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11 「訓練」の成果

 さて、問題はどうやって連れ戻すのか、という事。


 転移の力って言われてもなぁ。

 我が母上のプレアは、子供の頃から躊躇なく使っていたとモイラが言っていたが。


 試しに念じて見るかな?


「フン!」

 私は剣を構えて、とりあえず近場の広場をイメージしてみた。


「ん――!」

 ちょっとダメそうだな。

 相手を、ズタズタに切り刻む感じか?

「ふっん――――――――!」 


「何、してるの?」

「……。ん? 言辞(げんじ)か? ちょっと訓練をね」

「剣を構えて、目をつむってるのが?」

「……。そう、だけど」

 他に、やり方思いつかないし。


「やっぱり、無理かな?」

「無理だよね。多分」

「あのさー。『特訓』って言い方、何かダサいかな?」

「え? そお? 他に良い言い方があれば?」

「……。ないけど。まあいいか」


 そんなやり取りをしていたら、親方様がモイラと一緒に屋敷へやってこられた。

 一緒に来たモイラは、小さな箱を手にしていた。


「さっそく、その『訓練』とやらを始めているのか?」

「いえ。訓練と言うほどでは」

 親方様にからかわれてしまった。

 

「親方様、モイラさん。本日はよろしくお願いいたします」

 言辞(げんじ)が挨拶をした。

「うむ。しばらく世話になる。言辞(げんじ)殿」

言辞(げんじ)さん。お手数をお掛けしますね」

 とモイラが言う。


「それで、親方様。さっそく始めるのですか?」

「そうだな。その前に、構えている剣をしまえ。それは使わない」

 親方様に指摘されてしまった。

「あ、はい。すいません」

 私は、慌てて剣を納めた。


「リリィよ。これからお前に使役の力で、転移の力と言うを使うように命じてみる。お前のイメージするままを行うと良い」

「はい」

 命じてみるという事は、確信がないのかな?

 私は、視線を親方様に合わせた。


 親方様は私に視線を合わせてこう命じた。

「リリィよ、お前に命じる。まず、自身の周りに結界を張れ。そして、それを解除。転移の力を使い、この屋敷の外に移動せよ」

 

 そう言われた瞬間、意識が遠くなっていく。

 そして。

 

「……。ハイ。オヤカタサマ。カシコマリ、マシタ」

 私は、親方様の命に答えると返事をした所までは覚えているが、その後意識を失った。


 

「……、ィ! リ……ィ! リリィ――!」

 誰かが呼ぶ声がする。


「ん? え? あれ? ここ、どこっ? って、あれ、まだ屋敷の中なの?」

「リリィ!」

 聞こえていたのは、言辞(げんじ)の心配する声だった。


言辞(げんじ)。何? 私、転移できたの?」

 そう言えば思い出した。

 転移の力を使う訓練をしていたのだった。


「いや、駄目だったみたいだけど。それより、意識を失って、そのままボゥっと光って、少し中に浮いた後倒れてしまって」

「あ、そう」

 言辞(げんじ)が私を抱えていた。


「私、倒れたの?」

「そうだね」

 と言辞(げんじ)

「あ、親方様、あの」

「リリィ。意識は大丈夫か?」

「はい、この通り」

「そうか。ならば良かった」

「あ、あの。上手くいかなかったのですか?」

「うむ。そうだな」

「そうですか」

 やっぱり、そんな簡単には使えない。いや、引き出せないという事か?

「結界を張る時は、上手く言ったのだがな」

「そうですか」

「あの時は、身を守るという事で我々も必死だったのだろう。使えなければ、この世にはいなかったからな」

「はい」

「しかし、他に手立てが無いんですよね」

 言辞(げんじ)が尋ねる。

「どうかな? モイラ殿」

 親方様はモイラに尋ねる。

「そうですね。プレア様方は、大神官としての力は普通に引き出しておいででしたから。『許された』と言われる事もあるので、引き出すとか使うとかとは次元が違うのでしょう」

「モイラさん。プレア様も、その立場にあってこそ、使えていたと?」

「そうですね。言辞(げんじ)様。ですが、プレア様は転移の力に関しては、御幼少の頃から使われておりました」

「リリィの母のプレア殿は、特別な存在だったのだろう。だから使えたのかもしれん」

 親方様は、補足して答えられた。


「申し訳ございません」

 私は、謝るしかなかった。

「リリィ、何故謝る。お前が正当に大神官としての力を引き継いでおれば、恐らく自然に使えていたはずだ。お前のせいではない」

「はい。親方様」


「しかし、使役の力で引き出す事は無理となると。でも親方様、結界は張れてましたよね。結界って、あんな風になるんですね」

 言辞(げんじ)が言う。

「うむ」

 親方様は、そう返事をした後、私の頭を軽く撫でながら言った。

 子供の時依頼だから、ちょっと懐かしい。

 

「お前は、転移の力は得意では無いのだろうな。転移は、帝国も大聖堂を作って実現させていたほどだ。元々、容易に出来ることでは無いのだろう。恐らくだがな」

「確かに、そうかも知れませんね。次元を超えるとなると、私のいた世界でも空想の世界の話でした」

 言辞(げんじ)は、自分のいた世界の話をした。

 

「イメージの、問題かもしれませんね」

 と、モイラが言った。

「イメージ?」

 私は、モイラに確認した。


「はい。プレア様は、とても好奇心旺盛なお方でした。きっと、その場所に行きたいという強い気持ちが、数ある大神官の力の1つである転移の力を引き出せたのかもしれません」



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