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ケラケラ笑う

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「……ねぇ」

心地よい沈黙の帳。僕がこのまま朝までずっとこの場所、「多岐ガ丘」にいてもいいと思った矢先だった。草むらに大の字になって寝転がっていた僕たちはここに着いてからどちらも一言もしゃべらなかったが、それを破ったのは僕ではなく幼馴染の清羅セイラの方だった。

「なにさ」

ぶっきらぼうに短く返事。といっても機嫌が悪くなったからそんな返事の仕方をしたわけじゃない。けれど、彼女は引っ掛かりを覚えたようだ。

「言いたいことがあるけど、まずは1つ。あんたさ、いい加減そのぶっきらぼうな口調で返事するのやめない? あたしはともかく、あんたをよく知らない人からすれば不快に思われるんじゃないの?」

「しょうがないだろ。直そうとはしてるけど一向に直る気配がない」

「直そうとしてないだけでしょ」

「いいや、してるさ。この間も見ただろ。D組の有田さんに話しかけたとき」

「ああ、あれは笑ったね。だってあんた、その口調をださないように必死になりすぎてぎちぎちに固まってたもんね」

「だろ? これ、たぶんもう一生直らないさ。あの時にもう悟ったんだ」

「へぇ、どんな風に?」

「こんな不自然な話し方になるくらいならムスッとぶっきらぼうなキャラでいた方がよほど自然だとな」

「ハハッ! そうに違いない!」

清羅がケラケラと笑い出す。コイツの笑い方はいつもそうだ。本当に女だよな?と思うくらい上品さがない。裏を返せば、なんの濁りもなく純粋にバカ笑いする。僕も僕で不愛想だが、清羅も清羅で親しい友人といるときは愛想笑いをしない。本人曰く「笑いたいときに笑うのは疲れるの」だ、そうだ。

「でもさ、やっぱりこれからも直そうとはした方がいいんじゃないの? ぎこちなくなるかもしれないけど、初対面との人にはすくなくともニコニコしてたほうがいいんじゃないの?」

「そういうときはお前に僕を紹介してもらう。できるだけ愛想よく言ってくれ」

「ヤダ」

「なんで?」

「決まってるじゃん。『笑いたくないときに笑うのは疲れる』」

「それもそっか。じゃあ別に頼まない」

「どうするの?」

少し清羅の言葉が詰まった。清羅からしたら僕が無理やりにでも頼み込もうとするのを見越して拒否したのかもしれない。だとしたらまんざらでもなさそうだな。ここは少しからかってやろう。

「別にお前が側にいれば何でもいい」

「……」

今度はさっきよりも長い沈黙が降りた。いいぞ、照れろ照れろ

と思っていたら、いきなり殴られた。ちょっとからかいすぎたかもしれない



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