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二人の影。碧斗は焦りを見せた。

「月葉!誠次!」

無意識のうちに二人の名を呼ぶ。誠次は今まで見たことがない表情で、月葉を睨んでいた。この位置からは月葉の表情は見えない。

「海くん!駄目だよ、ココから逃げて!」

月葉が振り返り涙目で言った。碧斗が疑問符を出す。

「桜田君が……」

月葉の言葉が途切れる。碧斗は反射的に誠次を見た。いつもの誠次とは少し違う。いつもならあげている前髪もたれ、いつもならつけているはずのヘットホンもない。

「てめぇ、よくそんなことが言えんなぁ」

カッターナイフの刃が月葉をかすった。Yシャツが紅く染まる。

「誠次!」

「海斗は黙ってろ!お前には関係ねぇ!」

誠次の怒鳴りに碧斗は一瞬怯んだ。

「関係なくないだろ!」

「無い」

誠次が無理矢理に会話をきる。

「体育館出入り口付近の水銀灯を支える鎖はちょうど錆びきって落下する」

誠次が感情的に言う。誠次が言った通りに、四つの出入り口付近の水銀灯が落下した。碧斗が反射的に月葉を押し体育館内へと転がる。はっきりとは見えないが、誠次は眉間にしわをよせているのだろう。

「誠次!マジでちゃんと説明しろ!」

碧斗にいわれ誠次が面倒そうに舌打ちした。

「海斗がみたノートの中は、クラスメイトの名前がずらっと並んだものだったろ?」

誠次は投遣りに問うが碧斗の返答を待たず進める。

「あれはあいつのなんだよ。昨日謝ったのは、海斗に力を持たせたのが俺だからだ」

誠次は「もういいだろ」と、カッターナイフの刃を投げる。月葉が脅えるように避け、頬をかすった。

もう一度会話を整理しろ。

碧斗は本能が呼び掛けている気がした。

「違う!私はなにもしてない!」

月葉の高い声が響く。碧斗は状況を整理するための時間を稼ぐためポケットに手を入れる。

「!」

たりない。

「代え刃なら俺が持ってる。昨日とっといた」

碧斗が舌打ちする。

考えろ。

碧斗は立ち上がり手をポケットから出す。カッターナイフは持たない。かわりに思考をフル回転させた。

最重要項目はどちらが嘘をついているのか。それを確かめる術。

碧斗は誠次の特徴や性格を思い出す。大事な物は身に持つ事が多い。ノートは恐らく大事だろう。隠しやすくある程度出しやすい場所。

「背中か?」

一人小さく呟き呼吸をととのえる。

どうやって背後にまわりこむか。

一番の難題だろうことを碧斗は考え始める。身体能力では勝てないだろう。身長は向こうのほうが高い。

「猫…。この静かな中、猫が寝転んだ…、」

ふと思い付き呟くも、なにいってんだよと突っ込んでしまう。自分に。しかし一瞬、面白さを感じた自分に恥。

「ゴンザレス…?」

不意に誠次が呟く。碧斗は振り返った。

「は?」

猫が、ゴンザレスが、寝転ぶ。

呆然とする誠次に碧斗は笑いを堪えつつ横から背に手をのばす。

固い感触。

碧斗はそれをとり、ほぼ反射で防御姿勢に入る。思い蹴りが両腕にあたり衝撃を吸収する。それでも痛いことにかわりはなかった。

体勢をととのえノートを開く。


                    §§



体育館出入り口付近の水銀灯を支える鎖はちょうど錆びきって落下する



                    §§


最後のページの文字。碧斗はページを遡っていく。

                    §§


これと同じ性能を海碧斗も持つ。

                    §§



誠次の言っていることが本当。

碧斗は確信した。


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