始まり
魔法と超常の力が存在する世界では、すべての国が自国の利益のために魔法を教育し、若者たちに力の使い方を教えていた。
ラヴェンは魔法高校の2年生。ここでは、魔法の基礎から応用までを学び、生徒たちは自らの神秘の力を自在に操る術を身につけていくのだ。
魔法学園の初日
ラヴェンは巨大な門の前に立ち、その不思議な力を放つ校舎をじっと見つめた。周囲には新入生たちの期待に満ちた声が飛び交い、空気が高揚感で震えていた。
この日は、ただの入学式ではなかった――学園最強の生徒会メンバーたちがその力を披露する“演武の日”でもあった。
広大な中庭に巨大なステージが設けられ、生徒たちはその周囲に集まった。教師の一人が厳かな声で宣言する。
「では――これより、生徒会の中でも最強と名高い二人による演武を開始する！」
舞台に上がったのは、銀髪に黒いマントを羽織った青年、キリアン。その対戦相手は、黄金の瞳を持ち、まるで火そのもののような存在、エリアナ。彼女は炎を己の一部のように操ると言われている。
キリアンが手を上げると、彼の周囲の影が集まり、黒き剣となって現れた。闇の力が脈動するその刃。
一方のエリアナは、一歩歩み出るごとに炎が舞い、巨大な火の龍がその身にまとわりつく。
「さあ、かかってきなさい、キリアン！」
彼女は自信に満ちた笑みを浮かべた。
キリアンは影の力で爆発的な速度を得て、一瞬で間合いを詰めた。だがエリアナはその動きを見切り、炎の盾で攻撃を防ぐ。
巨大な火球がキリアンに向かって放たれた。彼は後方に飛び、影のバリアを張るが、一部の炎がそれを突き破り、肩を焼いた。
しかし、キリアンは動じない。彼は再び影を操り、無数の闇の槍を放つ。対するエリアナは、火の龍を召喚し、咆哮と共に爆炎を放った。
戦場は一時、業火に包まれた――。
ラヴェンはその激闘を見つめ、胸が高鳴った。
「……この学園が、俺の旅の始まりだ。」
そう確信した。
その日の夜、ラヴェンは街を一人で歩いていた。冷たい風が路地を吹き抜け、街灯の下に長い影が落ちている。人通りはまばらで、静寂が支配していた。
だが、その静けさはすぐに破られた――。
影のように素早く動く一人の人物が現れ、通行人の一団を襲った。
その動きは無慈悲で正確。
わずか数秒で、彼らは倒れ、動かなくなった。
ラヴェンは息を呑み、物陰に身を潜める。
「……あれは……誰だ……？」
全身から冷たい汗が噴き出す。
その男から放たれる恐ろしい“気配”――まるで世界が凍りつくような圧に、ラヴェンは動けなかった。
彼は振り返ると、一目散に逃げ出した。
足が震え、心が叫んでいた。
「この世界は……俺が思っていたよりも、はるかに危険だ……！」
翌日、新たな転校生が学園にやって来た。
彼の名は――リョウ。
ラヴェンとは違うクラスに配属されたが、その存在は瞬く間に学園中に広まった。
中庭を歩く彼に、王族の家系と思われる数人の生徒が近づいた。
生徒1（威圧的に）
「待て。お前に聞きたいことがある。」
リョウ（冷たい眼差しで）
「……邪魔だ。今は機嫌が悪い。」
生徒たちはその態度に苛立ち、一人が一歩前に出る。
生徒2（嘲るように）
「新人のくせに偉そうに。ここでのルールを教えてやろうか？」
彼らは取り囲み、リョウを脅そうとした――だが。
リョウは静かに手を上げた。
瞬間、闇の波動が辺りを包み、空気が震えた。
それは“恐怖そのもの”だった。
三人の生徒はその場に崩れ落ち、呼吸さえできずに震え上がる。
遠くからその様子を見ていたラヴェンは、
昨夜の“あの気配”を思い出した。
「まさか……あれが……あの男……！」
大陸諸国による経済会議
各国の代表が、大きな円卓を囲むようにして座っていた。空気は張り詰め、国旗が静かに揺れている。
議長（落ち着いた声で）
「本日の議題は、我々の大陸を揺るがす経済危機についてです。そして一つ、非常に重要な問題があります。五大組織が、一部の国と個別に取引を始めたという情報が入っています。」
アクシール（国1）
「それを許してしまえば、大陸内の格差はますます広がり、我々は国際的に孤立する恐れがあります。」
ニロス（国2）
「競争よりも協力が必要です。今こそ団結して、強い経済同盟を築くべきです。」
ティロン（国3）
「外に頼るよりも、自国の基盤を固めるべきです。我々の力で立ち向かう方法を考えなければ。」
ヴァレリア（国4）
「でも、小国の犠牲の上に成り立つ協定では意味がありません。公平なルールが必要です。」
ドリナー（国5）（苛立ちを隠さず）
「だが、五大組織との取引は莫大な利益を生む。完全に拒絶するのは愚かだ！」
アクシール
「彼らは法を無視し、利益を独占する。我々は“支配”されるだけです。」
ティロン
「このままでは我々は選択権すら失う。独立した経済圏を作らなければ。」
ヴァレリア
「柔軟な対応も必要では？ 完全拒否では未来が閉ざされます。」
ニロス
「全ての組織が悪ではない。柔軟に見極めるべきだ。」
アクシール
「だが、今のままでは彼らに主導権を奪われる。我々が主導する同盟が必要だ。」
議長
「議論ばかりで答えが見えません。具体的な対策が求められています。」
ティロン
「我々が主導して、新たな経済連携を構築するしかない。」
ドリナー
「だが、それでは莫大な利益を捨てることになる！」
ノルダリア（国6）
「……皆さん、忘れてはいませんか？ **“アルカディア”**という組織が今、急速に動いています。226億フェニックス規模の事業をフィランで破壊し、焼き払ったという報告が入っています。これはただの取引ではありません――力と威嚇による“宣告”です。」
――沈黙。
一同は息を呑み、凍りついた。
誰もが気づいていた。これはただの経済問題ではない。新たな脅威が、すでに影を落としていたのだ。
この物語を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます！
レイヴンの冒険はまだ始まったばかりです。
今後も予想外の展開が待っていますので、ぜひ次の章もお楽しみに！
