表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

前世で花魁だった俺、現世で男に生まれ変わったら結ばれなかった武士と再会しました

作者: 朝霧彩矢

【前世で武士だった剣道大学生×前世で花魁(遊女)だった男子高校生】



 その花魁は誰よりも美しかった。無口な俺は彼女が喜ぶような話など言えず、俺が黙って彼女の話を聞いていることが多かった。俺に向けてくれた彼女を忘れたことはない。

俺は彼女を身請けして一緒になりたかったが彼女は病に倒れ、それを知った俺も持病が悪化し命を落とした。それが俺、川地孝雄の前世の記憶。

前世で武士だった記憶のせいか俺は剣道の道に進み、大学進学した今でもそれを続けている。

俺が愛していた花魁、青宮太夫は俺と同じように生まれ変わって生きているだろうか?

時々そんなことを考えてしまう。俺は時折青宮はどこかにいないかと探してしまう。街を歩く時や剣道の大会に出た時は観客の中にいないかと、それからネットでそれらしいSNSアカウントがないだろうかと……

「あ、孝雄、『TAYU』の動画新しいの上がってるぞ」

「え?」

バイトからの帰り道の電車の中、同じバイトをしている幼馴染の志郎に言われ俺は自分のスマホで動画を見てみる。俺は最近気になっている、男子高校生が顔を隠してギター演奏をしながら歌っている動画が。演奏も歌もうまくその動画は投稿一時間で二万再生されるくらいだ。俺は演奏と歌に感動しつつ思うことがあった。この感じ、なんだか青宮に似ている気がする。青宮は楽器も歌もうまく教養もあった。もしかして……この男子高校生は青宮なのか??



 ※



 俺、青原啓介には前世の記憶がある。俺の前世は女の子で遊郭の遊女で、花魁だった。狭い店の中で生きていくためにがんばっていたらその称号を得たのだ。そして、俺には好きな人がいた。よく会いに来た武士の川崎孝ノ助様だった。無口で照れ屋だったけどすごく優しかったのは覚えている。俺は確かにあの人が好きだった。

『わちきは、川崎様を好いています……』

『俺は……』

川崎様が俺の告白になんて返したのかは思い出せない。俺は、川崎様と結ばれないまま病気で死んだ。それが前世の記憶だった。

前世の俺は遊郭から自力で出ようとする勇気がなかった。だから現世では思い立ったらすぐに行動するようにしている。高校の部活は速攻で軽音部に入部を決めて、部活で磨いたギターの腕と歌を少しでも他の人に聴いてほしさにネットでアップするようになった。

そんな中俺の演奏と歌を聴いた人から連絡が来た。SNSのダイレクトメッセージに不思議な一文が来た。

――君は、青宮太夫かい?

青宮太夫。それが俺が花魁だった頃に呼ばれた名前だった。俺の前世を知っている人かもしれないと思い、その人に会うことにした。

「はじめまして。『TAYU』です……」

ファミレスの席でその人に会った。大学生でかなりのイケメンだった。

「はじめまして。川地孝雄です」

「あの、俺のこと、青宮太夫って言いましたよね?」

俺はさっそく確信に迫る。もしかして俺の前世の知り合いなの?

「……はい、俺は、川崎孝ノ助。花魁だった君の恋人だった」

川地さんは俺が前世で好きだった相手、川崎様だった。



 ※



 「青宮、現世でこそ君と一緒になりたい」

立花は啓介に迫る。孝雄は睨む。

「前世の名前で呼ぶのはやめてやってくれ。怯えているだろ」

「なんだろう、この人……」

立花が二人に関わっていくのは別の話である。




人物紹介

青原啓介[前世:青宮太夫(あおみやだゆう)

高校二年生。幼い時から前世の記憶がありたまにその夢を見ていた。前世から歌も楽器も得意だったのが現世でも引き継がれている。軽音楽部所属。たまに演奏や歌をネットにアップしている、それを見た孝雄と出会い彼が川崎の生まれ変わりだと知る。

前世で川崎を待つだけの人生だったことを後悔してか現世では行動力の塊で熱血になった。聞き上手で気立てが良いとこもある(これも前世ゆえに)


川地孝雄[前世:川崎(かわさき)孝ノ助]

大学二年生で警官志望。大学の剣道部所属。こちらも幼い時から前世の記憶がある、小学生の時から剣道をしていたので運動神経抜群。啓介が青宮だと知って再び好意を持つ。青宮への想いを忘れられずにいたらたまたまネットで啓介の存在を知り、彼が青宮の生まれ変わりだと知る。こっちも前世での経験から結構積極的。

前世でも現世でもクールなツン甘。


立花良太[前世:立木京水(たちぎきょうすい)

26歳。青宮太夫を身請けするはずだった豪商の生まれ変わり、つまり間男。記憶在り。貿易会社の御曹司で次期社長になるべく今は別の会社で修行中(営業職)。孝雄の大学のOB。

前世でも現世でも基本素直じゃない。こちらも啓介が青宮の生まれ変わりと知ってアプローチしてくる。


コウジ、レイコ

啓介と同じ軽音部所属の同級生。啓介の前世を信じている


大塚志郎

孝雄の幼馴染でこちらも同級生。孝雄の前世を信じている


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ