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プロローグ
「またあっくんの負けだね」
と笑うように彼女は言った。
僕は、何も言わない。
ただ彼女の前で冷たい床に頭を抱えながら丸まっている。
まるで自分を守るため丸まっているみたいに。
「何回やっても私が勝ってつまらないよ。ねぇあっくん。」
と彼女は、しゃがみ不満そうに言った。
それでも僕は口を開かない。
すると、彼女は僕の頭を上げ僕の視界に入ろうする。
僕は一瞬の間彼女を見たがすぐ目をそらす。
「そうやって何も言わないんだね。私のこと嫌いなんだ。」
僕に近づき耳元で静かに言った。
「嫌いだよ。だって君は、僕の好きだった人だから。」
と頭を触りながら言った。
「それって矛盾してるよ。好きなのに嫌いなんで。」
と彼女は顔を近づける。