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完全無欠の第三王女と最強剣士は結婚したいがしたくない  作者: 斉藤りた


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12.まるでトード・ロード

「イヴェリン様、今日は来るんすかね?」


「どうだろうな・・・。普通なら来るんだろうが、アイツは呼び出されても行きたくなければ来ないからなぁ・・・。」


オリヴァンとアダムスの二人は、王城の廊下を歩いている。


イヴェリンが姿を見せなくなってから二週間。正確には十三日目。

ヘンリエッタ第二王女帰国の報を受け、国王に呼び出されたアダムスとオリヴァンは王城のある一室に向かっている。

そこは会食などに使われる迎賓室で、国内のみならず各国の貴賓を迎える部屋でもある。

通常であればフェルザード達もここに通されていたはずだったのだが、彼らは当初隷属の首輪( ヴェルタージュ)を壊された賠償を求めに来たという形だったので広間を利用していたのだ。


そのフェルザードは、今日も今日とて第一魔法騎士団での訓練に明け暮れ中だ。

元々身体を動かすのが嫌いでないのか、過酷な訓練にも楽しそうに取り組み、剣の腕もみるみる上がってきている。

もし隣国の大公子の立場でければぜひスカウトしたいほどの人材である。

ホルマドの言っていた「才能に満ち溢れたお方」というのも身内びいきの言葉ではないのだろう。


「第一魔法騎士団団長、アダムス・オルド、並びに随行一名、ご入室されます!」


あと半月でフェルザードの能力をどこまで伸ばせるのか・・・と考えていたアダムスが現実に引き戻された。

気付けば迎賓室の前まで来ていて、その扉が左右に開かれて行く。


「団長は大丈夫だと思いますけど、ヘンリエッタ様の瞳を見つめ過ぎないようにしてくださいね。」


オリヴァンが前を向いたまま小声で忠告してきた。

どういう意味だ?

そう聞き返す間もなく入室を促され、片膝をついて頭を下げた。


「ルクレイン王国第一魔法騎士団団長、アダムス・オルド、並びに副官オリヴァン・グレイスにございます。国王陛下の御前にお呼び立ていただき、恐悦至極に存じます。本日はご下命により、参上いたしました。」


堅苦しい挨拶を一気に言い切って息を吸うと、部屋の中に漂うアウレリア・ローザの香りが鼻を抜けた。

アウレリア・ローザとは一本で硬鉄の弓矢が百本は買えると言われる最高級の薔薇で、数年前から金色の花脈が走るその花を片手に愛の告白をするのが王都でブームになっていた超高級な花だ。


「あらぁ、見た事がない(ヒト)。前は居なかったわよねぇ?」


背筋がゾワッとし、気持ちの悪さが全身を包む。

まるで耳から見えない手がぬるりと侵入し、脳を撫でられるような感覚。

アダムスが両手で耳を塞ぎたくなる衝動を抑えると、聞きなれた声が不快な感覚を拭い取ってくれた。


「姉さん、止めてちょうだい。アダムスは私のよ。」


誰が誰のだ、勝手に所有権を主張するな、と言いたかったが残っていた不快感と下を向いていたせいで何も言えず。

国王の覇気のない声でやっと顔を上げると、約二週間ぶりのイヴェリンの笑顔がそこにあった。


「アダムス、久しぶり。」


「おう。なんか疲れた顔してるな、大丈夫か?」


いつものイヴェリンが雲一つない空に輝く太陽なら、今日は薄い雲の隙間から光を差し込む太陽くらいになっている。

その美しさは変わらないものの、少し陰りが見て取れた。


「ちょっと何日か寝てなくて・・・。でもアダムスの顔見たらちょっと元気が出たわ。」


「そんな面白い顔はしてねぇぞ?」


「ね~ぇ、イヴちゃん。私にも紹介してくれないのぉ?」


先程のしっとりと濡れたような声が、二人のやり取りの間に入って来た。

アダムスがイヴェリンの横に視線を動かすと、思わず目を見開いた。


「トッ・・・!!んっ・・・?!」


思わず声を出しそうになったアダムスの口の中に、小さな氷が生まれている。

横にいるオリヴァンから肘で小突かれ、余計な事を言わないようにと口の中に氷を作られたのだと気が付いた。

そうだ、陛下の前だ。助かった。

だが、これは・・・。


イヴェリンが立っているのは、入り口正面の長椅子の横だ。

その長椅子には、王族が持つ輝くプラチナブロンドのロングヘアーが輝いている。

キラキラと光を反射させ、長くゆるやかなウェーブを描くその髪の下には・・・


イヴェリン四人分ほどのサイズの女性がいた。


何かの間違いかと思わず数回瞬きをしてみるが、その女性は間違いなく長椅子に乗せられ・・・いや、鎮座している。

ふくよか、という表現では収まり切れない巨体。

さっき思わず口にしかけたトード・ロード、巨大ヒキガエルの魔物の王のようだ。


大きく開いたドレスの胸元で露わになっている深い谷間よりも、はち切れんばかりのお腹に思わず目が行ってしまう。

おそらく高級な生地で作られたドレスに刺繍された、媚薬の元となるミルラフィオーネの花の模様が肉圧で横に伸びてきっていて、花というよりも細長い葉っぱのような見た目になっている。


あんなに伸びても破れないなら、うちの団員達の肌着に導入できねぇか・・・と一瞬現実逃避しかけて、慌てて意識を戻した。


「その・・・こちらは・・・。」


「うふふ。噂は聞いてるわよぉ。初めまして、アダムス君。ヘンリエッタ・ルクレイン、イヴちゃんのお姉ちゃんよぉ。」

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