第10話 ギルドクエスト
真白が目覚めると、部屋に誰もいなかった。
食堂に行ってみたが、ここにもいない。
「・・・ま、いっか。」
「マスター、エッグベネディクトとキャラメルマキアートくださ~い。」
「はいよ~。」
「おいおい真白!何オシャレなもん頼んでんねん。」
「別にいいでしょ?何食べても。」
「そりゃええけどな。みんなトレーニングしよんで。」
「そうなの?でも、私もレベル10になったんだよ。」
「まぁ、それは知ってるけどな。」
「マミーも何か頼む?」
「なんでやねん!俺、人形やで・・・ほな、ミックスジュース。」
「マスター、ミックスジュース追加で。」
「はいよ~。」
「それじゃあ、私たちは良いクエスト探しましょ。」
「そやな。・・・ゲフッ。」
食事を終えた2人は、ギルドに向かった。
「おはよー、ミーナ。」
「真白さん、こんにちは。今日はどうされましたか?」
「レオが仲間になったんだけど、良いクエスト受けれるんだよね?」
「レオ?それは・・・まさか、レオナルドさんですか?」
「そうそう、そのレオだよ。」
「本当ですか?あの、レオナルドさんが・・・」
「まぁまだ、お試し期間中なんだけどね。」
「わかりました。それならBクラスのクエストを受けることが出来ます。」
「なるべく報酬が良くて、お宝も眠っていそうな・・・」
「そんな割の良い依頼なんて・・・あ、ありますね。」
「ホント?どんなの?」
「え~、東の洞窟の20階層にいるダークワイバーンの討伐依頼ですね。」
「ダークワイバーン?」
「はい。深淵の翼竜と呼ばれています。」
「深淵の・・・竜。」
「真白さん?」
「ううん、何でも。」
「そうですか?え~、ここ最近、商人の方たちから魔晶石が取れなくなったとの話がありまして。」
「魔晶石?」
「はい。魔道具を作るのに必要なんですが、どうやら翼竜が魔晶石を集めているようで、この依頼が。」
「ふ~ん、そうなんだ。」
「どうされますか?この依頼、受けますか?」
「もちろん。ところで、その魔晶石?それは私たちが持って帰ってもいいの?」
「いいですよ。翼竜が居なくなれば、また取れるようになるでしょうし。」
「やったね♪じゃあ早速、明日にでも行ってみるよ。」
「お願いします。ただし、魔物は強いです。お気をつけて。」
「うん。ありがとう。」
ギルドクエスト
『ダークワイバーンの討伐』を受領した!
「えぇクエストあって良かったな。」
「そうだね・・・」
「何や?なんか気になることでもあるんか?」
「深淵の翼竜って、レオの言ってた深淵の古竜と似てると思って。」
「まぁ、ダークワイバーンはダークドラゴンより弱いハズやけどな。」
「そうかも知れないけど・・・レオは大丈夫かな?」
「そうやなぁ・・・トラウマになっとるかも知れんなぁ。」
「だよね?辛い思いさせちゃうかも・・・」
「・・・でもな真白。アイツにとっても、冒険者として乗り越えなアカンことやないかなぁ。」
「そっか・・・」
「そや。それにお前らもホンマの仲間になりたいんやったら、一緒に乗り越えたらええんちゃうか?」
「一緒に・・・うん。そうだね。」
「よーし!じゃあ、帰って準備しようか。」
「おう!・・・って何する気ぃや?」
「ふっふっふ、ちょっと考えがあってね。マミーにも活躍してもらうよ。」
「なんか、嫌な予感すんねんけど・・・」
その頃―――
美桜とレオは武器屋にいた。
「主人、出来てるか?」
「はいよ。」
店主は2本の剣を手渡してきた。
奇麗に磨き込まれた、シルバーに輝くミスリル鋼の脇差。
美桜の体格に合わせて打たれた、刃渡り43cmの新しい剣。
美桜は震える手で受け取った。
軽い。
いや、軽く感じる程しっくりくる。
まるで、手の延長のようだ。
「50万WNだよ。」
「ああ。これで。」
ワヌ~ン
「師範・・・」
「礼はいらんぞ。時間がない。早速打ち込みだ。」
「はい!」
公園の芝生―――
大きな木の下でアンジュは眠っていた。
「う、う~ん・・・おじいちゃん・・・」
「起きたか?アンジュ。」
「あ、先生・・・わたし・・・」
「少しパニックになったようじゃな。」
「ごめんなさい・・・」
「ほっほっほ。気にすることはない。わしのリヴァイアサンは恐ろしいからの。」
「わたし、こんなんじゃ、みんなの役に立てない・・・」
「そんなことはないぞ。お主は十分強い。わしのリヴァイアサンに傷をつける魔術師なぞ、なかなかおらんぞ。」
「でもわたし、どうやって攻撃したのか覚えていません。」
「うむ。戦闘中は常に冷静でおることじゃ。それが出来れば、きっと皆の役に立てるぞ。」
ツーン・・・
無表情のアンジュ。
「何じゃ?どうした、アンジュ。」
「れ、冷静でいようと思って・・・」
「ほっほっほ。戦闘中だけでよい。普段は無邪気な子供でいなさい。」
プハー・・・
大きく息を吐くアンジュ。
「よかった~。冷静はむずかしいよぉ。」
「ほっほっほ。楽しいのぉ。」
翌朝―――
「さぁ、みんな。準備はいい?」
元気な真白。
「ああ、大丈夫だ。」
意気込む美桜。
「うん。行けるよ。」
ドキドキしているアンジュ。
「いつでもいいぜ。」
緊張するレオ。
「アンジュよ。」
「先生!」
「もしもの時は、このタリスマンに魔力を込めるのじゃ。」
「タリスマン?」
「お守りのようなものじゃ。帰巣の術式を組み込んでおる。」
「帰巣の術式?」
「そうじゃ。どこにいても、一瞬でわしのもとへ帰ってこられる。」
「先生・・・」
「お主には、帰るところがあるということを忘れるでないぞ。」
「・・・ありがとう。」
オルディスは、アンジュの首にタリスマンをかけてあげた。
水晶で出来たペンダント。
水の紋章が刻まれている。
アンジュは心が落ち着くのを感じた。
「気をつけての。無事に戻って来なさい。」
「はい、先生。行ってきます。」
アンジュは、オルディスに抱きついた。
一瞬、笑顔を見せると、意を決し真白のもとへ。
「さあ、行こう。」
「よし、みんな。チャチャッと終わらせるよ!」
オーー!!




