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完全無欠の第三王女と最強剣士は結婚したいがしたくない  作者: 斉藤りた


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7.兄妹の企み

「・・・っ?!」


「だからアンタは諦めなさい、耳無しオージ!」


ビシッ!


アダムスの腕に左腕を絡めたまま、フェルザードを真っすぐに指さすイヴェリン。

当のアダムスは声も出せない様子で完全に固まっているが、先ほどの思考がフリーズしていた時とは違い、首から上を真っ赤にしている。


「ほほう・・・その方、アダムスと申したな。ホルマド!」


「はっ!」


「このアダムスとやらは、ルクレイン王国の騎士団長だな?」


「はっ、さようでございま」


「違う!第一『魔法』騎士団団長で、平民で魔法も使えないし鈍感だしアプロ―チとしても気づかない朴念仁だけど、この国で・・・いいえ、世界で一番強い剣士よ!」


ホルマドの返事を遮り叫ぶイヴェリン。

ついでに日頃の鬱憤も叫んだ気がするが、気のせいだろう。

二人の後ろでは副官ズが深~く頷き、兄である皇太子は無表情のまま立ち、父親で国の最高権力者の国王は玉座から腰を浮かせ両手を出しアワアワしている。


「ふむ、平民にも関わらず世界最強の剣士か・・・。なるほど、理解したぞ、王女よ!」


フェルザードの言葉に、一瞬ホッとした顔を見せるイヴェリン。

だが続く言葉に、大きな瞳をさらに見開いた。


「つまり、我に唯一足りないのは剣術だという事だな!流石我が妃だ!」


「っはあああああああ?!」


「うむ、確かに魔術の腕は磨いてきたが、剣術は疎かにしていたな。良いだろう。ルクレイン王よ!すぐにでも連れて帰ろうかと思っていたが、妃の願いだ!三か月・・・いや、一ヶ月で良い!この者に、剣を教えてもらっても良いだろうか!」


「は・・・え、いや、しかし、サハラード王国の大公子がそんな長い間・・・」


「良い!我はそれが許される身分だ。父である王からも正妃を迎える事を最優先に考えろと言われているのでな。王女よ、一月ほど待たせてしまうが、辛抱してくれ。」


「・・・っざけんじゃないわよっ!人の話を聞け~っ!!」


爽やかな笑顔を見せるフェルザード。

その白い歯に遂にブチ切れたイヴェリンが魔力を放出させ、広間の中に激しい風が吹き荒れ始めた。


「ちょっ!イヴェリン様っ!!」


壁に取り付けられていた月光真珠貝のカバーが外れ、国王に向かって飛んで行く。

が、カリナがそのカバーを殴って粉砕し、防御魔法を展開して国王と第一王子を包み込んだ。

カーテンが暴れ、侍女たちが悲鳴を上げながら広間から逃げて行く。


「わたしはっ!絶対にアンタなんかとっ・・・!!!」


「イヴェリン。」


重い、重い魔力の乗った声。

力任せに魔力を放っていたイヴェリンの身体にズシンと重力がかかり、魔力が抑え込まれ、風がゆるやかになる。

カツン、カツン、と大理石と踵がぶつかる音がして、防御魔法の膜を出たヌアレス・ルクレイン第一王子がイヴェリンの前に立った。

膝に手を置き、イヴェリンの視線に合わせる。


「一ヶ月だ。・・・わかるな?」


たった一言。

一瞬怪訝な顔をしたイヴェリンだったが、瞳がカッと見開き、まるで何かを考えるようにクルクルと動く。

数秒間の静寂。そして・・・


「・・・わかったわよ。すっっっっごく嫌だけど、一ヶ月だけ我慢するわ。兄さん、貸しだからね?」


「ああ。」


カツン、カツン、と音を立て、また国王の横へと戻ると無表情で正面を向く。

相変わらず中腰のまま事の成り行きを見守っていた国王が、おそるおそるヌアレスに尋ねた。


「ええと、ヌアレスや、つまり、殿下は一ヶ月王都でアダムスの元で学ぶ、と、いう事・・・か?」


こくり・・・とゆっくり首を縦に振る。

その動きをぼんやりとみていたアダムスが、やっと意識を取り戻した。


「はっ!え、は、王子っ!け、結婚は・・・あいえ、しかし、俺、いや、自分が王子に教えるなど!」


「いいのよ、季節外れの新入団員だと思って、普通に訓練に参加させれば満足するでしょ。」


納得のいっていない顔で唇を尖らせたまま、隣でイヴェリンが目を合わせず答える。

もう諦めたのか、乱れた髪の毛先を指で遊んでいる。


「うむ!頼んだぞ、アダムスとやら・・・いや、師匠!」


腕を組み仁王立ちで満足げなフェルザードと、その後ろで前髪がさらに後退したように見えるグッタリしたホルマド。

面白そうなことになったな~とニヤニヤを隠しきれてないオリヴァンをチラリと見ると、防御魔法を解いたカリナが国王に小声で尋ねた。


「あの、陛下。フェルザード様って前からイヴェリン様に求婚してたんですか?」


「ん?あ、ああ、あちらの成人は二十二歳だからな。以前から婚約の打診はされていたのだが、成人された去年から何度か書面が届いていた。」


「あら、じゃあ今二十三でちょうど良いお年頃・・・じゃなくて、お断りしてなかったんですか?」


「もちろんワシは断ってたぞ?イヴェリンが婚約するくらいなら両国まとめて支配してやるなんて言うから・・・。だが、断ってたハズなんだが、文官に任せて返事したのが良くなかったんだろうか。いかんせんアイツらの書く文章は回りくどいからのう・・。」


「あら〜。まぁ聞いてなさそうな御仁ですしねぇ。一応陛下はちゃんと断ってたってイヴェリン様にフォロー入れときますね。」


「おぉ・・・カリナ嬢、いつもすまぬな。恩にきる。」


「いえいえ〜!」


その時のカリナの顔をイヴェリンが見ていたら、きっとこう言ったのだろう。


「ちょっとカリナ顔洗ってきたら?『特別手当期待してます!』って書いてあるわよ」と・・・。

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