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あの世とこの世を繋ぐ扉が、大魔王の力によって破壊された。
世界に魔物が侵入し、人間はやつらに身体を蝕まれていく。これ以上の犠牲を出さない為に、普通の高校生だった日向シンヤは、魔物を退治し扉を鎖すキーパーソンになった。
勉強に部活、進路に友達、今時の若者は悩みに溢れている。息する暇もなく、新しい悩みは次から次へと発生する。
東堂夏美は、そんな苦しい環境の中で何とか生活していた。成績が上がらないことに苛立つ両親、口うるさい教師、ご機嫌を取らなきゃならない女友達。頭の中は、パンク寸前だ。
自分の気持ちを押し殺し、愛想笑いで繋ぐ会話。何を自分がしたいのかなんて、すっかり忘れてしまった。
最近じゃ、塾帰りに立ち寄る公園のベンチで、一人になるのが唯一の楽しみになっている。
「…疲れた」
うるさい!消えろ!黙れ!
怒鳴りたい言葉は沢山あるのに、蓋を外せない。
金属バットで窓ガラス割ったり、テーブルひっくり返したり。気分がすかっとすることをしたいのに、いつも冷静なもう一人の自分がいて囁いている。
「弱虫。できもしないくせに」
その通り。臆病な自分は、人の言いなりになるしかないんだ。
ホントウニ?
東堂は、背後からした声に、飛び上がった。
「誰っ?!」
ヨワムシ デ イイノ?
ツヨク ナリタインダロ?
「誰よっ!」
ツヨクナル キミハ ツヨクナレル
ダカラ コッチニ
オイデ
2巻始動です。