第一章 桟橋で
日常の終わりは突然やってくる。終わりは日常の中に身を潜め、その時を待っているのだ。気まぐれに、それでいて虎視眈々と。
「信乃、おまえの将来の夢ってなんだ?」
「突然どうしたのさ?」
親友のらしくない発言に、僕は素っ頓狂な声を上げてしまった。将来の夢だって?
「突然じゃねえよ。目に前にせまっている事だぞ。今話さなくていつ話すってんだ。」
僕の親友の1人雪結晶朔は、不満そうに鼻を鳴らした。
「確かに朔の言うとおりだ。」
もう一人の親友である糸玉黒音は朔の発言に同意した。
僕、火来灯信乃と朔と黒音の3人は海の桟橋に並んで座り、話をしていた。学校の帰り、制服のままいつもここに来ては、あれやこれやと話をしている。いつもの日常だ。
「だろう?そんで信乃、将来の夢は?」
「朔と黒音と何かしたいな。」
「俺もだ!」
嬉しそうに朔は笑った。そのまま黒音の方を見る。黒音はそれにうんと頷いた。
「僕も一緒だ。」
「やっぱり、みんなが笑顔になるような……。」
立ち上がり後ろを向いた朔の言葉が不自然に途切れる。動きも止まり、あるものを凝視していた。
「朔?」
「どうしたの?」
黒音と僕は不思議そうに朔を見る。そして朔が見ている方向を向こうとした。その時だった。