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鈴谷さん、噂話です

少子化と原発と進化心理学

 「――その人の話、長いわよ、佐野君」

 と、そう鈴谷君に言われた。

 それでもボクは構わずに話し始めた。佐野君も止めようとはしない。流石、ヘタレの中のヘタレと定評があることだけはある。実はあまり話した経験はないのだけど、これなら特に気にする必要もないだろう……

 

 ……今、世界的に保守・右傾化が進んでいると言われているね。自民族一番! 自国一番! って考え方の人達が増えているって。もっとも、昔と違ってしっかりとそれに反対する人々もいて、単純にその流れが進んでいる訳じゃない。異なった人種や民族に対する差別や迫害は許さないってメッセージを有名俳優やなんかが発信していたりさ。

 ただそれでも、この流れは好ましいとは言い難い。もしかしたら、再び大規模な戦争が起こってしまうかもしれない。

 そしてこの日本もその例に漏れず、そんな右傾化が進んでいると言われている。

 ところがだ。この日本においては、他の国とはちょっとばかり様相が異なっているのだな。

 他の多くの国の典型的なパターンは、これまで移民を積極的に受け入れていた社会の中で、近年になって酷くなった失業などの経済問題に対する不満を背景にそのはけ口が移民へと向かってしまい、結果的に右傾化が進行しているというようなものだ。

 それで、移民を追い出そうとしたり、「もう受け入れるな」と言ったり。

 が、しかし、この日本は知っての通り移民を受け入れては来なかった。それは恐らくずっと保守派が政権を担って来たこととも関係しているのだろう。そして、普通の国とはまったく逆で、その保守派の政権が、外国人労働者を積極的に受け入れようとしている。

 ……こうなって来ると、もう保守派と呼んで良いかどうかも分からないけどね。

 因みに、ボクの地元なんて、東南アジア系だろう人達を頻繁に見かけるような状態に既になっているよ。

 「本当に、ここは日本なのか?」

 なんて疑問が思わず頭に浮かんでくる感じだ。

 一応断っておくと、彼らが犯罪を起こしたなんて話は聞こえてこない。お陰でボクは、差別的な考えに取り憑かれないで済んでいる。非常に助かっているよ。

 このように本来ならば反対の立場を取るはずの保守派の政権が、何故か外国人労働者を積極的に受け入れようとしている理由は非常に単純だ。

 少子高齢化で、労働力不足が深刻なのだね。

 こう聞くと「保守派だとしても、それなら、移民の受け入れも仕方ないのじゃない?」なんて思いたくもなるかもしれないが、そう結論付けるのは早計だ。

 何故なら、少子化問題を放置し続けたのは、その保守政権だからさ。調べてみると、既に1970年代には出産数の減少は社会問題として取り挙げられていて、社会の高齢化は深刻だと訴えられていたんだ。なのに、約50年もの間、これといって有効な手段を執っては来なかったのだな。

 保守派なら、「このままでは日本人がいなくなってしまう!これは大変だ!」って考えて、強く少子化対策を実行していたのじゃないか? 今のような問題が起こる事は分かっていたのだから…… 最近になってようやく積極的な姿勢を見せ始めているけど、はっきり言って遅すぎる。

 あ、一応断っておくけど、ボクは別に差別主義者のつもりはないよ。だから、特に外国人労働者を受け入れる事にだって反対はしていない。ボクらが平穏無事に暮らせるのなら、構わないと思っている。

 ボクがここでこれを取り上げたのは、良し悪しの問題じゃなくて、保守派らしくないって事を主張したいだけなんだ。

 もっとも、移民を受け入れるのなら、危機管理をも含めたそれなりの準備をしてもらわないと困るけどね。

 多くの人達が日本にやって来るのなら、その中にあまり好ましくない人間が混ざるのは往々にしてある事なんだ。そして残念ながら世界には凶悪なテロ事件を起こすような犯罪者集団もたくさん存在している。その対策は充分に執るべきだろう。

 もちろん、特に原子力発電所関連の施設が心配なのは言うまでもない。日本の原発のテロ対策は非常に脆弱だと言われているし…

 

 「――ちょっと待って菊池さん。いくら何でも長すぎよ」

 

 そこでそんな風に鈴谷君からボクの話はほぼ強制的に止められてしまった。

 ボクは、鈴谷君にちょっと話を聞いてもらおうと思って、大学のサークル棟にある民俗文化研究会の部屋を訪れていたのだけど、そこには既に新聞サークルに所属している佐野君という男生徒の先客がいて、なにやら話しをしていたのだった。

 その佐野君という彼が鈴谷君に猛烈にアタックしているのは有名な話だから、お邪魔かとも少しは思ったのだけど、「ボクの鈴谷君に手を出す不届き者め!」と普段から思っている事もあって、むしろお邪魔してやろと強引に話をし始めたというのが大体の流れだ。

 「もうちょっと簡潔にまとめられないの?」

 ボクはその鈴谷君の主張に肩を竦めると「いやいや、心外だな、鈴谷君。ボクの話はいつも必要最小限、的確な長さで的確に言葉を選んでいるよ」と返してみた。すると、半分怒ったような表情で、

 「悪ふざけ半分で、わざと持って回った説明をしているようにしか思えないのだけど? あなた、いつもそうでしょう」

 なんて、それに彼女は返してくる。

 それに続けて佐野君が言った。

 「僕もちょっと長すぎだって思うけど。鈴谷さんも長広舌の時は長広舌だけど、ここまでじゃないし」

 「なるほど」とそれを受けてボクは言う。

 「佐野君も同意見となるとちょっと分が悪い。少しは反省しようじゃないか……

 と言いたいところだが、佐野君は鈴谷君の言う事ならばなんでも聞くじゃないか。無効票だね」

 ボクがそう当然の抗議をすると、鈴谷君は苛立った口調でこう返して来た。

 「佐野君は関係ないわ。何の説明かも聞かされないまま、一方的に長い話を聞かされているこっちの身にもなってよ! せめて主旨くらいは説明して」

 それにボクは肩を竦める。

 「まるで読者の意見を代弁するかのような指摘だね。良いだろう。主旨くらいは説明しようじゃないか」

 それからボクは腕組みをすると、少し考えてから口を開いた。

 「言うなれば、今回は行動原理のミステリーだね。一見不可解なその行動の理由をボクは説明しようと試みているというわけさ」

 その言葉に、佐野君がこう訊いて来た。

 「それは保守派の政権が、何故、長期間に渡って少子化対策を執って来なかったとかそういう話を言っているのかな?」

 ボクは頷く。

 「その通り」

 ボクとしては意図が伝わったと思って嬉しかったのだけど、ところが佐野君はそれからこんな疑問をボクにぶつけて来るのだった。

 「それって、単なる集団行動にありがちなやつじゃないの? いじめをしちゃったり、集団自殺をしちゃったり。集団になると人間は変な行動をするっていう……」

 やれやれ、とボクは思う。

 「確かにその可能性はあるし、実際にそういった要素もあるにはあるのだろう。だが、それだけで全てを説明するのは少々強引なのじゃないだろうか?」

 そのボクの反論を聞いても、まだ佐野君は納得いかない風だったのだけど、そこで、なんと鈴谷君が助け舟を出してくれたのだった。

 「まずは話を聞いてみましょうよ、佐野君。彼女なりの考えもあるのだろし」

 ボクはそれに感動を覚える。

 「おお! ありがとう、鈴谷君。もう佐野君なんかとは今直ぐにでも別れてこのボクと付き合い始めようじゃないか!」

 そのボクの感動のあまり飛び出した言葉に対して鈴谷君は、

 「だから、私と佐野君は付き合っていないし、あなたは女性だし、それにそもそもあなたには彼氏だっているでしょう!」

 なんて、豪華な三連続ツッコミを入れてくれた。因みに書き忘れていたけど、ボクは女だ。

 「いいから、続きを話して」

 「うむ」

 と、ボクは続きを語り始める。

 

 ……保守派の主張の中で不可解な点に原子力発電所の推進がある。

 この辺りは鈴谷君の専門だから、“釈迦に説法”になってしまうので非常に発言し難いが、日本神道の特質は自然崇拝にある。古来、日本人は自分達が大自然に生かされている事をよく理解していて、だからこそ自然を信仰して来たと言われているのだね。

 これは、日本が自然環境にとても恵まれているからでもあるのだろうと思う。

 ま、つまり、本当に保守主義で、神道の伝統を重んじていると言うのなら、

 「太陽の光と豊富な水によって育まれたこの美しい国土を穢す原子力発電所の建設は絶対に認めない!」

 なーんて、主張をして原子力発電所には大反対をしていなくてはおかしいはずなんだ。

 ね? そうだろう? 鈴谷君。

 「まぁ、その通りね。実際、神道の立場から原発に反対している人達もいるし」

 説明補足ありがとう。

 “伝統を重視する”って本当に思っているのならちゃんと勉強した上で、それを政治思想にも取り入れているはずだ。だから、これは彼らにはそんな態度は観られないって事でもある。そしてまだ疑問なのが、それだけじゃなく、彼らが様々な原発のデメリットに目を瞑ってしまっているように見える点だ。

 原子力発電所は、防衛上、非常に問題のある代物なんだよ。さっきも少し述べたが、テロに狙われたら完全にアウトだ。航空機テロで複数同時に原発を狙われたなら、最悪、日本終了すら覚悟しなくてはならない。しかも、航空機を乗っ取るのは比較的容易ときている。

 「なるほど。確かに変だね」

 いやいや、佐野君、これで終わりじゃない。まだまだまだあるんだよ。

 核廃棄物を狙われてもアウトだし、知っての通り、大規模の自然災害だって不安だ。そして、電磁パルス攻撃をもしくらったなら、やはりそれでも日本に人は住めなくなってしまうかもしれない……

 「電磁パルス攻撃って何?」

 おや? 新聞サークルに所属しているのに、電磁パルス攻撃も知らないのかい? 佐野君は。

 「まぁね。足りない知識は、鈴谷さんとか火田とかを頼るようにしているから」

 いや、自信満々に返さないでくれよ。ちょっと、君の恐ろしさの片鱗を見た気がするな。

 ……電磁パルス攻撃というのはね、高度30から数100キロという上空で核爆発を起こし、窒素や酸素などの分子にガンマ線を衝突させ、強力な電磁波の一種である電磁パルスを発生させるって攻撃方法だよ。因みに、必ずしも核爆発は必要ないらしい。

 人体にはほとんど影響がないのだが、電磁パルスを浴びた電子機器類の多くは機能停止してしまうと言われている。

 まぁ、電子レンジに電子機器を放り込んでチンするようなものだと思ってくれ。絶対にぶっ壊れるだろう? だから、原子力発電所もコントロールが効かなくなり、暴走してしまう可能性が非常に大きい。

 そして、この電磁パルス攻撃は、驚く程攻撃範囲が広いのだよ。なんとたった一発で日本のほぼ全ての地域がすっぽりと入ってしまう。これ以上は言わなくても分かるかもしれないが、もし日本各地で原子力発電所を稼働させた状態でこの攻撃を受けたなら、あちこちの原発が爆発して放射能に汚染され、日本は人の住めない土地になってしまうかもしれないんだ。

 ここ最近の人工知能の発達は目覚ましいものがあるから、近い将来、ミサイル迎撃の精度は格段に上がる可能性がかなり高いが、この電磁パルス攻撃は防ぎ切れないと考えた方が良いだろう。何故なら、狙うのが地面ではなく、高高度の上空で、物理的な速度の限界があるからだ。

 つまり、日本みたいな面積の狭い国で、原発を幾つも稼働させる事は、防衛上、非常に危ういと言わざるを得ないのだな。

 そして、実際にこの攻撃をしないとも限らない国が日本の直ぐ傍にある。まぁ、北朝鮮だよ。核の放棄を約束したが、これを素直に信じるのはいくらなんでも現実的じゃない。少し状況が変わったら、撃って来る可能性は充分にあるんだ。

 保守派といったら、軍事方面を重視すると言われていて、実際に予算を増やしたり兵器の研究を促したりと、積極的に活動している。それなのに、この致命的とも言える点は無視してしまっているんだ。少しおかしいとは思わないかい……

 

 「なるほど。伝統を重視していると言いながら、伝統について知らない。自国民を優先させるはずなのに、危機的状況下に陥るまで少子化対策に無関心だった。軍事方面を重視すると言いながら、原発の国防上の致命的な欠陥については放置している。確かに少しばかり奇妙に思えるわね。矛盾がある」

 

 そこで鈴谷君がそう言った。

 口を挟みたかったというよりは、ボクの話が長いから、一度切っておきたかったという感じだろうか。

 「付け加えておくと、原発は廃炉費用などを含めると、平気で20、30兆円という規模のお金がぶっ飛ぶ。はっきり言ってまったく経済性はない。彼らはこういった点も都合良く無視…… いや、積極的に隠してしまっているようだね」

 それに鈴谷君は軽く頷く。

 「おかしいのは分かったわ。でも、あなたは一見奇妙に思えるこういった行動にマッチした行動原理を見出したのでしょう?」

 ボクはそれに頷いた。

 「その通りだ。ま、もっとも、仮説に過ぎないけどね。

 一見は何の行動原理もないように思える行動にも実は隠れたロジックがあるってケースは少なくない。多分、これもそんな一例なのだよ。

 例えば、長い人類の歴史の中で、男性中心の文化を持つ国では、女性が夫以外の男性と性的交渉を持っただけで殺人が認められてしまうケースがある。

 これはなんとレイプされた場合でも、実施されるケースがあるらしい。とっても理不尽に思えるが、こんな行動でもその原理を説明する事は可能だ」

 そこで佐野君が口を開いた。

 「似たような話は知っているけど、ただの因習で特に理由なんてないのじゃない?」

 ボクはそれに「それがそうでもないのだね」と返した。

 「男からしてみれば、“女性が他の男性の子供を産む”というのは、自分とは全く関係のない遺伝子を残すのと同じだ。“遺伝子を生き残らせる”というのが生物の目標だとするのなら、これは絶対に防がなくてはならないんだ。だから、男性中心社会では、違う相手と性交した女性を殺害までしてしまう。

 因みに、現代でも不倫をした妻や恋人を殺してしまう男性は多いのだそうだよ」

 その説明に鈴谷君が頷いてくれた。

 「男系社会では、貞淑さを求める傾向にあるけど、女系社会では性に対して比較的大らかなのよ。それと同じ理由ね」

 続けて佐野君が頷いた。

 「ああ、確か前に聞いたやつか。男系社会では子供は男の血を引いてなくちゃいけないから、女性が他の男性と性交するのを厳しく禁止するけど、女系社会では、誰と性交しても生まれて来る子供が女の血を引いていると分かり切っているから、それほど厳しく禁止されていないとかなんとか」

 「なんだ、多少の知識はあるじゃないか佐野君」と、それにボク。

 「鈴谷さんから聞いた話なんだけどね」

 「とにかく、そういう発想で人間の心理を考える分野を“進化心理学”と言うんだ。これがなかなか面白い分野でね、これからを期待されてもいるんだな……」

 

 ……名前から分かると思うけど、進化心理学っていうのは進化論をベースにしている。人間は生物界を生き抜くために進化して来た。だから、人間心理だって“生き残る為にあるはずだ”って考えるのだね。

 ただ、という事は、進化論と同じ弱点を抱えてもいるんだが。

 実は進化には無意味進化も不効率な進化も害になる進化もあるのだね。キリンの“首の長さ”なんていうのが分かり易い代表例かな?

 キリンは首を長く伸ばす事によって、確かに高い木の葉っぱを食べられるようになった。が、しかし、お陰で出産が大変になったし、水を飲むのにも苦労するし、長い首を維持するコストも大変なものだ。何しろ、あの高さまで血液を持ち上げなくてはならないのだから。

 シマウマの“縞”も、迷彩の効果があるなんて言われているが、“却って目立つ”と指摘している学者もいる。

 これらは恐らくは、サバンナという恵まれた環境のお陰で、不利な性質を持っていても偶然生き残れただけで、もっと熾烈な環境だったなら、とっくに絶滅していただろう。

 実際、他の地域にはキリンみたいな首の長い動物も、シマウマみたいに目立つ動物も少ないだろう?

 これと似たような感じで、人間の心理にも“進化の為”という観点からすればあまり好ましくないものがあるかもしれないのだね。この場合、進化心理学では読み間違ってしまうかもしれない。

 それと、実は「“遺伝子の影響”というのはどこまで支配的なのか分からない」という問題もある。

 生物の性質によっては短期間で進化するものもあってね、交配によって攻撃的なマウスと平和的なマウスを創り出すという実験を行った人がいるんだ。が、その二種のマウスを一緒にするとその性質はただそれだけで打ち消されてしまい、攻撃的なマウスは穏やかになり、平和的なマウスは攻撃的になった。

 つまり、環境要因で遺伝子が持つ性質は充分に変えられるようなんだな。

 人間の場合でも、当然、このような事は起こると見るべきだろう。ならば、その影響も考慮しなければ、やはり同じ様に読み間違ってしまう。これも気を付けなくてはいけない点だろう……

 

 「ちょっと待って、菊池さん」

 

 と、そこでまた鈴谷君がボクを止めた。きっとまた長過ぎるからだろう。

 「何かな?」と、それにボク。

 「一応の確認なのだけど、つまり、あなたはその進化心理学で保守派の不可解な行動の原理を説明しようというのね?」

 ボクはそれに頷く。

 「そりゃそうだろう?鈴谷君。そうじゃなかったら長々とこんな話はしないよ。普通に考えれば分かるじゃないか」

 眉をヒクヒクとさせながら、彼女はこう返す。

 「あなたの場合、その“普通”が通用しないから訊いているのじゃない!」

 ちょっと怒っている様子。

 それを見て佐野君が言った。

 「いやぁ…… 鈴谷さんにこんな反応させる人、初めて見たよ」

 「おお、これは嬉しい。佐野君から褒められてしまったぞ」

 とボクが言うと、「褒めていない!」と二人同時にツッコミをして来た。しまった。心ならずも、二人に共同作業をプレゼントしてしまったようだ。羨ましい。

 「ま、とにもかくにも、続きを説明しよう……」

 

 ……まずは女性の立場から、“子孫を残す”という行為を考えてみようか。

 女性は子供を産むのに非常にコストがかかる。出産は危険で命に係わる。だから、産まれて来た子供は大切に育てる傾向にあると考えられる訳だ。母親は心配性である場合が多いと言われているのはだからだろう。

 対して男性はこれが違う。

 何故なら、男性は子供を残すのにそれほどコストをかける必要はないからだ。女性に子供を産ませて、子育てはせずに逃げて他の女性を見つけ、また子供を産ませる。このような事を繰り返した方が、結果的に残せる子孫の数は多くなる。先に述べた通り、女性は産んだ子供を大切に育ててくれる可能性が高いという点も都合が良い。

 そして、実際、ある種の男性達は、そのような行動を執ろうとするだろう?

 ま、浮気性の男ども…… ってやつだよ。

 もちろん、特に現代社会においてはそんな行動は社会的に好ましくないとされているがね。

 「僕はそんな事は絶対にしない!」

 うん。訊いていないよ、佐野君。君みたいなヘタレ日本代表に、そんな大胆な行動ができるはずもないのも分かり切っているし。一体、それは誰に対する何アピールなんだ? あ、言わないでくれ。言わないでも分かっているから。

 さて。

 このようなタイプの男性が、子育てに対して無関心であろうことは容易に想像ができる訳だ。何せ、自分の遺伝子をできる限り多くばら撒く事に最大限の関心を持っている連中なのだからね。

 そしてもし仮に、そんな心理を持つ人間が、政治の実権を握っていたとしたらどうだろう? 育児支援に予算を割こうなんて思わないのじゃないか?

 もちろん、この影響は育児支援だけに留まらない。育児支援が少ないことは、そのまま出産数の減少に直結する……

 

 「ちょっと待ってよ、菊池さん」

 

 そこでまたまた鈴谷君に話を止められてしまった。ただ、今回は話が長過ぎるから止められた訳ではないようだった。

 「つまり、あなたは世の政治家…… いえ、力を持った政治団体かしらね? その人達がそういった“浮気性の男性”の性質を強く持っていると言いたいの? だから、出産数が減少して来たって」

 「まぁ、違うとは言わないね」

 「それはいくら何でも乱暴な意見じゃないかしら? 確かに日本の政治家は男性が多くて、政治家達の不倫報道とか、セクハラ疑惑とかがしょっちゅう報道されてはいるけど」

 そう鈴谷君が言いかけるのを「まぁ、待ちたまえ」とボクは止めた。

 「違うとは言わないが、だからと言ってそれだけとも言っていないぞ、ボクは」

 そしてそれからボクは佐野君をチラリと見やると、

 「少なくとも、この佐野君みたいな人畜無害のヘタレとは全く異なったタイプの男性が政治の世界に多いだろう点は君だって認めるだろう?」

 と、そう尋ねる。

 「ま、それは認めるけど」と、それに鈴谷君は即答する。

 この言葉を鈴谷君が彼を評価していると捉えるのか、それとも馬鹿にしていると捉えるのかは意見が分かれそうだが、少なくとも佐野君本人は嬉しそうだった。

 「男性が権力を欲しがる。或いは、富を手に入れて、尚且つそれを誇示するような態度を執るのは、それで女性にアピールして子孫を残し易くする為の本能だと説明できるんだ。これは脳科学の分野でも裏付けがある。成功体験によって分泌されるテストステロンは、性欲を高める効果があるとされているんだ。“英雄、色を好む”ってやつだよ。

 更に一夫多妻制を執る動物は、雄の体格がでかくなる傾向にあるんだが、人間は男性の方が体が大きいだろう? これはその昔、人間が一夫多妻を執っていた可能性が大きい事を示唆している。

 ……いや、実状はともかく、現在だって一夫多妻制を認めている国は多いんだが、とにかく、そのような行動パターンの場合、やはり子育てを重視しない特性が生まれ易い」

 「どうして?」なんて、そこで佐野君が尋ねて来た。

 「同じ様に“遺伝子をできる限り多くばら撒く”というタイプの方略だと見做せるからだよ、佐野君」

 そうそれに応えると、ボクは再び長い説明を始めた……

 

 ……男系社会の場合、“他の民族を襲い、さらって来た女性に子供を産ませる”という方略は有効だ。

 説明しなくても分かるかもしれないが、女性は一度に産む子供の数を増やせないから、子孫を増やす速度を上げたいと思ったのなら女性の数を増やすしかないからだ。

 因みに、さらわれて来た女性はいわゆる奴隷の立場になる訳だが、主人の子供を身籠ったら地位が一気に向上するという制度を執っている社会も多かったのだそうだ。なんだか卑猥で低俗な物語の設定のようだが、そのようにしておけば奴隷となった女性は積極的に主人の子供を産もうとするだろうから、意外に効果的な制度だったのかもしれない。

 どうだい、佐野君? 流石に羨ましいと思うだろう?

 え? 思わない?

 あ、いい。変なアピールはしないでくれ。話が進まないから。

 が、女系社会の場合はこうはいかない。男をさらって来ても残せる子孫の数は増えないからね。ま、労働力にはなるかもしれないが。

 だからなのか、歴史上、女性達が武器を持って戦争を仕掛けるという行動を見せたケースは皆無なのだそうだ。少なくともボクの読んだ本の作者は見つけられなかったようだ。実際、思い当たらないだろう?

 この行動は当然ながら、“戦争を好む”性質とも深い関係があるだろう。

 もちろん、戦争の目的は女性に無理矢理子供を産ませる事だけじゃないが、大きなウェイトを占めるのは事実だ。

 古今東西、様々な社会で侵略した先で男性達が女性をレイプしたって話は枚挙に暇がない程に溢れているからね。

 そして、そうやって産まれた子供を男性が何も世話しないケースってのも珍しくない。つまり、育児を軽視している。

 こういった数々の行動パターンは、当然ながら女性を蔑視する価値観を持っている事の裏返しでもあるだろう。

 男尊女卑的な態度を執る男性がよく言うセリフに「所詮。女、子供~」みたいな感じのがあるが、これは“戦争を好む”方略から出て来た本能が基になって形成された価値観なのかもしれない。

 その根は生物学的なものである可能性があるとボクは考えるね。

 

 「なるほど」

 

 と、そこまでを聞き終えると鈴谷君が言った。

 「自民族の優勢を唱え、軍事力を重視する傾向にある人達は、だから育児を軽視する傾向があると言いたいのね、菊池さんは。

 それが、保守派の政権であるにも関わらず、出産数を減少させてしまうという奇妙な結果を導いてしまった、と」

 それにボクは大きく頷いた。

 「その通りだとも、鈴谷君」

 「ま、“政治家達は全員、浮気性”って話よりはよっぽど説得力があるかもしれないけど……」

 しかし、それから鈴谷君は何かを思い付いたかのような表情を浮かべるとこう口を開いたのだった。

 「ただ、疑問もあるわね。確かに戦時中の日本では、教育軽視の態度を執る場合もあったようだけど、基本的には日本は教育の重要性を理解していたと捉えるべきだから。

 もちろん、日本優位の教育ではあったのだけど、日本軍は支配した地域に学校制度を普及させたりもしているのよ」

 ボクはそれに「うむ。興味深い事実だね」と返し、続けて質問をする。

 「それは何故だろうと思う?」

 「日本は伝統的に教育の重要性を理解していたからじゃないかしら?

 日本では江戸時代から寺子屋が普及していたり、明治に入ってからは福沢諭吉の“学問ノススメ”等の活動が有名だけど、近代科学を子供にまで普及させようとしたりと、教育にとても力を入れていたのよ」

 その説明を聞いて、ボクはこう言った。

 「なるほど。それは面白い。では、ここで先にボクが女性について語った内容を思い出してくれないかな?」

 「女性は育児を重要視する傾向にある……」

 「そう。ここからは鈴谷君の専門分野だから君に聞くけど、ボクは日本社会は女系が強い文化特性を持っていると聞いている。これは事実かな?」

 鈴谷君はそれを聞くと、自分が誘導されている自覚があるからか、やや悔しそうな表情を浮かべながらも答えてくれた。

 「相対的に観て、という条件付きなら事実だと思うわ。

 女性を戸主とし、その家に男性が通う妻問婚は古い日本では一般的なものだったとされている上に、その名残は近代になってもまだ残っていた。また、複数の神々が合祀された結果生まれた天照大神は女神とされた訳だけど、これも日本に女系が強かった事実を示していると考えられる」

 ボクはそれに頷く。

 「ご教示ありがとう」

 そうお礼を言ってボクは話を次に進めようと思ったのだけど、彼女を見てみると何か言いたそうにしているのに気が付いた

 それで、

 「どうしたのかな?」

 とそう尋ねてみたのだ。すると彼女は「さっきの奴隷の話だけど……」とそう言ってからこう続ける。

 「実は日本ではそれほど奴隷制が広まらなかったと言われているのよ。土地が狭く、大量の労働力が必要とされなかったからではないか?なんて仮説を聞いた事があるけど」

 それにボクは「ホホウ」と返す。

 「それは益々面白い話だね。もしかしたら、奴隷制があまり普及しなかったお陰で、日本には女系が比較的強く残ったのかもしれない。女性をさらって子供を産ませる、という事があまり行われなかったんだ」

 そこで佐野君が口を開いた。

 「ずっと保守政権だった日本で、少子化がずっと放置されてきたって謎の方は一応はそれで説明された訳だけど、もう一つの原発の方はどうなるの?」

 「ああ、軍事方面を重視しているのに、原発の国防上の致命的欠陥は放置しているってやつだね?

 それは恐らく“リスク選好性”に関係しているのだろうと思う」

 「リスク選好性?」

 「この場合は、メリットにばかり目が奪われ、デメリットを軽視してしまう性質の事だと思ってくれれば良いかもしれない。もっとも、それだけではないのだろうが……」

 

 ……ね、“蜂の一刺し”って知っているかい?

 ミツバチは、一度刺したら死んでしまうんだな。普通に考えれば、そんな手段を執っている生物は生き残りに不利になる。が、これが実は有効に機能しているようなんだ。

 何故なら、ミツバチ個体はそれで死んでしまうが、極めて近似した遺伝子を持つその仲間達は生き残れる可能性が上がるからだ。

 もっとも、ハチは巣全体で一つの生物と見做すこともできるのだけど……、まぁ、今はこの話は良いか。

 そして、ここで考えてくれ。もしも、これと似たような話が人間にも通用するのならどうだろう?

 自分一人は傷ついたとしても、それで仲間達が助かるのなら、全体としては生き残りに有利になる。

 いかにも全体主義的で危険な発想だと思うかもしれないが、場合によっては役立つ点は否定できない。もちろん、主に戦闘において。そう言えば、そういった発言をする政治家も多いね。「子供が増えないのは、女性の怠慢だ」みたいな事を言ったりさ。

 一応断っておくが、社会の構成員の多くに犠牲を強いてしまったなら、社会全体が滅びかねないから、これは脆弱な方略でもあるのだよ。

 戦前、日本は「一億総玉砕~」とか言っていたけど、もし本当にそんな事をやっていたら日本は滅んでいただろう?

 そして、この方略を執るのなら、危険に対して恐怖して動けくなってしまうような状態に人を陥らせてはいけないはずだ。

 だから、恐怖心を麻痺させるなんらかの心理があるのではないかと考えられる訳だ。いや、或いはもっと積極的に危険を好む心理が存在する可能性だってある。

 実際、人間はスリルを楽しんだり、冒険を望んだり、勇気ある行動を称揚したりするだろう?

 つまり、リスクを好む性質。

 そしてそういった性質も男性に多く観られる傾向があるのじゃないかという疑いがあるのだな。例えば、ギャンブル依存症ってのがある。ギャンブルに嵌って抜けられなくなってしまうって病気だ。場合によっては身を滅ぼしてしまう事もあるこのギャンブル依存症患者は、男性の方が圧倒的に多いのだそうだ。

 

 「分かったわ」

 

 と、そこで鈴谷君が言った。

 「そのリスク選好性によって、原発の危険性を認識しながらも、軍事力を重視する人達は、それを軽視してしまっている。

 菊池さんは、そう言いたいのね?」

 ボクはそれに大きく頷いた。

 「その通り。

 ここでのポイントは、そういった非常に高いリスクは社会全体が背負うべきものじゃないって点だ。飽くまで、社会の一部だけにリスクがかかるからこそそれは有効な方略になるんだな。

 ところがだ。人間の“本能”はそれを理解できない。結果として、社会全体にリスクがかかっているのにそれを強行しようとしてしまう………」

 そうボクが説明をし終えると鈴谷君はこう繋げた。

 「……と、あなたはそう考えたって訳ね?」

 「その通りだね。ま、飽くまで仮説だよ」

 その後で佐野君が言った。

 「それはつまりは菊池さんは、そういった保守主義の人達は本能的に行動しているって言いたいのかな? 理性的ではないと」

 ボクは首を横に振る。

 「いいや、違うよ。理性的ではある。頭だっていいはずだ。が、しかし、その行動原理の根っこの部分が本能から生じているのじゃないかと言っているんだ。

 いや、この言い方でも語弊があるな。人間ならば誰でもそれは同じなんだと思う。君は同意しないだろうが、そこにいる極めて理性的に思える鈴谷君だってね。

 本能が行動原理の根本っていうのは恐らく全人類共通だろう。つまりは、これはタイプの問題なんだな。優劣があるというのも違う。単なる遺伝子の生き残り方略の差」

 そこでボクは言葉を一度切ると、二人の様子を見てみた。上手く伝わっているかどうかは分からなかったが、少なくともボクに対する反感は感じられなかった。

 それに安心をすると、ボクは再び口を開いた。

 「大切なのは、自分がどういったタイプの行動原理を抱えていて、それにはどういったタイプの問題があるのか、それをよく認識する事なのだろうと思う。そして、それをどうカバーするのかも。

 もっとも、それは価値観を問うという個人の幸せに直結する問題を扱う事でもあるから、ちょっとばかり難しいのだけどね」

 「どういう意味?」と、それに佐野君が質問をして来た。

 「例えば…… そうだね。世界を滅ぼす事に価値を見出している人がいたとしよう。その人はそれによってしか幸せを感じられないのだね。

 が、もちろん、そんな価値観を社会は認める訳にはいかない。だから変更させようとするだろうけど、果たしてどうやったならそんな事が可能なのだろう? その“変更”は、ひょっとしたら、その人自身の世界を壊す事を意味するかもしれないのに。

 ま、“幸せを感じる”ってのは一つの技能でもあるから、それを鍛えれば良いのかもしれないが、説得は難しいだろうね」

 そこまでをボクが説明すると、鈴谷君はゆっくりと口を開いた。

 「そして、それを“差別主義”に変えても同じって事ね?」

 「ああ、」とボクは頷く。

 「最近では、協調行動の方が敵対行動よりも遥かに合理的で優れた方略である事が知られている。

 けど、本能に縛られている人間の感覚は、それを受け入られないのかもしれない。だから、いつまで経っても差別的な考えに憑かれ、実際に敵対しようとしてしまう」

 それを聞き終えると、鈴谷君はまるで言葉を溢すように口を開いた。

 「スペイン北部にあるサン・ビセンテ・デラ・ソンジェラにはちょっと変わった儀式があるの。

 教会から中央広場まで、目出し帽を被った男達が、裸足のまま自分の体を鞭打ちながら練り歩くという……

 どうしてそんな儀式をやっているのか、どんな意味があるのか、誰でも不思議に思うわよね?

 ところが、その理由を村の人達に聞いてみても誰もその理由を説明できないらしいのよ。ただただ、ここでは昔からそうして来たからそうしているだけと答えるのだとか。

 笑い話に聞こえるかもしれないけど、私達だって似たようなものよね? 一体、どれだけの人が風習の理由を説明できるっていうのかしら?」

 そう言い終えると、彼女は憮然としたようなそれでいて好奇心の色を隠せないといったような複雑な表情を見せて続けた。

 「あなたの言う事は、仮説としては確かに面白いし、どれほどの影響かは分からなくても、実際にあなたの言うような事が原因になっているのだろうとも思うわ

 でも、それって本当にそんなに大きな影響力を持つのかしら?」

 「と、言うと?」

 そうボクは質問する。すると、彼女は滔々と語り始めた。

 「特に宗教の類にはさっきと似たような話は事欠かないわ。宗教を作るっていうのも恐らくは人間の何かしらの本能に根差しているのかもしれないけれど、あなたの言うような人間の行動の主な原因は“集団心理”なのじゃないかしら?

 原発の問題点を無視してしまっている多くの人達は、どうして自分達がそれを無視しているのか実はよく分かっていない。ただ単に周囲の人間達がそのようにしているから、それに倣っているだけ……

 想像に過ぎないけど、きっとそんな感じじゃないかと私は思うの」

 「ふむふむ」とそれにボクは頷いた。

 「社会科学を中心に勉強していて、人間という生物の数多の集団行動の問題点を知っているだろう君ならではの非常に興味深い意見だね。

 もちろんボク自身もここで述べた説明がどれほど正しいのか、また仮に正しかったとしてもどれだけ強く影響力を持っているのかは分からないと考えている。

 実はね、科学には“検証できる理論を科学と呼ぼう”という反証主義という考え方があるんだよ。

 検証できなければ、それが本当に正しいかどうか分からないだろう? 逆説的だが、科学とはどれだけ疑われても正しいと認めるしかないからこそ正しいんだ。

 そして、この反証主義の提唱者であるカール・ポパーは進化論の“適者生存”を批判した事がある。果たして適者生存とは検証可能なのか?とね。

 後にカール・ポパー自身はこの考えを改めたとどっかの本で読んだのだが、論争自体は続けられているようだ。ボクが知っている限りでは、決着がついたという話は聞かない。

 もちろん、進化論の考えを土台にしている進化心理学にもこの疑問は当て嵌まるだろうね……」

 そのボクの説明に佐野君が不思議そうな声を上げた。

 「どうした? 突然、自分のした説の弱点なんか話し始めちゃって……」

 ボクは笑いながら返す。

 「なになに。自分の説にとって不利な話を隠しておくのだったら、それこそ反証主義に反するじゃないか。

 そういう卑怯は社会的観点からも学問の発展という観点からも好ましくない。だから、正々堂々、ちゃんと説明しておこうと思ったのさ」

 そこで一度切るとボクはまた続けた。

 「ただし。正しいかどうか分からなくても、理論というものは役立たせる事が可能だ。果たして今の自分の行動は何に因るものなのだろう? この進化心理学を利用して己に問いかけて、実際に自分自身を鑑みてみるというのは大いに有意義だとボクは思うね……」

 そうボクは語り終える。鈴谷君にも今度は特に反論はないようで、微かにコクリとそれに頷いた。

 機能面から物事を捉える社会科学を勉強している彼女にとって、それはきっと当り前の発想だったのだろう。

 そう思う。

 「だからね、鈴谷君。

 ボクはこの進化心理学の発想をもっと世の中に知ってもらいたいと思っているのさ。こんな考察で君に協力を依頼するのはその為でもあるのだよ」

 それを聞くと鈴谷君は「そう。少し、あなたの事を見直したわ」とそう言ってくれた。

 実は

 “鈴谷君をからかうのが楽しいから”

 というのも理由の一つなのだけど、それは言わないでおくことにしよう…

参考文献:

 暴力の解剖学 エイドリアン・レイン 紀伊國屋書店

 ヒト、この奇妙な動物 言語、芸術、社会の起源 ジャン=フランソワ・ドルティエ 新曜社


もしかしたら、そのうち、本当に進化心理学でこんな説が唱えられるかも?

と、思って書いてみました。


そうなったら、

「僕の方が先に書いていたぜ!」

って、自慢しようと思っています。

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