第9話 修行
美桜とレオは早朝からトレーニングに励んでいた。
「ミオの武器は、スピードと柔軟性だ。」
「はい。」
「だが、腕力は足りない。」
「・・・はい。」
「責めているんじゃないぞ。筋力はこれから鍛えればいいんだ。」
「はい!」
「しかし、今すぐどうにかなるものでもない。」
「はい。」
「そこでだ、今は相手の力を利用することを考えてみろ。」
「はい!・・・利用、ですか?」
「そうだ。」
「打って来てみろ!」
「はい!」
高速ステップ!
低く沈み込み、間合いを詰める!
胸部への打突!!―――
美桜の目の前には、まだ薄暗い空が広がっていた。
「え?」
「どうだ?何をされたか分かったか?」
美桜は、地面に寝転がっていた。
レオが手を差し伸べる。
「あ・・・ありがとうございます。」
手を取る美桜。
少し頬が紅潮しているのは、朝焼けのせいだろうか。
「・・・何が起きたのか、分かりません。」
「そうか。俺は今、ほとんど力を使っていないんだ。」
「ミオの打ってきた手首を取って、軽く捻っただけだ。」
「まぁ、首に軽く手刀を入れておいたがな。ガッハッハ。」
ズキッ
今頃、首に痛みが・・・
確かに、打たれていたようだ。
「痛かったか?スマンすまん。治療しておこう。」
「ヒール」
「え?治癒魔法使えるんですか?」
「かすり傷くらいしか治せないがな。ガッハッハ!」
早朝の公園に、レオの笑い声が響いた―――
「あれ?この声、レオかな?」
「ほっほっほ。朝から元気なやつじゃの。」
広い公園。
美桜たちとは反対側の広場に、アンジュとオルディスは来ていた。
「それじゃあ、わしらも始めるかの。」
「はい、先生。」
「かかって来なさい。」
「いきます!」
「ウインドバレット!」
風の弾丸がオルディスを捉えた。
バシュッ!
「アクアミラージュ。」
オルディスは霧散しアンジュの後方に現れた。
「ほっほっほ。こっちじゃよ。」
「くっ!」
「鎌鼬!」
幾重もの風の刃がオルディスを襲う。
バシュシュシュシュッ!
「アクアウォール。」
水の壁が刃を飲み込んだ。
「ほっほっほ。こっちの番かの。」
「アクアランス。」
水の槍がアンジュを狙う。
「ウインドミル!」
風の力で槍が泡と消えた。
「ほう。これならどうじゃ?」
「アクアチェイン。」
水の鎖でアンジュを拘束。
「タイダルウェイブ。」
巨大な水流がアンジュを飲み込んだ。
ゴボゴボゴボ・・・
「ブホッ!ゴホッゴホッ・・・」
「そろそろ、終わりかの?」
「ま、まだまだ!」
「山嵐!」
天空から吹き降ろす強風がオルディスを巻き上げた。
「むぅ・・・」
ストン
オルディスは軽やかに着地。
「ほっほっほ。やるではないか。」
「えへへ。」
「では、ちょっと本気を出すかの。」
オルディスの表情が変わる―――
「海龍神ーリヴァイアサンー」
空気中や大地から水分が集まり始める・・・
やがて、光り輝く大きな海龍が実体を現した。
「ハッ・・・」
その姿を見たアンジュは恐れで震えている。
「どうじゃ?降参かの。」
「くっ・・・ウインドバレット!」
「ウインドカッター!」
「鎌鼬!」
「テンペストアロー!」
「神風!」
リヴァイアサンは全ての攻撃を受け流し、口から巨大な水球を吐き出した。
アンジュはギリギリで水球をかわしたが、様子がおかしい・・・
「ぅわあああぁぁぁーーーー!!」
アンジュの無茶苦茶な攻撃!
パニックになっているようだ。
「アンジュよ、落ち着きなさい。」
「わあぁぁーーー!!」
バシュッ!
リヴァイアサンに攻撃が当たった。
「むっ!」
「わあぁぁーーー!!」
「アビスプリズン。」
水の監獄がアンジュを閉じ込めた。
「ヒーリングミスト。」
優しい霧がアンジュを包み込み、アンジュは眠りに落ちた・・・
「まだまだじゃの。しかし・・・」
「わしのリヴァイアサンに傷をつけるか・・・楽しいのぉ。」
「ほっほっほ。」
早朝の公園に、オルディスの笑い声が響いた―――
一方、真白はまだベッドの中だった・・・
「あぁ、可愛いパンツ・・・ムニャムニャ・・・」




