Part3
九条からの仕打ちに耐えられなくなった架純は涼真に助けを求めた。涼真はかおりのつてを頼って、次元に相談することにした。次元は京都から出て非難したほうがいいとアドバイスをして、宿の手配をして二人を逃がすことにした。
第三章:任意誘拐
上賀茂ハイツでは次元がコーヒーを入れていた。とても爽やかな朝だった。彼は米津玄氏のアルバムをかけながら、トーストを焼き、ハムエッグを作っていた。すると電話が鳴った。
「誰だ?こんな朝から…なんだコールドハート・グロムゴールドかよ。どうせ、スクルージさんの情報をよこせとかいうんだろ。無視無視。あんな悪党と手を組んだって、どうせ負けるに決まってる。」
着信拒否にしたら、別の着信音がした。♪悪のマーティンシュマッツ社~♪
「やれやれ…」次元は仕方なく電話に出た。相手は悪の科学者のマーティンシュマーツ博士だった。本業は次元と同じ大学生だ。悪の科学者を演じるのは彼の趣味らしい。
「あ~、次元!!実は今アシスタントを探しているんだ~!!今すぐ私のオフィスに来てくれないか~?」
「お前のオフィスは東京だろ?悪いが行けねえ。泥棒の仕事なら喜んで引き受けるわ。」
そういうと彼は電話を切った。彼の趣味に付き合う程、暇ではなかった。
「さてとそろそろ朝食を頂くとするかな。空腹は人生の最大のスパイスだからな。」
そういうと彼は作ったハムエッグサンドにかぶりついた。最高の出来だった。半熟の卵が口の中で広がりパンと絡み合い、いい触感と味が口に広がった。食後にいれたてのコーヒーを飲んでくつろいでいると、チャイムが鳴った。
「今日はお客が沢山来るな~」そう思いながら、部屋のドアを開けた。ドアの前にはかおりと見知らぬ二人の男女が立っていた。
「やっほー、次元。今時間ある?」「あるけど…どうしたの?その二人は?」「この二人が次元に相談があるみたいやで。次元にとっても興味のある話やと思うんやけど。」「ほほう、とにかく入ってよ。」
次元は三人を部屋に入れ、カフェラテをいれ彼らにふるまった。早速、架純が事情を話した。次元の顔は段々と険しい表情になっていく。
「そこで私達この状況から抜け出したくてお願いしてきたんです。」
「君ならなんとかしてくれると、部長が言って来てくれたんで…」
「うーん、手は無いこともないが、あの…かおりちゃん?報酬はくれるの?」
「そんな、高額のお金なんて無理だよ…ほかの方法ならいけるけど。」
「お金なんて良いんだよ…その代わり、言っちゃあなんだけど女の子紹介してくれない?」「うーん、その代わりモテる秘訣教えたるわ。」「よし、それで。」
こう即答した次元を涼真はまじまじと見つめていた。なるほど、こいつがめついが憎めないし悪い奴ではないなと内心で思った。
「大阪に知り合いがいるホテルがあるんだ。そこに泊まるといい。予約は俺が入れておく。」
そういうと彼は電話をかけた。
「はい、こちらホテル・ティプトンでございます…これは、次元!!今度は何の用だい?」
電話の相手はスクルージ・ティプトンが運営するホテルの支配人、ウィルバード・モーズビーだった。次元や慎太とは顔なじみだが、彼らが起こす大騒動や事件に振り回されることも多かった。
「モーズビーさん、ホテルの部屋空いてる?そこに予約を入れたいんだけどいいかな?」
「ツイン部屋…ええ、空いてるよ。でも何で…?」
「よかった!じゃあ一部屋予約入れるわ!!名前は竹中涼真で。今日の夕方にチェックインするから!!じゃっ!」
「え、あっ…ちょっと…!」
モーズビー支配人は訳が分からないまま、部屋に予約を入れた。
「これでよし!!予算は架純のお父さんが出してくれるんだよね。」
「うん、さっき電話したらいいって。パパもこの問題を早く解決したいって言ってた。」
「よしこれで予算面は大丈夫と。問題はどうやって上賀茂から抜け出すかだ。」
「変装してバスに乗っちまえばバレやしない。敵さん案外間抜けらしいから。でも京都から出るまでは油断するなよ。」
二人はサングラスと帽子をつけると上賀茂ハイツを出た。かおりの部屋に荷物があったので取りに行った。軽めの荷物を持つと彼らは京都駅に向かうバスに飛び乗った。
「親さんにはこの子と伝えた?」
「うん、涼真君にボイスメッセージをくれた。」
涼真はそのボイスメッセージを聞いた。内容は我々の都合で迷惑をかけるが、娘をどうか頼むと言う内容だった。そのボイスメッセージを聞いた涼真は奮い立った。いよいよ大脱走の開始だ。何が何でも架純を守り切ってやる。そんな涼真を乗せバスは京都の町を走って行った。
第四章:作戦会議
二人を見送った後、かおりと次元は話をしていた。慎太と隆司も一緒だ。
「二人を逃がしただけだとまた捕まってしまうよ。」
「何にも無しであの子達を逃がしたんじゃねえ。実はもう計画は決めてある。」
「次元にしちゃあ珍しいな。」隆司が言った。
「どんな計画だ?あいつらのアジトを叩っ切ってやるとか?」慎太が言った。
「それじゃあ、あいつらの怒りを買うだけだ。やるからには弱みを握り、徹底的に相手を潰さないと。」
「出た。」二人は声をそろえて言った。「これで何人もの輩を社会的死に追いやった事か。」
「全員悪党だったんだからいいだろう?」
「そういう問題じゃねえ気がするけど…でどんな計画だ?」
「その前に、隆司。達樹にアポ取れるか?」
「あいつに会ってどうするつもりだ?あいつとゲーム対戦でもするんか?」
「いいから取って!」
隆司は彼のケータイを使って、達樹にLineを送った。
「何をする気なん?」かおりが尋ねる。
「天才ハッカーに奴の会社のパソコンをハッキングさせて、その情報を弱みにつけ攻めていく。それに一つ気になる事があるんだ。」
「何?」
「スクルージさんの会社から援助を受けることが決まった時から、九条の暴行が酷くなったって言ってたな。てことは九条の意志のほかに誰か一条家の会社とスクルージさんの会社とのつながりを断ち切りたいと言う奴がいるんだと思う。」
「それってまさか…」慎太が口をはさんだ。
「まだ100%とは言えないけどな。だから九条の会社の取引会社のリストも欲しいから…」
「それもハッキングさせようと言うわけね。」
「その通り」
その時、隆司のケータイが鳴った。「あいつ、春休み中家に居るらしいわ。餓死してなきゃいいけど…」
「よっしゃ!早速行こう。かおりちゃんも来る?」
「ごめん、バイトやー。後は任せるわ~なんか解ったら、連絡してきて~」
そういうと、かおりは上賀茂ハイツを出て行った。
高澤達樹はゲーマーでもあり、天才ハッカーでもある。しかしゲームに金を使いすぎて食料費が確保出来ずにいつでも腹を好かせている。
「達樹入るぞ。」入ってみると、カップラーメンやインスタント焼きそばのカップがそこら中に転がっている。達樹はゲームにかじりついていた。
「おー、次元か。用てのはなんだ?また、女の子紹介して欲しいのか?」
次元は無言で彼の頭を小突いた。
「馬鹿言ってんじゃねえよ。いい仕事持ってきたんだよ。」
達樹の目が変わる。「どんな山だ?」
次元が説明する。話が終わると達樹は興味深そうに言った。「弱みを握る作戦か
。大企業のパソコンに入るなんて、おもろそうじゃねえか。」
「引き受けてくれるか?」
「報酬しだいだな。食料費として2万で引き受ける。」
「相変わらず、そこら辺しっかりしてるな~分かったよ。成功したら連絡してくれ、報酬持って来るから。」
「あいよ。お前も恋人探し頑張れよ?」
達樹が笑うと次元はまた彼の頭を小突いた。
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