第1話:俺、生誕。特典として性転換アーンド転生がつきます。
ファンタジー、恋愛、エロ、グロ、ホラー、ミステリ。
とりあえず多種様々なジャンルの小説、漫画を読みまくっていたおかげで性転換アーンド転生という言葉には聞きなれていたのが、まさか自分が体験することになろうとは誰が思うのだろうか。
ていうかぶっちゃけ転生なんて前世を忘れなかっただけじゃないの、とか思っていた自分は馬鹿だと思う。死神にも閻魔様にも会わずして生まれ変わるとか、俺的にはナイし。
ああ、自分の死んだ瞬間なら全く持ってありがたくない事にはっきりと覚えていた。馬鹿かお前年号とか覚えられないくせに変なところで才能発揮すんなよ俺の脳味噌みたいな。
これで強盗に殺されたとか痴女に犯された後首を絞められたとかだったら物語の主人公みたいに悲劇のヒーローって感じになれたのに。あ、やっぱりそんな死に方は嫌だ。
俺、自分んちの階段で転げ落ちてぽっくり逝きました。いやあ、せめて事故死が良かったかな。意外と痛かった…。
ああ、知人は心配してるかな。
家族は・・・そういや、俺が家の家事担当してたからな。母さん、家事とか苦手な人だったし。姉貴は面倒くさがりだったし。つーかさ、姉貴、アレで結構器用なのになんで家事を俺に押し付けたんだよ?父さんの会社は倒産寸前…いやいや、ダジャレじゃないから。本気と書いてマジと読むから。若干古い?寒いギャグを言うヤツよりはマシだろう。そういや幼馴染の好物は親父ギャグだ。漫画に1人はいるよな、そういうやつ。
話が横道に逸れたけど、それは俺がらしくもなく混乱しているからだと思う。
だってさ、俺、今生まれたての赤ん坊(♀)だぜ?やってられるか!
∽ ∽ ∽
頭イテーな。あ、階段から落ちたからか。そんなことを頭の中で繰り返しながら薄れていく意識の中で願った。来世では、知的美人で優しい母上と鞭を持たない飴みたいな父上が欲しいです、神様。
目が覚めたら目の前に広がるは、緑溢れる木々、とかじゃなくて仲睦ましい男女の姿。どちらも結構端整な顔立ちで、しかも俺に向かって微笑んできてくれるもんだからちょっぴり嬉しかったりしたが、彼女と別れたばっかりの俺は2人のラブいオーラにぶっちゃけムカつきましたまる。
「廉途、目が覚めたみたい」
「ああ、そうだね。それにしても、随分と大人しいね?そう思わないかい、伊織」
「女の子だもの。元気な子もいいけど、大和撫子もいいんじゃない?そっちのほうが育児も楽そうだし」
おい、なんか最後の腹黒い台詞だったぞ。彼氏とか夫っぽい男!そんな「僕はどんな君でも愛せるよ、いや、むしろ望んで愛すよ」みたいに感受するなよ。いつかそれが仇になるんだぞ!いや、実体験じゃないけど。
男のほうは廉途。女のほうは伊織というらしい。
男もなかなかだが、女は滅茶苦茶美人である。うっわあ、知的超絶美女。もろにタイプである。
略奪愛ってか横恋慕…も、良いかもしれないとか一瞬思ってしまうほどだ。でも2人のバカップルオーラを見て一気にそんな気持ちも冷えた。
(ん?てか、『女の子』って言ったか・・・?)
「うふふ・・・。貴女は今日から『美羽』よ?」
「よろしくね。僕らの可愛い娘」
そこでようやく気づきました。なんか視線低すぎね!?
赤ん坊かっこ雌。『藤乃美羽』というらしいです。ふじのみう、って読みます。よろしく!