第3話 お洒落
「いらっしゃいませ~。」
「こちらのお席にどうぞ~。」
「注文良いですか~?」
「ハイハイ、ただいま~。」
「カイ~、定食3つね~。」
「はいよ!」
「お待たせしました~。」
「ごゆっくりどうぞ~。」
「ほっほっほ。真白は張り切っておるのぉ。」
「真白ネェすごいね!」
「ありがとうございました~。」
「いや~真白、助かったよ。」
「ちゃんと出来てたかな?」
「凄いです!真白さん。初めてとは思えません。」
「やっぱ働くっていいよね~。ハハハ・・・」
サロン開店から3週間。未だお客様は1人・・・
レオが食堂に入って来た。
「おい真白。お客さん来てるぞ。」
「え!マジ!?」
慌てて飛び出す真白。
「あ、パンテラさん?」
「こんにちは。真白さん。」
待っていたのは、先日出会った黒豹だった。
「いらっしゃい。体調はどう?」
「はい。もう、すっかり。」
「良かった。」
「本当にありがとう。」
「いえいえ。それで、今日は?」
「あ、あの・・・」
「ん?・・・良かったらサロン、寄ってく?」
「あ・・・はい。」
2人は2階のサロンへ上がって行った。
イスとテーブルだけのシンプルなカウンセリングルームには
オルディスが小さな観葉植物を1つ置いてくれていた。
小窓からは柔らかい光が差し込んでいる。
イスに腰かける2人
「何かあった?」
「はい・・・実は・・・」
「うん。」
「あの後、パルドにプロポーズされて・・・」
頬を赤らめるパンテラ
「ワオ♡ホント?返事は??」
「はい・・・OKしました。」
「えー!おめでとう♪」
「ありがとうございます。」
「ねぇねぇ、何てプロポーズされたの??」
「あ、いや、それはちょっと・・・」
「え~、いいじゃん、いいじゃん♪」
「まぁ・・・せっかく助かった命なので・・・」
「うんうん。」
「2人で幸せになろう、と・・・」
「キャー♡」
「・・・で、故郷に帰って小さな式を挙げようってことに。」
「いいね~」
「で、その・・・」
「うん?」
「この前、真白さんに額を奇麗にしてもらって・・・」
「うんうん。」
「1つ治してもらうと、他にも気になるところが出て来ちゃって・・・」
「うんうん。気持ちわかるよ~」
「その~・・・毛並みが痛んでいるのが気になって・・・」
「そっか~。じゃあ早速、見てみよっか?」
こちらも、ベッドだけのシンプルな施術室。
白い施術用のガウンに着替えたパンテラが入って来た。
「ベッドにどうぞ。」
「はい。」
横になるパンテラ。
黒い毛並みは、一見、奇麗だが、確かに痛んでいるようだ。
触れてみると、所々、硬い毛玉が出来てしまっている。
「始めますね。」
「スパークルトリートメント。」
パンテラの全身を優しく撫でていく。
真白の撫でた部分が艶のあるサラサラな毛並みへと変わっていった。
「うん。いいね。」
施術後のパンテラを見る。
黒い毛並みが輝いている。
ツヤツヤでサラサラ。
ボリュームも増して、フワフワしている。
もともと奇麗に見えた毛並みだったが、
それでも「見違えた」と表現していいだろう。
真白はポーチから全身鏡を取り出した。
「どうぞ。」
緊張気味に鏡を覗き込むパンテラ。
「!?」
「これが・・・私?」
「どうかな?」
「・・・」
パンテラの大きな瞳から、大粒の涙が溢れ出す。
「パンテラ?」
「ごめんなさい・・・嬉しくて・・・」
「私・・・今まで、見た目なんて気にしてなくて・・・」
「お洒落なんて、考えたことも無くて・・・」
「でも、私・・・今、お洒落がしたい。」
「そう思えたことが、凄く嬉しいです。」
「パンテラ・・・」
「真白さん、本当にありがとう。」
「あなたに出会えて、本当に良かった。」
「うっ、うっ、うえ~~ん・・・」
「え?え?真白さん?」
「エッ・・・私ぃ~エッ、エッ、そんな風にぃ~エッ、言ってもらえてぇ・・・」
「エッグ・・・嬉しいエッ、ですぅ~・・・(泣)」
うえ~~~ん・・・




