闇探偵登場
謎の探偵、闇探偵の推理力はいかに⁉
〇 六角銀行横浜支店・外観(昼)
上下黒のスポーツウェアを着用し、目出し帽をかぶり、両手に白の軍手をはめ、ボストンバッグを右肩にかけた2人組の強盗。
2人組の強盗、入口自動ドアに向かう。
〇六角銀行横浜支店・店内
入口自動ドアから入ってきた2人組の強盗を見て縮こまる窓口の女性行員。
窓口「あ あっ……」
2人組の強盗(A、B)がズボンの右ポケットからリボルバー銃を取り出し、
強盗A「金を出してもらおう!俺達は強盗だ‼逆らうんじゃねーぞ‼」
強盗の恫喝に臆して窓口の女性行員、強くうなずく。
窓口「はっ はい‼」
強盗B「自動ドアとシャッターを閉鎖だ!急げ‼」
〇六角銀行横浜支店・外観
入口自動ドア前のシャッターが自動で閉まる。
〇六角銀行横浜支店・店内
ロビー片隅で、強盗Aに銃を向けられて怯える8人の客達。
客「俺ら……どうなるんだ?」
客「助けて誰か……」
客「……命だけは頼む!」
強盗A「行員を 殺れ‼110番ボタンを押される前になッ‼」
強盗B「任せろ!」
窓口「そんな‼お金は出しますから――」
強盗B、カウンター内の銀行員に向けて銃を乱射する。
銃声×5。
床に落ちる空薬莢。
シリンダーに銃弾を込める強盗B。
強盗B「 抹殺完了」
5人の銀行員の射殺体を見てゾッとする客。
客「勘弁してくれよ……!」
今の乱射で撃たれなかった男性支店長に銃を向ける強盗B。
強盗B「支店長ッ‼」
支店長「‼」
青ざめた顔の支店長。
支店長「はい……なんでしょうか」
支店長にボストンバッグを放り投げる強盗B。
強盗B「バッグにありったけの札束を詰めろ‼」
支店長「わかりました!すぐに!」
強盗A「次は客全員だ‼」
強盗B「おう!」
強盗Bにも銃を向けられ、一斉に騒ぎ出す客達。
客「え⁉あたし達殺されるの?絶対やだ‼」
客「んな‼ウソだろッ‼」
客「助けてください お願いします‼」
客達の悲鳴を完全無視して強盗A、Bが銃を乱射する。
銃声×8。
腹や背中を撃たれ、血だらけで床に倒れる8人の客達。
強盗B「客も全滅だな」
支店長、恐怖で顔を歪める。
支店長「なんてことを……」
強盗A、自分のボストンバッグを強盗Bに差し出す。
強盗A「ここは任せた 俺のバッグにも金をたんまりとな」
強盗B「ああ お前も監視カメラレコーダーを徹底的に壊せ」
店内奥へと向かう強盗A。
カウンター内で強盗Bが支店長に銃を向ける。
強盗B「遅いぞ!さっさと金を詰め込め‼」
支店長「す すみません!」
2つのボストンバッグに急いで札束を詰める支店長。
強盗Bが支店長を見下ろし、
強盗B「だいぶパンパンになったな よくやった」
支店長、やつれた顔。
支店長「いえ……」
強盗A、戻って来る。
強盗A「レコーダーをぶっ壊した あとは――」
強盗A、支店長の背中に向けて発砲。
銃声×1。
背中を撃たれた支店長がうつ伏せで倒れている。
強盗A「これで証言者はいねェ‼」
強盗B「急ぐぞ」
各々のボストンバッグを右肩にかけて店内奥へと走りだす強盗A、B。
〇六角銀行横浜支店・従業員駐車場
銀行の裏口ドアから強盗A、Bがそっと外を覗き込む。
強盗A「警察は来てねーな」
強盗B「行くぞ」
目の前の駐車スペースに停まっている1台の黒の軽ワゴン車。助手席、運転席のドアを開けて軽ワゴン車に乗り込む強盗A、B。
軽ワゴン車が発進する。
〇神奈川ドーム・外観(昼)
ドーム型の野球スタジアム。周りに紺ブレザーの制服を着たハイテンションな高校生達。
高校生「今日の社会科見学マジテンション上がるな⁉」
高校生「アタシここのアリーナ席初めてなんだけど!エモい体験したわあ‼」
ドーム施設の係員に声をかける男性教師。
教師「すみません そろそろ「神奈川ドーム」をバックに生徒達と記念撮影をする時間なんですが こちらの都合で色々と予定が遅れていまして 撮影を20分後に先延ばししたいのですがよろしいでしょうか?」
係員「「宇佐岡学園」の皆さまですね いいですよ」
〇神奈川ドーム・駐車場
ずらりと横に並ぶ8台の貸切バス。すべての車内のバスステッカーに「宇佐岡学園ご一行様」と表記されている。
右端に停まっているバスの乗降扉の前に先ほどの2人組の強盗(目出し帽と軍手は外し、黒のスポーツサングラスと青のランキングキャップを装着している)。
強盗A「よしっ!周りに誰もいないな」
強盗B「成功したな 俺達!」
〇マンション・外観(夕方)
宇佐岡学園の数学教師、 増城 哲治(37)が右手でスマホを操作しながら、古びたマンション前の歩道を歩く。増城のスマホから流れるニュース動画の音声。
音声「――逃走の際に使用された車は神奈川ドーム付近の沿道で発見されましたが 1億2000万円を奪った2人組の強盗犯の行方は 未だつかめておらず これまで「 六角銀行横浜支店」の強盗殺人事件で死亡した人の数は11人に上っています……」
増城、思わずニヤリと笑みをこぼす。
増城「派手にやりすぎたか」
マンション入口に増城が差し掛かろうとした時、正面から誰かの大きな声が飛ぶ。
声「ストップ!そこの歩きスマホ教師!」
自分を注意する声に思わず顔を上げる増城。
増城「――ッ?」
増城の正面に謎の人物。黒いフード付きウインドブレーカーを着用し、口元のマスクと足元のスニーカーも黒で統一している。
増城「俺を注意したのって…」
闇探偵「初めまして 俺は〝 闇探偵〟フリーの探偵です」
増城(探偵?)
闇探偵「歩きスマホもダメですけど銀行強盗はもっといけないですよ?先生!」
闇探偵の唐突な発言に増城、顔を歪める。
増城「うっ⁉」
増城(なんで強盗のこと知ってんだ⁉)
増城、ぎこちない笑みを浮かべ、
増城「いきなり俺に銀行強盗って……何言ってんだ?アンタ 大丈夫か?」
闇探偵「 虚心で俺を気遣わないでください 今日起きた銀行強盗について興味本位で独自に調査しました」
闇探偵「ちょうどアナタのスマホからその事件のニュースが流れてますよね?」
増城「…事件に関心して悪いか?」
スマホの画面をタップし、動画を停止させる増城。
闇探偵「答え合わせしますね!六角銀行横浜支店の強盗犯であるあなたと その相棒の逃走手段を」
増城「いい加減にしろよ!俺は強盗なんか――」
闇探偵「いいや!銀行で強奪後 2人組の強盗は神奈川ドームの近くまで車で逃走 車は十中八九盗難車です」
闇探偵「問題は車を乗り捨ててから どうやって警察や一般市民にうまいこと目撃されず逃げきることができたか……」
勢いよく両手を広げる闇探偵。
闇探偵「答えは‼社会科見学で神奈川ドームを訪れた宇佐岡学園の生徒・教師専用の貸切バスに身を隠してたからです‼」
闇探偵「教師の立場を利用した2人組の強盗は生徒達がドーム見学している合間にバスの中で強盗のコスチュームを脱いで元の服装に着替えました」
闇探偵「まさか警察も夢にも思わなかったでしょう……」
闇探偵の目付きが鋭くなる。
闇探偵「学校の教師が社会科見学を抜けて銀行強盗だなんて‼」
増城「ふざけるな!さっきからグダグダと 御託を‼」
増城「バスの中で着替えたら運転手が不審に――」
闇探偵「いいや!バスの運転手も共犯者だったんです‼強盗の裏方に 徹してね!」
増城の態度が大人しくなる。
増城「……」
増城(当たってやがる!)
闇探偵「奪った大金の管理を運転手が 担ってますよね?バスのトランクルームに保管して」
重々しい表情の増城。
増城(… 参ったな 1日も経たずして犯行を突き止めるなんて……)
増城(クソッ!抜かりのないはずの強盗計画がこんな見ず知らずの探偵に見破られるとは‼)
闇探偵、肩をすくめる。
闇探偵「おや?威勢がないですよ?でも残念ながら俺はあなたを逮捕できません」
増城「は?まあ警察じゃないしな……」
闇探偵「更にミステリーアニメに出てくる優秀な名探偵みたく警察から信頼もされてませんし」
闇探偵「もっとも――今の推理を聞いてもらえるコネすらありません なので俺はあなたに自首を勧めます」
増城「俺を警察に突き出さないのか?」
増城(意外とヘタレだな…コイツ)
闇探偵「逃げるのも構いませんが これだけは断言できます…」
冷ややかな目で闇探偵が強く言い放つ。
闇探偵「〝悪党の逃げ場は地獄しかない〟と!」
増城「わかったよ 一晩考えてみる 俺にだって自責の念は多少ある」
闇探偵「ならば賢い選択を期待します ではまた会える日までさよなら」
闇探偵、増城の元から去っていく。訝しげな顔で呟く増城。
増城「なんか…気味悪いヤツだ……」
〇宇佐岡学園・外観(朝)
グラウンドに隣接し、中庭に面した5階建ての本校舎。
生徒達に交じって学園前の歩道から校門へと向かって歩く増城。
増城(今日も普通に通勤できるってことは警察に一切疑われてないんだな)
増城、校門前で足を止める。
増城「ん?」
中庭に3台のパトカーが停車している。
思わず驚きを口にする増城。
増城「ハァッ⁉」
周りの生徒達がガヤガヤと騒ぎ出す。
生徒「なんだ?事件⁇」
生徒「ウチらの学校の生徒が闇バイトに関わったのかな?」
生徒「いーや 先生の誰かが買春とか?」
増城の心臓の鼓動がバクバクと高鳴る。
増城(もしかして強盗がバレたのか?いや それ以外に何がある⁉)
校門の向こう側から増城を呼ぶ声。
声「増城先生!」
増城、ビクッと驚く。
増城「‼」
家庭科教師で学年主任の 島口 貴子(51)が中庭からこちらに向かって歩いてくる。
島口「――緊急事態です!」
校門の手前で立ち止まる島口。
島口「おはようございます……」
増城「島口先生 パトカーが見えますけど事件ですか?」
島口、生徒達の目を気にし、
島口「ほらっ!あなた達はさっさと教室に あとできちんと話すから」
周りに生徒達がいなくなり一息つく島口。
島口「生徒達に今は内密にしたい案件でして」
島口「 中添先生が…体育館倉庫で亡くなって 死因とか調べてるみたいです」
増城「へえっ?嘘ですよね?」
島口「嘘つくわけないでしょ!まあ私も急な話で最初は信じられませんでしたけど」
再び増城の心臓の鼓動が高鳴る。
増城(中添が死んだ⁉銀行強盗で俺の相棒だったヤツが⁉)
急展開‼2人組の強盗犯の内の1人はなぜ死に至ったのか?殺人なのか自殺なのか、はたまた事故死なのか。次の章で名探偵が調査する。




