第4話 影響力
サロン受付―――
「いらっしゃいませ。」
「Salon de restaliteへようこそ。」
「あらあら、可愛らしい店員さんだこと。」
「えへへ~」
「予約してないけど大丈夫かな?」
「はい。でも、ただいま1時間待ちです。」
「あら、そうなの?」
「下に、食堂がありますよ。」
「う~ん、それじゃあ食堂で待ってようかな。」
「はい。では、こちらにお名前をお願いします。」
「は~い・・・じゃあ、お願いね。」
「順番が来たら呼びに行きますね。」
「フー・・・忙しいよ~」
一息つくアンジュ。
「やっぱり、あのおばちゃんが・・・」
3日前―――
「ちょっと、いいかい?」
「は~い、いらっしゃいませ~。」
食堂で汗を流す真白。
「ここに、真白って娘居るかい?」
「え?はい。私ですけど・・・」
「あんたが真白・・・」
「ふ~ん」
恰幅の良い中年女性が真白をジロジロと見つめる。
「あ、あの~・・・」
「うん。良いじゃないか。アンタ、信用出来そうだね。」
「え?ど、どうも。」
「あたしはハンナってもんだ。」
「大通りの近くで食堂をやってるんだがね。」
「パンテラ、知ってんだろ?ウチの常連でねぇ。」
「あの娘が突然、奇麗になっちまって。」
「聞いたら、あんたに奇麗にしてもらったって言うじゃないか。」
「あたしも女だからねぇ。興味が湧くってもんだ。」
「あ、それじゃあ、サロンの方へどうぞ。」
カウンセリングルーム―――
「ハンナさん。パンテラはその後、どうしてますか?」
「あの娘なら昨日、故郷へ帰ったよ。」
「そっか・・・幸せになって欲しいな・・・」
「大丈夫さ。良い顔してたからね。」
「そうですね。ウフフ・・・」
「どうかしたかい?」
「いえ、嬉しそうな顔、思い出しちゃって。」
「フフ・・・そうだね。」
「では、ハンナさん。今日はどうしましょうか?」
「うん。シミとシワが気になってねぇ。」
「シミとシワですね。」
「この歳になって何、気にしてんだって話だけどね。」
「いえいえ。年齢は関係ないですよ。」
「そうかい?」
「もちろん!いくつになっても奇麗でいたいのは当然ですよ。」
「じゃあ、頼めるかい?」
「はい。お任せください。」
ハンナはガウンに着替え、施術室のベッドに横になった。
「まずは、美容液を塗っていきます。」
これはオルディスとアンジュと3人で作り上げた、魔力が込められた美容液だ。
電気を通し易くし、肌を守り、再生を助け、保湿効果もある万能美容液。
1本8000WNで販売するつもりだ。
顔から首、デコルテ、肩から腕、指先まで、しっかり塗り込む。
「では、電気を通していきますね。」
「マイクロカレントショック。」
戦闘時には、感電し気絶させる程の電力に上げているが、
今は微弱電力に落としている。
シワの目立つ部分。目の周りやほうれい線、
首のたるみ、手の甲を入念に・・・
10分ほど時間をかけて、じっくり電気を通した。
フェイスラインが引き締まり、首のたるみが解消された。
「整えていきますね。」
「マイクロカレントヒール。」
細胞の修復を促し、小さなシワや傷が消えていく。
「うん。良いですね。」
「次は、シミを取っていきます。」
「ピーリング・リジェネレイト。」
こめかみや頬骨の辺りに目立つ大きなシミがある。
真白が手をかざすと、シミがどんどん小さくなり、やがて消えた。
続いて、肩や腕にある無数の小さなシミも取り除いていく・・・
「うん、バッチリ。」
「ハンナさん、終わりましたよ。」
「ん・・・うん?終わったのかい?」
「あ、寝てた?起こしてごめんなさい。」
「いやぁ、ずいぶん気持ちよかったからさ。」
「ウフフ。鏡をどうぞ。」
鏡を覗き込むハンナ。
「え!?嘘だろ??」
「これは夢なのかい?」
「いったい何歳若返ったんだい・・・」
「どうですか?」
「あんた、とんでもないねぇ。」
「いや、パンテラの変わり様を見てたけど、ここまでとは・・・」
「嬉しいねぇ・・・」
「喜んでもらえて良かったです♪」
「いやぁ、ホントにありがとね。感謝するよ。」
「いえいえ。私も嬉しいです。」
「お客さん、来てないんだって?」
「アハハ・・・はい・・・」
「あたしに任せときな!宣伝しておいてやるよ。」
「アハハ~、お願いします。」
そして、現在の真白―――
「ハンナさん、凄い・・・」
「今日だけで15人だよ・・・」
「美容液も売れてるし・・・」
「真白ネェ、次の人呼ぶよ?」
「うん。お願い。」
「こんにちは。今日はどうしましょうか?」
結局、閉店まで客足が途切れることはなかった。
1日で28人、美容液は20本売れた。
総売り上げは約45万WN程となった。
「いや~、働いたねぇ~。さすがに疲れたよ。」
「真白ネェ、お疲れさま。」
「アンジュもお疲れ。ありがとね。」
「あの~、真白さん。ちょっと良いですか?」
「え?ミーナ・・・な、何?」
「ちょっとお話が・・・」
「なんだか、嫌な予感・・・」




