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完全無欠の第三王女と最強剣士は結婚したいがしたくない  作者: 斉藤りた


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9.近づいて来る第二王女と走り去る第三王女

「セイヨクマジン・・・??」


頭の中で文字が変換されずポカンと口を開けたアダムスに、イヴェリンが続ける。


「お父さまが三日三晩悩んでたのは、グラニス帝国の要求を知った姉さんが『自分がイク!』って聞かなかったからよ。お父様は誰も行かずに誤魔化そうとしてたのに、勝手に行っちゃったまま帰って来ないし。」


理解が追いついかず固まったままのアダムスに、さらに追い打ちをかける。


「ちなみに向こうの食糧危機を解決したってのは本当だけど、帰って来る主な理由はあっちのお偉いさん方が姉さんのせいで寝不足と疲労になって国政に影響が出たからよ。あの人性欲だけじゃなくて体力も無尽蔵だから、帰って来られても困るのよ。あの人の相手出来る人材なんてそうそういないし。」


「ちょ、ちょっ、ちょっと待ってくれ・・・」


「その点、馬鹿オージは側妃がもう既に八人いるし、姉さんの相手しても枯れなさそうだからちょうどいいのよね。絶倫っぽいし。」


「おっ、おっ、女の子がっ!ぜっ、ぜっ、ゼツリンなんて言葉を使うんじゃないっ!!」


真っ赤な顔を、ゴツゴツした傷だらけの両手で隠すアダムス。

初心な乙女のような反応を見せるアダムスを見てニマニマと笑っていたイヴェリンだが、一瞬遠くを見ると早口でまくし立てた。


「じゃ、そういう訳で私はしばらく準備で顔出せないから!あとは頼んだわよ、アダムス!」


「は、えっ!な、何がだっ?!」


「私が戻ってくるまで、その馬鹿は適当に訓練させながら守っといて!」


既に小さくなったイヴェリンが、雑な指示を出しながら走り去っていった。

残されたアダムスの後ろでは「我が妃は忙しいのだな!」といつの間に来たのか『その馬鹿』が満足げに腕を組んで仁王立ちしている。


「団長、ちょっといいっすか。」


ホルマドや神輿を担いでいた男達と共に水分補給をしているフェルザードから数メートルほど離れて、オリヴァンが先に先端に氷が付いた棒をアダムスに手渡した。


「これは?」


「毒矢っす。矢じりには赤砂蠍の神経毒液が付いてるんで、融点の低い氷で固めてます。走ってる所を狙われたんで、まだ数本落ちてます。毒弓手はナリスがすぐに捜索に向かいましたが、発見できませんでした。」


赤砂蠍とはサハラードの砂漠に生息する血のように赤いサソリで、大型犬ほどの身体と太い尾を持ち、尾針から取れる神経毒は筋肉の硬直と声帯の麻痺を起こすため周囲に気付かれにくく、治癒魔法や解毒魔法が発動する前に死に至る非常に強力な毒を持つ魔物である。


「ナリスが見つけられなかったんなら誰が行っても同じだな。王城の防護膜に引っかからなかったって事は、王城の敷地内を出入りしてるって事か・・・。」


氷の弓矢をクルクルと回しながらアダムスが考えている。


「でしょうね。赤砂蠍使ってる辺りサハラード出身ってのも隠す気がないみたいだけど、向こうの魔術は詳しくないから隠れ方も分からないしな~・・・。」


「来たとこ勝負だな。攻撃が来たらやり返す、王子が狙われたら守る、敵が来たら叩き潰す。」


「やっぱそうなりますよねぇ~。面倒だなぁ。」


チラ、と細い目でオリヴァンがフェルザード達の方に視線を送る。


「そう言うな。これはこれでいい訓練になるから、暑さでたるんでた団員達にはちょうどいいさ。」


「でも、もし王子に何かあったら国際問題っすよ。」


「お前達の手に負えないようなのが来たら俺が出るさ。」


一言に込められた安心感。

確かに、超一流の暗殺者であろうと、アダムスが倒される姿は想像が付かない。

イヴェリンに押し倒される姿なら容易に浮かぶのだが。


「あ、そういえば、イヴェリン様はどこ行ったんすか?」


「なんか準備があるとか何とか・・・あっ!おま、オリヴァン!お前、貴族だろ?!」


急に距離を縮められ、アダムスの顔が目の前に来て思わず一歩後ろに下がるオリヴァン。


「ええ、まあ・・・一応貴族籍っすね・・・。でも団長も確か今度名誉男爵の爵位を」


「王女の事知ってるのかっ?!さっき!イヴェリンが言ってたんだが!」


「・・・イヴェリン様は王女っすよ?」


「チガウッ!ダイニ、第二王女だ!ヘンリエッタ様だっ!・・・あの、何と言うか、ほ、奔放というか、イ、イヴェリンは、セイ・・・セイヨ・・・」


「・・・あ~!!あ~・・・まあ、そうっすね。王都にいる貴族の中では、まあまあ有名っす。ウチの父親にも言われてましたもん。『夜会に行っても近づくな、二人っきりにはなるんじゃない』って。」


「そ、そうなのか・・・。」


「そっか、まあ団長は知らないっすよね。ん~・・・今日訓練後に詳しく教えましょうか?って言ってもそんな親しかった訳でもないですけど。でも義理の姉になるかもしれませんしねぇ?」


「ああ・・・頼む・・・。ちょっと、何と言うか、イヴェリンに聞いたのと、俺の抱いていたイメージとが一致しなくてな・・・。」


おちょくった物言いにも気付かず戸惑った表情を隠しきれない様子のアダムスに苦笑いしながら、なんでヘンリエッタ王女の話になったんだろう・・・?と不思議に思うオリヴァンだった。

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