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夜、人影に潜む  作者: 影人
第1話:放課後は夜の気配を帯びて
4/41

1‐3

「ちょっと『夜』を討ちに行ってくる」

 そう言い残したきり、兄は帰ってこなかった。八年前の、夏の夜のことだ。

 兄は、強い人だった。いつも笑顔で、周囲の不幸を吹き飛ばしていた。

「ともー。小腹すいたろ。冷凍庫にアイスあっから、いっしょに食おうぜ」

 ぼくと兄は、アイスが大好きだった。ソーダ味の、かじると背筋が「ひええっ」てなるやつだ。兄と並んでアイスをほおばるのが、ぼくの日課になっていた。

 失踪したとき、兄はまだ高校生だった。その夜のことは、いまでもはっきり覚えている。いつもと違う兄の様子に異変を感じたぼくは、兄を引きとめようと泣きじゃくった。

「そうグズるなよ。朝には絶対帰るって。アイス買ってくっから、いい子で待ってろよ」

 兄はぼくの頭をぽんぽんとたたき、夜の闇へと消えていった。

 そして、あくる朝。若い男の人が訪ねてきた。

 その人は傷だらけの体を引きずりながら、持っていたアイスを無言でぼくに手渡した。ソーダ味の、かじると背筋が「ひええっ」てなるやつだ。

 どろどろに溶けたそのアイスを、ぼくは食べることができなかった。


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