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夕日は少し眩しかった。
時々吹く風は教室の掲示物を揺らし隣に座る女子生徒の髪を揺らしす。心地の良い風は時折笑みをもらさせて時折女子にイジワルをした。
「海!海碧斗!きいてるのか?」
フルネームを呼ばれ少し嫌な顔をする碧斗。もとよりこの教員は嫌いだ。
「きかなくてもいい話じゃないですか」
椅子から立ち上がることはなく頬杖をつきぶっきらぼうに言った。事実、大半の生徒が聞いていないだろう。
「いい加減にしろ!」
クラス担任のどなり声が聞こえるがすべてスルーしただ夕日を見ていた。
「このクラス、面白そうだな」
そう言って一人の男が教室に入ってくる。碧斗は男を見つめポケットへと手を入れる。
「いいか!ここで殺し合いをしろ!この中で生き残ったヤツだけがココをでれる。無論、人殺しとなってだがな」
男の声に誰もがびくついている中、数名はクラス担任に向かって走り出した。
「死ねぇぇぇぇぇぇ!」
野球部のバットをもち殴りかかる。男は大声で笑い、数名が止めに入ろうとするが男に足を引っ掛けられ転んだ。抵抗もしないクラス担任を数分殴り続ける。勢いよく振り下ろし勢いよく振り上げる。血が飛び散りクラスメイトの表情が歪む。
「……」
男の笑い声が止まらぬうちに静かにゆっくり席を立ちゆっくりと近付く。ポケットから取り出したカッターナイフの刃を出し殴りかかる生徒の脇腹を突きす。男の笑い声が止まり驚きの表情が見られる。
「銃刀法違反じゃねーのか?」
「これは刃の長さ5.5センチメートル。持っている理由としては美術で使う予定があった。それで済む」
冷静な声で男の問いに答える碧斗。男はまた、笑い声を響かせた。
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いつこれをかいたのか。字がいつもより雑でひと目で怒っているとわかるものだった。どうやら怒りにまかせてペンを走らせたらしい。ストーリーとしてはがさつといえるだろう。
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教室内では内乱がおきていた。殺しをすることに賛成なものと反対なものが言い争う。碧斗は賛成側に身を寄せるものの話には参加せずただ男をみつめていた。
「もおいい!」
一人の叫びに教室内に沈黙が流れる。
「従わせればいいじゃねぇか」
男の一言に数名は目つきを変え反対する者へと飛びかかる。碧斗は飛びかかってきた一人の女子生徒にカッターを向けるが格闘技をやっていたのか手首をつかんできた。
「……」
碧斗はあいた右手で女子生徒のみぞおちへと不意打ちに近い形でヒットさせた。苦しみ床に膝をつく女子生徒へと本気でけりを入れた。胃液を吐き出す女子生徒を見下し次に男を睨みつけた。
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そう、これはあくまで空想の話だ。