闇?
世界は、光と闇で構成されている。
光を好み、歩む人間。彼らは、闇の恐さを知らない。
闇を好み、息を潜める魔物。彼らは知っている、光を好む人間は、絶望や欲望に弱いということを。
だから、人間が魔物に勝つなんて不可能だ。
平伏すのも、時間の問題。
「そう思わない?」
「興味ないサァ」
自分の問い掛けに、ぴしゃりと蓋をされ、カラスは不機嫌になった。
「梟は、もう少し色んなことを考えるべきだねっ」
「興味ないサァ」
まただ。
「クダラナイ話ばっかしてないで、本題に入ったらどうだい?」
ついにはクダラナイ話と言われてしまい、ますます機嫌は悪くなる。
「本題なんて知りませんよ。それに、一部始終を見てたんだろ?…コウモリ」
黒のサングラスを掛けた男は、小さく咳ばらいした。
「あの…軟弱そうなキーパーソン…注意だな」
「あぁ、サボり君だろ?僕のお気に入り」
カラスがにっこりと微笑むと、梟と呼ばれた少女はクダラナイと、ため息をついた。
「それと、女のキーパーソンも」
「え?そう?僕は、下級だと思ったんだけど」
コウモリは、首を振る。
「五割も力を出してないだろう。多分、お前の動きを見たんだ」
その見解に、カラスは舌打ちした。
「ふざけんなよっ!余裕ぶっこきやがって…やっぱり殺しておけばよかった…」
「ナメられたもんだね、カラスも」
梟がケラケラ笑い飛ばす。こいつに馬鹿にされると、一層腹が立つ。
「開花する前に、刈っておく」
サングラスの下から、鋭く光る視線。
「分かってる。てか、手出ししないでよ。…どっちも僕が狩るんだから…」
目つきが変わったカラスが暴れ出すと手に負えないことを、二人は重々承知している。
「鷹に報告しないでいいサァ?」
だから、梟は話題を逸らした。
「それはお前の役目だろ?」
梟は眉間に皺を寄せる。
「疲れるサァ。たまにはあんた達で行きなさいよ」
「僕はサボり君達から目が離せないから、むぅり!」
「俺も雑魚を狩るので忙しい」
面倒な役は、いつも梟だ。
「いつか魔王様に言い付けてやるサァ!」
闇に生きる漆黒達は、光の世界をいつも見下ろす。彼らは、人間の憎悪にとても敏感だ。
この世界にいる限り、獲物はたやすく手に入る。だから、支配したい。
邪魔する者は、皆殺しだ。
二巻終了ってことで!