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13話


あの後お互いに落ち着いた後に色々なことを喋った。


いつ、事務所に入ったのかとか。

月曜日から通う高校にここちゃんも居るとか。

今までどういうことをしてきたのかとか。

なんで春とは仲が悪かったのか、とか。


春とあまり仲が良く無い様に見えたのは俺を取り合ってしまうからだと言っていた。

なんか、俺がいない時には普通に仲良く遊んでいたし、仲が良かったらしい。


何より驚いたのは、明日の昼頃には俺の家の隣、つまりここちゃんの元の家に家族含め、ここちゃんが引っ越すと親から連絡が来たと言っている事だ。


というのも親と約束していたらしい。

最初に、6歳の時に引っ越した時、約束していたとのこと。

もし、俺との夢を叶えて再会することが出来たら、元々の家に戻るという約束をしていたらしい。


この約束から、家を売ることなく、時々手入れをしていたらしく、すぐに引っ越せる状況であるらしい。


それを聞いて嬉しいやら、ここちゃんの家族に迷惑をかけてしまいと思ったり、複雑な気持ちになってしまう。


「大丈夫だよ?うちの親の勤務地とかも元の場所にもう戻ってるから問題ないし」


どうやら聞いた感じ、元々俺が弥生芸能事務所に受かってようがなかろうが引越しの準備は既に始めていたらしい。

なんでも確実に俺が芸能界に入ると分かっており、あとは再会したらすぐに引っ越せるようにとのこと。


なんで俺が芸能界に入ると分かっていたのだろうか、と思ったら前世の手紙で母親同士が連絡を取りあっていたと言っていたのでその事なのだろう。


ちなみに、ここちゃん自身もなんで引越しの準備をしているか分からなかったけど俺と再会できたことにより両親が約束を守ってくれているということが分かったらしい(母親同士が連絡を取りあっていることは既に知っていたらしいので恐らく俺と同じ考えにたどり着いたのだろう)


「でも嬉しいなー、月曜日から同じ学校ってことは毎日登下校も一緒だし、春ちゃんにも会えるし」


春にも会えるって言うくらい仲が良かったのか、とも思ったし純粋に春のことを気にしててくれて嬉しい。

何より、ここちゃんと登下校が出来るのが嬉しい。


「まぁ、お互いに仕事がなくて学校に行ってればそうだね」

「あ、でも春ちゃんは一緒の高校じゃないのか、元々はアキちゃんは春ちゃんと同じ高校だったの?」

「あー、そうだぞ?だけど......」


だけど、もしかしたら同じ高校になるかもしれないんだよなぁ、今日次第で。


「ごめんね、私の夢に付き合ったせいで春ちゃんと違う高校になっちゃって」


だけど、の後を続けないで考え事をしていたのが落ち込んでいるように見えたようで、しょぼん、としながら謝ってきた。


「違う違う、落ち込んでたんじゃなくて考え事をしてたんだ、今日ウチの事務所でアイドル志望のオーディションがあるじゃんか」

「うん、そうだね?確か今回のオーディションで入ってくる子はもしかしたら私とユニットを組むかもしれないって言われたから結構楽しみなんだよね」

「そのオーディション、春も受けてるんだよね」

「え!?」


心底驚いたようだ。


「ほ、本当に?」

「あぁ、なんか、春も芸能人になってお兄ぃと同じ高校に行く!だってよ」

「あぁ、うん」


ここまで話すといきなり、ここちゃんは目が虚ろになって遠くを見つめはじめた。


なんか『まだ好きだと思ってるんだなぁ』

みたいな感情を浮かべているような気がする。

まぁ、春の思ってる好きは兄妹としてのだから違うんだけどな。


と、ここまで話していたら外が暗くなり始めていることに気がついた。


「もうそろそろ帰らないとだな、駅まで一緒に行こうか」

「え!?もうそんな時間?楽しい時間はすぐだね」


本当にな。

久しぶりに会ったし、話したいことも沢山あったからな......

なんならまだ話し足りないし、でも......


「これからも会えるしな、もっとはなせるもんな」

「うん、そうだね......」


二人並んで駅へと向かっていく。

ただ、スタベを出てから一言もここちゃんとは話さずに歩いていた。

どうやらここちゃんは何か考えているようでずっと俯いていた。


駅についたのだが。


「ここちゃんは路線はあっちの方?」

「うん、そうだよ」

「じゃあここでお別れだな、明日引っ越してくるんだよな?」

「うん」


こうして会話しているのだが、未だにここちゃんは考えているようで上の空だ。


「じゃあまた明日」


でもまぁ、明日もあるし連絡出来るし、また話せばいいかと思いそう言ったのだが


「ねぇ、アキちゃん」


振り返り自分の使う路線に歩いていこうとした時に話しかけられた。


「どうした?」

「私達ってさ、将来を約束してる仲じゃん?」


顔を赤くして少し逸らしながらそう言ってくる。


え、なに、いきなり。


「婚約者ってことは、付き合ってるってことでいいんだよね?恋人面してもいいんだよね?」


へ?


あっ、え?


そう、なるのか?

確かに結婚しようね、とは言っていたし、前世の時に貰った手紙からも分かるように今も俺の事を好いてくれているのも分かるし、俺もここちゃんのことが好きだし。

あれ?

問題ない?


いや、でも。


「なんか事務所で恋愛禁止とかなんとかあるんじゃないの?」

「え?それは契約書に書いてあったじゃん」

「ほら書いてあったんじゃん」

「違う、そうじゃなくて、あーもー!」


どういうことだ??


「もう!帰ったら契約書を見直すこと!絶対読んでないんでしょ!」


な、なぜバレた......

確かにめんどくさいなぁ、また今度でいいか......

と思ってたけども。


「それで契約書を読んで、納得したら私にさっきの返事をちょうだい?」


上目遣いでそう言ってきた。

くっ、可愛い。


「わ、分かった」

「今日中にだよ?はい、じゃあまた明日!」


バイバイと手を振らながら歩いていってしまった。


というか......


「さっきのは告白みたいなもの......だよな?」


告白って......俺がしたかったのに......

いや、気にしてもあれだよな、俺がしっかりしないと、ここちゃんに失礼だし。


そう、気合を入れて帰路に着くのであった。


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