる。
ハズだった。
体育館内がざわつき、すぐに静寂に包まれる。なにごとかと碧斗は立ち上がった。
「見てくるよ」
体育館放送室に一年生二人を置いてギャラリーからそっとのぞく。生徒は端により教員は守るように立ち目の先には拳銃とナイフを持った男が二人。碧斗は小説の一部が思い浮かぶ。
同じだった。
碧斗そっとギャラリーを後にし階段を下りる。ポケットに手を入れカッターナイフの冷たい感触を確かめる。白い扉を開け走り出した。
「!」
一部の生徒が表情を変えるが碧斗はなにも考えていなかった。カッターナイフを取り出し刃を出していく。ナイフを持った男に走った勢いで腹部に刃をめり込ませえる。鈍い音と鉄の香りがして男からナイフがずり落ちた。男は倒れこみ紅く染まったカッターナイフが顔を出す。
碧斗は静かに笑っていた。
その姿に恐怖してか拳銃をもった男は両手で碧斗へと構える。二発、発砲しどちらも碧斗の躯へと吸い込まれていく。しかし碧斗は笑みを浮かべ続けていた。自分に非日常が訪れたことが痛みに勝っていたからだ。たとえ一日でも退屈な世界が変わったことが何よりうれしかった。腕と腹部からたらたらと流れ出す血の香りに酔うように舌なめずりした。
「ひっ!」
男はもう一発撃ち込む。その弾は碧斗の首をかすり壁にめり込む。警察が駆けつけたのか外は騒がしい。
碧斗の記憶はココで途絶えた。
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紅いしずくが垂れる。碧斗は笑った。ただ、笑った。男二人は倒れていた。
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小説はここで途絶えている。続きはない。まだ、書かれていない。
なら、つくっていけばいい。
そう思わない?