短編小説・はなさない霊
不思議な短編小説
さっと読めるショートショート
お時間ありましたら読んで頂けたら幸いです!
高校の時の友人から久しぶりに電話がかかってきた。
何か用事がある訳ではないが近況報告のようなものである。
年に数回ほどだが連絡がある。
最近はどうか?みたいな他愛のない話。
友人は良く言えば正直、悪く言えば空気の読めないタイプだ。
なんでもハッキリと言ってしまう。
その性格が災いしてか仕事が長続きしない。
新しい職場でも上手くいっていないようだった。
「上司がさ…」
そう話をした時、低い女性の声が聞こえたような気がした。
「あのさ、部屋に誰かいる?」
私がそう聞くと友人は話を止めて返す。
「俺だけだよ?誰もいないけど。」
また、女性の声が聞こえた。
何と言っているかまでは聞き取れない。
「低い女性のような声が聞こえる。」
友人は笑いながら「冗談はやめろよw」と言っていた。
その後も合間合間に聞こえたが言うのを止めた。
話終えて電話を切る。
あの声がなんだったのかは私には分からない。
ただ1ヶ月後に友人が救急車で運ばれた。
命に別状はないと連絡があったが急に動けなくなり救急車に連絡したそうだ。
「あははは…参ったよ、救急車に初めて乗った。」
そう言った友人の後ろ辺りから声がする。
今度はハッキリと聞こえた。
「はなさないから」
私は友人に「霊とか信じる?」そう聞いてみた。
「そんなのいる訳ないじゃん。」
そう言った友人に私は「まぁね。」と返した。
私には除霊など出来ないのだから仕方ない。
何となくだが、あの霊は命までは取らないような気がするので大丈夫だろう。
少し気になったのは…。
「はなさないから」とは「離さない」なのか「話さない」なのかである。
まぁどちらでもいいのだが、どうでもいい事が気になってしまう性分なのだ。
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