闇探偵登場3
今回は現金輸送車襲撃事件!強奪された大金の意外な隠し場所とは⁉
〇陣馬山米津銀行・外観(夕方)
周辺が田園に囲まれた小さな銀行。
銀行の裏口正面に停まっている1台の現金輸送車。
銀行の裏口ドアから、現金輸送車までジュラルミンケースを運搬する2人の警備員。どこからか犬のうなり声が聞こえる。
警備員「…ん?」
獰猛なドーベルマンが2匹、警備員達に向かって突進していく。
警備員「――おっ おい⁉」
片方の警備員が右太ももを噛まれ、もう片方の警備員も左ひざを噛まれる。
警備員「アアッ‼アッ‼」
警備員「イデッ!イデッ‼イデッ‼」
ジュラルミンケースを相次いで地面に落とす警備員達。ガンッ、ガンッと強い衝撃音。
〇現金輸送車・車内
運転席と助手席に座るほかの2人の警備員。車の外でジュラルミンケースを落とした音に助手席の警備員が反応する。
警備員「今の音…?」
運転席の警備員がフロントガラスの先を指差す。
警備員「おいっ!なんだよコレ⁉」
フロントガラスの表面に2つの時限爆弾が添えられ、それぞれが何者かの手によって固定されている。
危機を察知し、急いで車から脱出する2人の警備員。
〇陣馬山米津銀行・外観
輸送車から飛び出した2人の警備員。
だがその直後、もう2匹のドーベルマンに1匹ずつ同時に襲われる。
警備員「な なんだ この犬⁉」
警備員「放せ!放せって!!」
ドーベルマンに強く噛まれて身動きがとれない状態の4人の警備員。その間、男性支店長がバイクヘルメットをかぶった黒のライダーススーツ姿の3人組の強盗(A、B、C)にリボルバー銃を突き付けられ、取り囲まれる。
支店長「よ 要求は聞きますから!!命だけは…!!」
強盗A「フン!情けねぇ支店長だな‼」
強盗B「まあいいさ!おい!支店長‼ケースの鍵をよこしな!!」
ジュラルミンケースの鍵を強盗Bに手渡す支店長。
強盗C「妙なマネすんなよ 俺らガチだから」
強盗B、ジュラルミンケースを開ける。
強盗B「ほおっ!大金がタンマリ!夢のようだぜ‼」
強盗B、3つのボストンバッグにせっせと札束を詰め込む。
強盗A「なるべくたくさん詰めろよ!」
両手を上げ、切羽詰まった顔の支店長。
支店長「……」
強盗B、すべてのボストンバッグのファスナーを閉め終えると、
強盗B「詰め終えたぞ」
強盗A「ああ あとは…」
強盗Aと強盗Cがリボルバーの銃床で同時に支店長の顏をゴツッと強く殴打する。
支店長「ウッ!!」
金を詰めた3つのボストンバッグを各自、右肩にかけてバイクで逃走する3人組の強盗。
強盗B「俺たちゃ 億万長者~!」
〇警備会社・輸送警備部
津久井中央署の刑事課長、小野寺達郎(45)が複数の刑事を従え、警備部部長の今井広治(54)に警察手帳を見せて自己紹介する。
小野寺「津久井中央署の小野寺です」
今井「「ストロング警備局」の今井です…この度は誠に申し訳ございません 不意を突かれたとはいえ 多額の現金が奪われるとは……」
今井が申し訳なく詫びている最中、小野寺のズボンの右ポケットからスマホの電話着信音。
スマホに耳を当てる小野寺。
小野寺「何?発見された…?よし!」
部下達に指示する小野寺。
小野寺「和田峠駐車場で強盗グループが乗り捨てたバイクが3台発見された!」
小野寺「和田峠周辺の主要道路・峠道及び登山コースにありったけの警官を動員するよう本部に要請する!」
小野寺「和田峠出入口周辺に検問も実施だ!皆も連携して動け!!」
部下達「はいっ!!」
部下達が全員、輸送警備部から去っていき、独り言のように嘆く小野寺。
小野寺「絶対に見つけ出す…!万が一の時はアイツの力を!」
〇森(夕方)
森林の中で座り込む3人の登山客。
登山客「……」
3人の山岳救助隊がやって来る。一斉に立ち上がる登山客達。
登山客「もしかして!救助隊の方ですか?」
救助隊「遭難者の方達ですね 我々と一緒についてきてください」
山岳救助隊が先導し、登山客達を案内する。
〇津久井中央署・外観(夜)
津久井中央署の山岳救助隊隊長の磐瀬氷見秋(42)が署の正面自動ドアから出てくる。磐瀬の背後から2人の声。
声「お疲れ様です 磐瀬さん!」
声「また明後日!」
磐瀬が振り返ると、自動ドアの前に同じく山岳救助隊の川辺朝公(33)と大柴直彦(36)。
磐瀬「ああ お前ら明日非番だったな これから飲みに行くのか?」
川辺「ええ 久しぶりに」
大柴「ホントは磐瀬さんも誘いたかったんですけど 休みのタイミングが合いませんでしたね」
磐瀬が声を潜め、
磐瀬「…飲みすぎてハメ外して 周りの客にベラベラと余計なことしゃべんなよ……」
大柴「わかってますって」
川辺「完全個室を予約したんで 飲み騒ぐのはほどほどにしますよ」
近くの駐車スペースに停めてあった黒の軽ワゴン車の運転席に乗り込もうとする磐瀬。
磐瀬「なんかあったら俺のスマホになっ」
磐瀬の運転する軽ワゴン車が署の敷地内を通り抜けて道路に出る。
〇居酒屋・店内
川辺、居酒屋店員に席を確認する。川辺の後ろには大柴。
川辺「個室で予約した川辺」
店員「はい 2名様で承っております!どうぞこちらへ!」
〇居酒屋・個室
個室の4人掛けのテーブル席に向かい合って座る川辺と大柴。
大柴「しかし ここ個室だと結構高そうだな」
川辺「気にしたってしょうがないでしょ 磐瀬さんの言い付けもあるし」
メニュー表を確認しながら、
大柴「…じゃあとりあえず今日はアルコール高い酒は控えてじゃんじゃんこの店の名物を頼むとするか」
メニュー表を見ながら、店員に注文する川辺。
川辺「ホルモン餃子にのどぐろの刺身 もつ煮込み……」
テーブルの上に載った色とりどりの料理を割りばしで口に運ぶ大柴、サワーの入ったジョッキを飲む川辺。
ガラガラと音を立てて個室の引き戸が開く。
大柴「え?」
入ってきたのは黒いフード付きウィンドブレーカーを着用し、口元のマスクも黒の謎の人物。なぜか川辺の横の席に座る。
川辺「…あの…どなたか存じませんけど個室間違えてますよ?」
戸惑う川辺と大柴をよそに自己紹介する謎の人物。
闇探偵「ど~も 初めまして 俺は〝闇探偵〟フリーの探偵です!山岳救助隊の大柴さんと川辺さんですね?」
大柴「なんで俺らのことを…?もしかして身辺調査か何かで?」
闇探偵、ウィンドパンツの右ポケットから黒色のスマホを取り出し、
闇探偵「不躾ですみませんね~~ あっ 俺のことは気にせず飲んでも構いませんよ?」
不服そうな顔の2人。
川辺&大柴「……」
闇探偵がスマホを操作しながら、
闇探偵「…僭越ながらとある事件の調査をしました」
闇探偵、スマホの画面を見せる。スマホの画面からニュース動画と音声が流れる。
音声「…今日午後4時20分頃 陣馬山米津銀行に停車していた現金輸送車が3人組の強盗グループに襲撃され およそ1憶8000万円が奪われました」
音声「強盗グループは奪った現金をボストンバッグに入れてバイクで逃走し……」
闇探偵が画面をタップし、動画を停止させる。
闇探偵「まさか のどかな田園地帯で強盗事件とはね~~ しかもまだ強盗グループは捕まってない‼」
闇探偵「共犯者でもいたんですかね~~?」
テーブルから身を乗り出す闇探偵。
闇探偵「なーんて‼共犯者は俺の目の前にいる川辺さんと大柴さん‼あなた方で間違いないですよね⁉」
川辺(うっ バレてる⁉)
大柴(本気なのか⁉コイツ⁉)
闇探偵、椅子に座り直す。
闇探偵「悪いですが今から酒がまずくなる推理をします もちろん異論があれば畳みかけても構いません」
大柴「…でまかせだろ?俺らがなんで強盗の共犯を」
闇探偵が人差し指を立てて、
闇探偵「まず!第一に3人組の強盗グループが強奪した1億8000万円の隠し場所ですが…それは和田峠の峠道から遥か下の森にあります!!」
闇探偵「そこなら警察の目をかいくぐれる 隠れ所としては最適な場所です!」
ドンっとテーブルを強く叩く大柴。
大柴「ふざけんな!強盗がせっかくせしめた大金をドブに捨てるマネするか⁉」
大柴「つーか仮にその推理が真実なら山岳救助隊とはいえ 普段からずっと森に留ってるワケじゃない俺らは部外者だろ!!」
闇探偵「…反論としては的を射てますね だがしかし 俺の推理はここからです」
闇探偵「3人組の強盗はただ峠道から大金を放り捨てたワケではありません 投げた先の森の中に受け取り主がいたのです」
闇探偵「〝遭難者となった登山客〟という大金を預かるのに適した共犯者がね!」
大柴「まさかっ⁉」
川辺「おいおい 大金を受け取った後はどうすんだよ?深い森を抜けねーと お前が言う『共犯者』は遭難したまま野垂れ死ぬし」
闇探偵「いいえ」
川辺と大柴をそれぞれ指し示す闇探偵。
闇探偵「あなた方と隊長の磐瀬氷見秋さんを含む計3名の山岳救助隊が大金を受け取った共犯者を山の外まで避難させたんです!」
川辺「…磐瀬さんのことまで知ってるのか…」
闇探偵「フフフ まさか…警察も夢にも思わなかったでしょう……」
闇探偵が怖い目つきで、
闇探偵「山岳救助隊の助けた遭難者の中に強盗グループの共犯がいたなんて!!」
大柴「はァ⁉…納得いかねーよ!証拠はあんのか⁉」
両腕を組み、余裕のある態度をとる闇探偵。
闇探偵「ええ!ありますよ」
闇探偵「ボストンバッグ!強盗グループはそれに大金を入れたと報じてました」
闇探偵「つまり!強盗が使ったボストンバッグが峠道沿いの森から発見され そこに遭難者がいたとなれば…俺の推理の勝ちですよね?」
闇探偵「共犯者はボストンバッグに入った大金を登山リュックに入れ替えたはずですから!!」
川辺と大柴が苦々しい表情で
川辺(ヤバいし!ボストンバッグは森に捨てたままだ!)
大柴(もし捜査員に調べられたら間違いなく俺達山岳救助隊が疑われる!!)
闇探偵「まあまあご安心を 俺は今の推理を警察に話すつもりはありません コネがないんで!」
闇探偵を疑いの目で見つめる川辺と大柴。
川辺「…じゃあ何しにここの個室まで来て推理を披露した?」
大柴「……本当の目的は?」
闇探偵「あなた達に悲報を伝えるため…今夜‼1憶8000万円がふいになるかもしれません!」
警察の意表をつくレアな隠し場所に1億8000万円‼稀に見る知能犯‼




