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夜、人影に潜む  作者: 影人
第2話:大きな声で小さな一歩を
17/41

2-9

「なにも、はたくことはないだろう」

 季節外れの紅葉をほほに咲かせた岳人先生が、つぶやいた。

「妹の裸を見たところで、劣情をもよおしたりはしない。共に入浴していた仲だろうが」

「それは、お兄ちゃんが高校に入る前の話でしょ! 昔といまをいっしょにしないで」

 パイプイスの上にあぐらをかきながら、耳の穴から蒸気を吹き出しかねない様子で異議を唱える国沢さん。

 よかった……。彼女にも、思春期相応の恥じらいはあったんだ。

「で、ちぃちゃん――森永ちゃんがどうかしたの? あの子なら、十分くらい前に帰ったよ。唐田くんといっしょに」

「そうか。しまったな。縄で縛ってでも食い止めておくべきだった」

 物騒なことを言いつつ、先生は目を伏せた。

「追うぞ、すぐに」

「えっ。どうしてですか」

 唐突な発言に虚を突かれ、ぼくは思わず問い返していた。

「森永とやらの影には、『夜』がいた」

「わ、わかるんですか? そんなことが」

「まあな。だが、説明しているヒマはない」

 立ち上がり、ケータイを取り出す先生。白衣を脱ぎつつ、どこかと連絡を取り始めた。

「俺だ。十九時二十分ごろ、一組のカップルが下校した。いまごろは一号線付近を歩いているものと推測される。ただちに足止め願いたい」

 はっきりとした声で、用件を伝える。唐田たちの特徴を述べて、電話を切った。

「喫緊事項だ。森永の『夜』は、かなり成長していた」

 ぼくと国沢さんは、急いでヘルメットをたぐり寄せる。

「もはや、いつ血を降らせてもおかしくないぞ」


挿絵(By みてみん)


 今回は主要キャラの比較表を載せてみました。

 絵師はもちろん、みるのさん。

 毎度毎度、丁寧な仕事をしていただき、本当に頭が下がります。


みるのさんブログ

http://blog.goo.ne.jp/namaharu01

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