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完全無欠の第三王女と最強剣士は結婚したいがしたくない  作者: 斉藤りた


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18.緊急連絡

「あとユニコーンの角粉で完成なんだけど、なかなか市場に出てこないし困ってたのよ。そこに姉さんがグリズリーレオンを見た、なんて言うもんだから、もう行くしかない!って思ったってわけ。」


先程まで戦っていた場所に戻りながら、イヴェリンを真ん中に並んで歩く三人。

カリナは痩せ薬と聞いて目の色を変えたが、イヴェリンに「高いわよ?」と言われてからずっと口を尖らせている。


「グリズリーレオンが居たらなんなんだ?」


「グリズリーレオンはユニコーンを追いかける習性があるのよ。単独なら可能性は低いけど、姉さんは何匹か居たって言ってたから、ユニコーンが近くにいるだろうと思って。」


「そんな事、どこで知ったんだ?」


「ルクレイン王国国立図書館よ。『南方辺境獣類生態相関補遺』シリーズの『獣禍考異抄 第七巻・南部岩原篇』の第六章に幻獣と大型魔獣の捕食嗜好に関する考察について書かれた一文があるのよ。」


「なんだ?そのナンポ・・・何とかって本は。」


「魔力波長がどうとかを延々語ってるだけのつまらない本よ。役には立つんだけどね。」


長ったらしいタイトルの本はイヴェリンが一度読んだ時以外でここ五十年は誰も開いていないような文献だが、国立図書館に置かれるだけあってその内容は精査されており信頼性が高い。

つまりイヴェリンは、ユニコーンの角が欲しくてグリズリーレオンの討伐遠征に来た、という訳だ。


「珍しく自発的に討伐遠征なんて言い出したと思ったら、ついでだったのかよ。」


「あら、良いじゃない。Sランクの魔物を放置せずに済んで、戦争も止められるなんて『一矢で二獲』だもの。矢一本分得出来るならラッキーでしょ?ついでに馬鹿オージに経験も積ませられたんだから、得した矢は二本分ね!」


「それはそうだが・・・ん?待て、戦争って何の話だ?」


アダムスが思わず立ち止まる。


「やだ、アダムスってば痩せ薬を誰に使うと思ってるの?」


「え、いや、前にツブランと話してたし、店で売るのかと・・・。」


ツブランとはイヴェリンが所有する国一番の大商会『中央商会』の商品開発・研究のリーダーだ。

歩くとボヨンボヨンと跳ねる自称チャームポイントの立派なお腹を持っているが、イヴェリンは痩せさせようとしているらしい。

以前登城した際のやり取りでそんな話をしていたのだ。


「んもう!姉さんに決まってるじゃない!姉さんがサハラードに嫁げば戦争も止められるんだから!」


自分が嫁いでも戦争にはならないという前提はイヴェリンの中で当然のように排除されている。


「イヴェリン・・・姉君とは言え王女に無許可で薬を盛るのは流石にダメだろう。」


「盛る訳ないでしょ!私の事なんだと思ってるのよ!本人が痩せたいって言ってたのよ!」


「えぇっ?!ヘンリエッタ様、痩せたいと思ってたんですか?!」


イヴェリンの向こう側で尖っていた口から驚愕の声が上がる。

カリナは失礼な物言いをしているが、あの巨体を見れば誰もが同じような感想を抱くだろう。


「言ってたわよ。『グラニス帝国で太っちゃったから、戻さなきゃ~』って。」


「・・・その薬の効果ってその程度なんですか?」


イヴェリンに聞いた話の通りなら、元に戻るというのはイヴェリン四人分の身体が三人分になるという事だ。

・・・誤差じゃないか?という言葉をアダムスはギリギリの所で飲み込んだ。

曲がりなりにも国に使える騎士が王女に対して不敬な発言をするわけにはいかない。


「まだ完成してないけど、きっと私くらいの身体になるんじゃないかしら?血は繋がってるわけだし。」


それは大成功だろ!という言葉もアダムスは飲み込んだ。

男性団員たちが女性の体形について発言し、褒めても貶しても良い結果になったのを見た事がない。

ここは何も言わないのが正解だ。

女性に対する気遣いも俺は出来るしな!と心の中で強がってみるが、二人には気付いてもらえなかった。


「ひえ~それはそれは・・・ちなみに買うとしたらおいくらくらいのお値段で・・・?」


「そうねぇ、もし店に出すならカリナの給料十年分くらいかしら。」


「じゅ、十年分・・・!ねえイヴェリン様。水で薄~くしたやつとかだけでも・・・」


カリナが食い下がろうとしたその時、イヴェリンの首元からけたたましく音が鳴り響いた。


ジリリリリリリリリ!!!


「何だっ!何の音だっ!」


アダムスとカリナが思わず身構えるが、落ち着いた様子でイヴェリンが首元に手を入れた。


「意外とうるさいわねこれ。音量の調整も出来るよう、要改良だわ。」


イヴェリンの手にぶら下がっていたのは、念話石と名付けられた石がついたネックレスだ。

離れた場所にいる相手とも会話が出来る道具で、春先の事件で試用され、今では団員たち全員に支給されている。


「いきなり声が聞こえるよりはと思ってまず音を出すようにしたんだけど、もうちょっと考えなきゃ。」


そう言いながら石を握り締めると、指の隙間から光が漏れた。

相手と会話が出来る様になったと知らせる仕様のようだ。


「イヴェリンか?」


心臓を掴むような低いバリトン・ヴォイスが当たりに響く。

ヌアレス・ルクレイン皇太子だ。


「あら兄さん、どうしたの?何かあった?」


ここから王都までかなりの距離があるのだが、ハッキリと声が聞こえる。

言いにくい事を伝えようとする時の小さな息遣いまで聞こえ、まるでこの場にいるかのようだ。

・・・ん?言いにくい事?


「ヘンリエッタが・・・無断で城を出たようだ。」

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