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完全無欠の第三王女と最強剣士は結婚したいがしたくない  作者: 斉藤りた


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22.嵐の前の静けさ

「王位争いは世の理とはいえ、渦中に立つ者の苦労は大きいものですな。」


「うむ。だが我を王にと支持してくれている国民の為にも、弟には諦めてもらわねば。貴族の好きにさせては国民が貧する。まして、良き関係を築けているルクレインに攻め入る事など許さぬ。我が王位に就くか弟が我の命を手に入れるか。どちらが早いか競争という事だな!」


はっはっは!と笑うフェルザード。

身内に命を狙われているとは思えない明るさである。


第一魔法騎士団の団員達はそれぞれ戦闘に備えて準備をし、イヴェリンはカリナを補助に簡易テントの中で痩せ薬の調合を始め、アダムスとオリヴァンはウルバヌスがフェルザードと話してみたいというので付き合って家の前で座り込み談笑中だ。

ウルバヌスを知っていたホルマドは緊張していたようだが、フェルザードはいつも通りくだけた様子で現状について話している。


「ほほう、殿下はなかなか肝が据わっておられますな。」


「そうでしょうそうでしょう。ウルバヌスほどの争いは世の理とはいえ、渦中に立つ者の苦労は大きいものですな。」


「うむ。だが我を王にと支持してくれている国民の為にも、弟には諦めてもらわねば。貴族の好きにさせては国民が貧する。まして、良き関係を築けているルクレインに攻め入る事など許さぬ。我が王位に就くか弟が我の命を手に入れるか。どちらが早いか競争という事だな!」


はっはっは!と笑うフェルザード。

身内に命を狙われているとは思えない明るさである。


第一魔法騎士団の団員達はそれぞれ戦闘に備えて準備をし、イヴェリンはカリナを補助に簡易テントの中で痩せ薬の調合を始め、アダムスとオリヴァンはウルバヌスがフェルザードと話してみたいというので付き合って家の前で座り込み談笑中だ。

ウルバヌスを知っていたホルマドは緊張していたようだが、フェルザードはいつも通りくだけた様子で現状について話している。


「ほほう、殿下はなかなか肝が据わっておられますな。」


「そうでしょうそうでしょう。戦闘能力でウルバヌス殿には及びませんが、フェルザード様はそれはそれは素晴らしいお人なのです。(まつりごと)における才覚は言わずもがな、魔術の才においても群を抜いておられ、若くして高度な術式を自在に扱われるのみならず、その難解な術式を使いこなす姿は王都随一と評されるほどでして、その上で戦場における判断力や状況把握にも優れ、部下への配慮や統率においても欠かすことのできない資質を備えておられるお方であり・・・」


「ホルマドさん、ちょっとうるさいっす。」


「え?これからフェルザード様についての魅力を語り始める所なのですが・・・。」


「フェルザードは、弟に・・・その、やり返したり、憎い感情はないのか?」


面倒そうなホルマドの話を遮ろうと、アダムスが話題を変える。他意

初めて聞かれたのか不思議そうな顔をして数秒考えた後、にっこりと他意のない笑顔を見せた。


「ないな!我の命を狙おうとも、弟も我が国の守るべき国民だ。法に則り罰する事はあるだろうが、それ以上の事は望まぬ。それに兄というのは弟を守るものだ。この程度の事で弟を切り捨てるような人間では、王にふさわしくない。」


驚いた。

いや、失礼かもしれないが、普段の言動と比べると別人のような器の大きさだ。


「王になるべく育った人間なんだろうな、お前は。」


「はっはっは!師匠にそう言ってもらえるとは!教えを乞いた甲斐があるというものよ!」


「師匠?」


ウルバヌスが片眉を上げて怪訝な顔をしたので、オリヴァンが説明している。


「才能もあってリぱな人間なんだがなぁ。これでイヴェリンを妃に、何て言ってなけりゃ・・・。」


「え?師匠、何か言っ・・・」


フェルザードが聞き返そうとした時、定点視界(アンカー・ビュー)という高所に視界を固定する魔法で見張りをしていた団員が叫んだ。


「団長!来ましたっ!!」


一瞬で空気が張り詰める。

座って楽しく談笑していた五人が、一斉に立ち上がった。


「どっちが来たんだ?!」


イヴェリンのいるテントに視線を投げるが、多層遮断式魔法の駆けられたテントは周囲の感覚全てが遮断されているため気付いてないのか動きはない。

まだ薬は出来てないのか・・・?


「り、両方です!サハラードからは・・・ぐ、軍隊と、デカい魔物が見えます!」


魔物?軍隊で来たという事は、第二太子は本気でフェルザードを始末するつもりなのだろう。

だが、魔物とは?もしかして追われているのか?


「おそらくテイマーでしょう。軍務大臣の部下にまだ数人、国家テイマーがおります。もしこちらの国のせいに出来なくとも、死体に噛み跡でもあれば魔物がフェルザード様を襲った、と言えますからな。第二太子は、ここで全てを終わらせるおつもりかと。」


ホルマドの言葉に、なるほど、と頷く。

オリヴァンが、見張りの団員に向かって口を開いた。


「両方って事は、ヘンリエッタ様も来てんの?」


「え、ええと、多分・・・。」


「多分ってどゆこと?ヘンリエッタ様じゃないって事?」


「こちらに向かって凄いスピードで向かって来てるんですけど、何か・・・周りを飛んでる?みたいで、見えませ・・・あっ、疾香蝶?!と、何か、小さな鳥みたいなのが群がってます!」


「・・・もしかして、馬車の中に入ってねぇのか?」


ウルバヌスが、顎髭を触りながらポツリと漏らす。

ヘンリエッタの使う媚薬成分の入ったアウレリア・ローザの香水は、人だけではなく動物や魔物も場合によっては引き寄せてしまう代物だ。

特に、花を好む疾香蝶や匂いに敏感な魔獣にとっては堪らない香りだろう。


「だからあの疾香蝶は興奮してたのか。しかしそうなると、魔物に集られながら走ってるって事になるが・・・無事なのか?」


グリズリーレオンに二、三回齧られても、あの身体なら無事だと思うぞ・・・。という言葉は口にせず、アダムスは黙って大剣を抜いた。

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