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探偵のもくろみ

盾原と闇探偵は確実に繋がっているのか⁉殺害トリックの謎は⁉物語は終盤へ‼

〇宇佐岡学園・校舎裏

増城の革靴が片方、地面の草木を踏みしめる。その音に反応し、振り返る盾原。

盾原「教室は大変だったでしょう?増城先生」

増城、堅苦しい顔で返答する。

増城「まあな」

増城「それより聞きたいことがある お前に!」

盾原「――その前にまずあなたから言うことがありますよね……」

目をカッと開く盾原。

盾原「謝罪とか反省!」

盾原「あるんでしょ?俺がじっくりと聞いてあげますよ?」

増城「とんでもない探偵に出会ったな…」

増城「けれどお前の言う通り罪悪感はある 金を奪った上 たくさんの人間を殺したからな」

盾原、右手の親指でコインを上に弾く。

盾原「これは興味本位ですが 奪ったお金はどこに?」

増城「お前が昨日 言い当てた通り 今もなお別の仲間が保管してる」

欲に満ちた顔の盾原。

盾原「へ~~ じゃあ強盗したの黙ってあげるからお金を分けてください いくら払ってくれます?」

増城「口止め料か⁉」

増城が 苦悶(くもん)に満ちた表情を浮かべ、

増城「…仕方ない 1000万でどうだ?放課後に昨日のマンション前で渡す」

増城「その代わり強盗のことは黙ってろよ」

右手の指でコインロールする盾原。

盾原「1000万か 悪くないでしょう」

盾原「でも昨日のマンションではなく 最寄り駅の構内で渡してください」

増城「…構わないが それより中添を殺したのはお前か?」

盾原、3枚のコインでジャグリングする。

盾原「なんで?殺すメリットも動機もないでしょ…あっ」

ミスしてコインを1枚地面に落とす。

コインを拾う増城。

増城「にしても昨日 強盗計画を見抜いた探偵の正体がまさか警察から絶賛されてる名探偵だったとはな」

増城、拾ったコインを盾原に差し出す。

増城「なんで警察に信頼されてないと嘘をついた?」

コインを受け取る盾原。

盾原「探偵の立場上 お答えできません」

増城「フン!秘密主義だな!」

増城、背中を向けて去っていく。一人きりになった盾原。

盾原「あ そういえば…」

盾原の視線の先に校舎裏の窓と、その1メートル上に換気口。

盾原「ちょうど事件現場の裏手だったな……」

後ろを振り向く盾原。備品倉庫とその右脇に置かれた3つの古びた学習机。

盾原、学習机を1つ持ち上げる。

盾原「よいしょと」

せっせと学習机を運ぶ盾原。学習机を窓の下に置く。

盾原「さてと」

学習机の上に両足を載せ、換気口を覗き込む。

盾原「うーん ヒントになりそうなものはなしか」

盾原「それより……」

机の上で座り込む盾原。

盾原「糖質不足だ……スイーツ食べたい」


〇宇佐岡学園・体育館

体育館倉庫の扉の前でへこむ、元気のない盾原。

盾原「は~~っ」

名倉「さっきの菓子 ふぃ ふぃ?」

シバ「フィナンシェ 欲張って食べすぎるからですよ」

盾原「シバくんだって食べたよね?あーあ スイーツないと推理まで持たないよ……」

シバ「…こんな状態ならやむを得ないですね…」

体育館出入口に向かってシバ、大きな声で呼びかける。

シバ「出番ですよー!」

誰かの大きな声が返って来る。

声「はーい!」

盾原「もしかしてこの声⁉」

シバ「はい 盾原探偵の回復担当のあの方です」

ツインテールの髪型で長袖の白のコックコートの上から黒のオーバーオールエプロンをまとった探偵助手 (けん)パティシエの 美波(みなみ) 瑠子(るこ)(21)がバスケットを右手に携え、倉庫までやって来る。

シバ「特別に入るのを許可しました」

盾原の顔が希望に満ちる。

盾原「おおっ!瑠子ちゃん!さすが俺の一番弟子だよ‼」

バスケットを差し出す瑠子。

瑠子「スイーツを作ってきたので私も捜査に参加させてくださいね!盾原先生‼」

瑠子「パティシエだけでなく正式な助手として!」

盾原「もちろんオッケーさ!」

瑠子から受け取ったバスケットを前に盾原、嬉しそうに心を弾ませる。

盾原「なんのスイーツかな~~?」

バスケットのふたを開ける盾原。中はフランスのお菓子、ガレットの詰め合わせ。

盾原「うわぁ!ガレットだ‼涙出そう‼」

瑠子「よっぽどエネルギーが切れていたみたいですね」

瑠子「次の難事件の時は最初から私をお供させてくださいね?約束ですよ」

ガレットをほおばる盾原。

盾原「約束は守るよ……ちゃんと助手として事件解決に協力してもらうから……」

名倉、呆れた顔でぼやく。

名倉「菓子に釣られて何約束してんだか」

ガレットを食べ終えた盾原。

盾原「よーしっ!元気100倍です‼捜査に戻りますか‼」

盾原「名倉警部!先ほどの会議室で取得した新たな情報を!」

名倉、警察手帳を開いて説明する。

名倉「アリバイがない3人の先生の供述によると……」

盾原への説明を終え、警察手帳を内ポケットにしまう名倉。神妙な面持ちで瑠子が真っ先に口を開く。

瑠子「…殺害トリックのヒントはありませんでしたけど 殺す動機はその3人の過去にありそうですね」

盾原「だね にしてもアンモニアガスによる殺害トリックは初めてだから トリックのとっかかり的なものも全然ないし」

名倉「ひょっとしてガイシャは別の場所でアンモニアガスを吸って その後倉庫に運ばれたとか?」

シバ「…なんの意味があって被害者を別の場所から倉庫まで運んだんですか?」

名倉「1つの可能性を適当に挙げただけだ  一々(いちいち)揚げ足を取るな」

呆れ返って言葉も出ないシバ。

シバ「……」

盾原「そうだ!一度現場検証としてアンモニアガスを倉庫内で発生させるのはどうです?」

盾原「収穫があるかも」

シバ「危険すぎて絶対法に触れます アンモニアガスの専門家呼ばないとダメでしょ」

盾原が残念な表情で、

盾原「えーっ 俺達だけじゃ無理なのか…アンモニアガスを扱える資格があればいいんだけどな…」

盾原「資格?」

顎に右手を添え、考え込む盾原。

盾原「……」

瑠子「先生?もしかしてひらめいたのですか?」

盾原「警部 アリバイが不十分な3人は教員以外で何か特別な資格を持ってるとか?調べてほしいんですけど…」

名倉「いいだろ 調べる価値はありそうだな 」

名倉、シバに指示する。

名倉「シバ 3人の履歴書をチェックだ 俺は直接本人達に ()く」

シバ「了解です」


〇宇佐岡学園・体育館倉庫

警察手帳のページに書かれた内容を読みあげるシバ。

シバ「調べた結果 三渡先生は『製菓衛生師』の資格 糸畑先生は『理学療法士』」

シバ「魚谷先生は父親が消防士だった影響で『消防設備士 乙種(おつしゅ)第6類』を取得してます」

倉庫内の換気口を見つめながら、盾原。

盾原「なるほどね……」

盾原、両手を広げて勢いよく言い放つ。

盾原「殺害トリックと真犯人を完全に解き明かしましたっ‼」

名倉「全部解けたのか⁉」

シバ「資格がトリックの鍵に?」

瑠子「お見事です‼今日もスピード解決ですね!先生‼」

盾原「なあに 瑠子ちゃんのおかげさ!ガレットで頭が最高に ()えたからね‼」

名倉「あとは推理を披露するだけなのか?なら必要なものがあれば言ってくれ 俺達で準備する」

盾原「では!アンモニアガスを安全に扱える特殊な器具とその使用許可を」


〇宇佐岡学園・体育館

体育館倉庫入口前に三渡、糸畑、魚谷、教頭、増城、島口、河田。

教頭「三渡先生達は警察の人と何か打ち合わせたとか?ちょうど手の空いた私達は倉庫前に集まってほしいと女の刑事さんに言われて……」

困惑した様子で三渡。

三渡「…私達も同じようなものです 刑事さん達にとにかくここで待ってほしいと」

糸畑「よくありますよね 刑事ドラマでこんな最終局面」

魚谷「もしかして これから事件の真相が暴かれるとか?」

体育館中に響く誰かの声。

声「その通りです‼」

声がした方に振り返る教職員達。

教頭「あっ……」

盾原、瑠子、シバ、名倉が倉庫に向かって歩いてくる。

盾原「中添先生をアンモニアガスで殺害したトリックを明かします!」

教頭「まさか実際にアンモニアガスを使用して証明するんですか?危険すぎますよ」

シバ「いいえ アンモニアガスを使わずに殺害トリックを再現するつもりです」

瑠子「安全にね☆」

魚谷、心配そうな顔で名倉に確認する。

魚谷「確認しますが やはりアリバイが不十分な私達の中に犯人が?」

名倉「いえ アリバイ 云々(うんぬん)よりも殺害トリックを解明すれば真犯人は確定します」

盾原「とにかく〝百聞は一見に ()かず〟です!準備は完了しましたので 皆さん 換気口に注目してください」

盾原に言われるがまま、倉庫奥の換気口に視線を向ける教職員達。

盾原「オッケーですよ!やってください」

換気口から、プシュッと白いガスが噴射される。

糸畑&魚谷「⁉」

三渡「ガス⁉ってアンモニア⁉」

盾原「違います 一般的な 蓄圧(ちくあつ)式消火器のホースから出る消火薬剤で危険性はありません」

名倉「校舎裏にいる別の捜査員が消火器を噴射してます もちろん理事長から使用する許可は取ってます」

教頭「なぜ消火器を…?」

盾原「――いいですか?」

盾原「中添先生は蓄圧式消火器から噴射されたガスを吸って殺されました」

盾原「しかし!今のような消火薬剤ではなく消火器の中の 窒素(ちっそ)ガスと猛毒のアンモニアガスが合わさった特殊なガスです!」

盾原、両手を広げて力説する。

盾原「つまり!アンモニアガスと窒素ガスの混合ガスを消火器で噴射し 被害者に吸わせて中毒死させたのです‼」

盾原「これが殺害トリックの真相です‼」

盾原の推理を聞いても訝しげな顔の教頭と島口。

教頭「信じられん 本当にそんなこと可能なのか?」

島口「私も同じく ()に落ちないです……」

盾原「なら俺の推理をもっとパーフェクトに解説します!」

盾原「まず!消火器内の消火薬剤と窒素ガスを全部噴出し 消火器を分解します」

盾原「分解した消火器の底にアンモニア水を溜めて水酸化ナトリウムを混ぜれば 化学反応でアンモニアガスが発生します」

盾原「アンモニアガスの発生後 すぐに消火器のキャップを閉めて 専門の窒素充填(じゅうてん)()で新しい窒素ガスを充填します」

盾原「仕上げにレバーを引けば アンモニアガスと窒素ガスの混合ガスが噴射されます!」

盾原「このトリックが可能なのは消火器を点検・整備できる『消防設備士乙種第6類』の資格を取得してる……」

魚谷に向き、

盾原「魚谷先生 あなたです!!」

真犯人と殺害トリックが判明‼魚谷が中添を殺した動機とは⁉最終章ですべてが明らかに‼

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