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花は梅か桜か、まだ2月
花の香りの繊細さと
心地良さで
子どものように
何度も花のたもとに
行って
繊細で繊細で
凛として
伸びる香り
なんとも表現が
及ばない
薄紅のさがり梅の
まるで
初めて出会ったことを
喜んでくれているような
まだ成熟しきれていない
大人にはすこし早い
少女のような
ぼくは
何度も何度も
枝の袂に足を運び
童子のように
その香りを楽しむ
見たものは
言葉に載せて
理解してくれる誰かと
漸くその喜びを分かち合えるように
なれた気もするが
まるで春そのものの
梅の花の香りは
喩えるものが
思い浮かばない
かえって
その花の
無垢な美しさなら
愛する君に喩えられる
もし君が
この花の香りを
モチーフにした
高級なフレグランスを
薄くまた優しく
纏ってくれたなら
いやすでに
それを考えて
そのストーリーを思うだけで
ぼくは仕事も
日々の祈りも
忘れてしまいそうになる
だから
君を諦めるか
できないそれを
ひたすら
花への讃美で
心を満たして
すり替えるしかない
あとすこし
あとすこし
わたしを忘れないでという君を
あとすこしで
忘れ去ることが
できる
香りも味も
身体で憶えるけれど
表現はたどたどしく