Part2
前回のあらすじ
KS大学は春休み前とあって生徒達は春休みの予定を立てるのに大忙し、しかし涼真と架純は浮かない顔をしている。涼真は架純に思いを伝えられないことを気に病んでいた。一方、架純は大企業の御曹司の九条からのDVに悩まされていた。
第二章:大脱走
涼真は自分が情けなくて仕方がない。このままではらちが明かない。ゼミの友達やサークルのメンバーなどからは、少々強引に行かないとあの子は落とせないと言われてしまった。ある夜、彼はバイト帰りに架純が住むハイツの近くを通り過ぎた。どうしたものかと思い通り過ぎようとした時、架純が走って来た。
「助けて!!私、追われてるの!!」
三人の男が走って来た。体系は凄く大きく、如何にもSPや暴力団員という輩が追ってくる。涼真はどうすることも出来なかったので、とにかく逃げた。こんなに走ったのは剣道部時代の筋トレの時以来だった。角の所で男達を巻いたが、どうしたものかと思った。
「俺の部屋に来ない?」
「ダメよ、あの人はあなたの家も知っているわ。私達は大きな権力を持つ人を敵に回してしまったわ。もう逃げられない…」
「一体どういう事?」
「ここではちょっと…かおりちゃんにも言いたいから、彼女の家に連れてって…」
そこで二人は、馬本邸に向って歩き出した。架純は涼真にしがみつき、歩きながらずっと泣いていた。涼真の背中に電流が走ったが、なるべくそれを感情に出さないようにした。かおりは丁度バイト終わりで、ストロングゼロを飲もうとしていた。彼女は二人の訪問に驚いたが、暖かく迎えてくれた。事情を聞いて二人は、言葉も出なかった。
「だから、私逃げてきたの。彼がシャワーを浴びている間に。でもほかの部屋に張り込んでいた彼の手下に見つかってしまって…」
「でも、そんな大規模な会社の御曹司だったら、勝ち目無いやん。」
「私、一生あの人の奴隷として過ごすの?そんなのって…そんなのって…」
「いや、そんなことはさせない。」
長く口をつぐんでいた涼真が口を開いた。
「俺が、彼女を誘拐すればいいんだ。」
「なんですって!?」「マジか!!!」
二人の女が同時に叫んだ。
「もちろん、架純ちゃんには迷惑をかけない。親も説得する。この事態が落ち着くまで逃げてやる。」
「でも、どうやったら蹴りがつくのかな?彼の弱みを握れればいいのだけれど…」
「それなら、私に任せといて!」かおりが叫んだ。「その道のエキスパートを知ってるよ。」
「誰?刑事さん?弁護士さん??」「ううん、京産の生徒だよ。Tuckのサークルのメンバーでもある。」
「そいつで大丈夫?」「大丈夫、100%保証する。」
「そいつに一回会ってみたいな。どんな奴か知りたい。本当に信用できるかどうか、この目で確かめたい。」涼真が強い口調で言った。
「いいよ、明日にでも行こう。どうせ暇しているだろうから。今夜はもう寝よう。色々あっただろうからね。ではお休み。」かおりはそういうと電気を消した。そして三人は眠りについた。
第三章:任意誘拐
上賀茂ハイツでは次元がコーヒーを入れていた。とても爽やかな朝だった。彼は米津玄氏のアルバムをかけながら、トーストを焼き、ハムエッグを作っていた。すると電話が鳴った。
「誰だ?こんな朝から…なんだコールドハート・グロムゴールドかよ。どうせ、スクルージさんの情報をよこせとかいうんだろ。無視無視。あんな悪党と手を組んだって、どうせ負けるに決まってる。」
着信拒否にしたら、別の着信音がした。♪悪のマーティンシュマッツ社~♪
「やれやれ…」次元は仕方なく電話に出た。相手は悪の科学者のマーティンシュマーツ博士だった。本業は次元と同じ大学生だ。悪の科学者を演じるのは彼の趣味らしい。
「あ~、次元!!実は今アシスタントを探しているんだ~!!今すぐ私のオフィスに来てくれないか~?」
「お前のオフィスは東京だろ?悪いが行けねえ。泥棒の仕事なら喜んで引き受けるわ。」
そういうと彼は電話を切った。彼の趣味に付き合う程、暇ではなかった。
「さてとそろそろ朝食を頂くとするかな。空腹は人生の最大のスパイスだからな。」
そういうと彼は作ったハムエッグサンドにかぶりついた。最高の出来だった。半熟の卵が口の中で広がりパンと絡み合い、いい触感と味が口に広がった。食後にいれたてのコーヒーを飲んでくつろいでいると、チャイムが鳴った。
「今日はお客が沢山来るな~」そう思いながら、部屋のドアを開けた。ドアの前にはかおりと見知らぬ二人の男女が立っていた。
「やっほー、次元。今時間ある?」「あるけど…どうしたの?その二人は?」「この二人が次元に相談があるみたいやで。次元にとっても興味のある話やと思うんやけど。」「ほほう、とにかく入ってよ。」
次元は三人を部屋に入れ、カフェラテをいれ彼らにふるまった。早速、架純が事情を話した。次元の顔は段々と険しい表情になっていく。
「そこで私達この状況から抜け出したくてお願いしてきたんです。」
「君ならなんとかしてくれると、部長が言って来てくれたんで…」
「うーん、手は無いこともないが、あの…かおりちゃん?報酬はくれるの?」
「そんな、高額のお金なんて無理だよ…ほかの方法ならいけるけど。」
「お金なんて良いんだよ…その代わり、言っちゃあなんだけど女の子紹介してくれない?」「うーん、その代わりモテる秘訣教えたるわ。」「よし、それで。」
こう即答した次元を涼真はまじまじと見つめていた。なるほど、こいつがめついが憎めないし悪い奴ではないなと内心で思った。
「大阪に知り合いがいるホテルがあるんだ。そこに泊まるといい。予約は俺が入れておく。」
そういうと彼は電話をかけた。
「はい、こちらホテル・ティプトンでございます…これは、次元!!今度は何の用だい?」
電話の相手はスクルージ・ティプトンが運営するホテルの支配人、ウィルバード・モーズビーだった。次元や慎太とは顔なじみだが、彼らが起こす大騒動や事件に振り回されることも多かった。
「モーズビーさん、ホテルの部屋空いてる?そこに予約を入れたいんだけどいいかな?」
「ツイン部屋…ええ、空いてるよ。でも何で…?」
「よかった!じゃあ一部屋予約入れるわ!!名前は竹中涼真で。今日の夕方にチェックインするから!!じゃっ!」
「え、あっ…ちょっと…!」
モーズビー支配人は訳が分からないまま、部屋に予約を入れた。
「これでよし!!予算は架純のお父さんが出してくれるんだよね。」
「うん、さっき電話したらいいって。パパもこの問題を早く解決したいって言ってた。」
「よしこれで予算面は大丈夫と。問題はどうやって上賀茂から抜け出すかだ。」
「変装してバスに乗っちまえばバレやしない。敵さん案外間抜けらしいから。でも京都から出るまでは油断するなよ。」
二人はサングラスと帽子をつけると上賀茂ハイツを出た。かおりの部屋に荷物があったので取りに行った。軽めの荷物を持つと彼らは京都駅に向かうバスに飛び乗った。
「親さんにはこの子と伝えた?」
「うん、涼真君にボイスメッセージをくれた。」
涼真はそのボイスメッセージを聞いた。内容は我々の都合で迷惑をかけるが、娘をどうか頼むと言う内容だった。そのボイスメッセージを聞いた涼真は奮い立った。いよいよ大脱走の開始だ。何が何でも架純を守り切ってやる。そんな涼真を乗せバスは京都の町を走って行った。
第2部です。いよいよ探偵次元が本格的に指導し始めます。次元は半分作者自信であり、もう半分はルパン三世シリーズの次元大介をモデルにしています。いつかは本物の次元と共演させてみたいです。次回もお楽しみに!




