この国には、俺のアンチしかいないみたいだ
コンコン、とノックの音がした。
誰だよ、このイラついている時に。
「ベニ、入るぞ」
俺の父親であるシャルル国王の声だ。なんだろう。父さんが直接俺の部屋に何かを話しにくることは滅多にない。いつも、誰か他の人が「国王がお呼びです」と来るのに。
「……うん」
父さんが部屋に入る。
「どうしたの? 父さん」
瞬間、国王である父さんの口から衝撃の一言が告げられる。
「……お前はもう、この国にはいらない」
「……え?」
父さんの眼光は今までにないほどに鋭い。
「誰も、お前を次の国王にしたいとなんぞ思っていない。俺はそろそろ王を降りる。そうしたら、別の国から王を探し出す」
「な、何でだよ父さん、俺だって、頑張って」
「これは決定事項だ。荷物を纏めろ。もう、馬車は王宮の裏門に到着している」
「馬車、って」
「お前をこの国から追放するための馬車だ」
「な……」
そん、な……。
「なんで、誰がそんなことを決めた! そんな勝手なことして、国民が納得するはず……」
「国民は納得している。なぜならこれは、お前に秘密で行われた国民投票で決定した事項だからだ」
「は!? 国民……投票で……。ってか、俺に秘密って、そんなことできるわけ」
「国のサイバー庁に働きかけて、2日間、お前にだけ選挙の情報が絶対に行き届かないようにした。引きこもりのお前の情報源はスマホかテレビ、2日という短い期間で、そこに表示されなければ」
「そ、そんなこと……で、でも、」
「もう、国中のみんなが、お前がいなくなることを」
「やめろ! やめろおお!」
父さんに向かって思いっきり枕を投げた。
父さんは俺を一瞥し、そのまま部屋から出ていった。




