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僕には何もない。
プロローグ
初めて会った女の子に一目惚れした。
それは、俺の人生が変わった瞬間だった。
そして俺にとって彼女との出会いが全ての物語のはじまりだった。
10年前……
4月の桜の舞う季節といえば入学という一大イベントがある。
俺は何処にでもいる平凡な13歳の中学生だった。
今まではある程度のことはなんとかなると思っていたのに中学に入学してそうそうに変なあだ名がついた。
そのあだ名は「デノ」だった。
なんで、デノになったのかは今でもはっきりおぼえている。
俺の苗字が関係していた。
出口の出に野原の野と書いて「イデノ」というあまり馴染みのない苗字だったためにクラスメイトたちにデノとからかわれたのがすべての始まりだった。
俺が通っていた中学校は1学年の人数が多くもなければ少なくもない普通の中学校だったために直ぐにデノというあだ名は広まってしまった。
そして忘れることの出来ない彼女との出会いのきっかけがまさかあだ名のおかげだとは思ってもいなかった。