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婚約破棄された不運令嬢ですが、辺境をダンジョンで開拓しますわ! 〜DEX2の不器用令嬢、LUK999とうっかりミスで借金一億を完済します〜  作者: 海底撈月


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49 聖女の陰謀

●Sideリリア

 龍脈の魔素変動の上振れは、そろそろピークに達するわ。

 介入するなら今が一番の好機ね。


「聖女さま、今日もお務めご苦労さまです」


 騎士が私を熱っぽい目で見ているわ。


「そろそろ結界の魔力も満ちてきました。聖女さまのおかげです」


 官僚も私を今にも拝みだしそう。


 私は気まぐれに「星霜の結界」の核には魔力を注いだり注がなかったりしている。

 私の他にも魔術師が呼ばれているみたいで、なんだかんだで結界の魔力は貯まりつつあるから、お城の人間は油断しきっているわ。

 それに、私のユニークスキル【聖なる癒天使猫姫(サークルクラッシャー)】の影響をバッチリ受けて、思考力が鈍りきっているみたい。


「……ふふ。人間って、本当に単純ね」


 いつもは魔力を注ぐところだけど、今日の私は核から魔力を一気に引き出した。


 これで一週間もしたら結界は崩壊するはずだわ。

 この魔力は、私が有効に使ってあげる。


 この王都、とくにお城は龍脈の要所の真上に建っている。

 土地のパワーを得るにはそれが効率的だってことは人間たちも知っているみたいね。

 その中心は、中庭にあるわ。かつてはここに建国の記念樹があったようだけど、五百年という月日が経った今は、美しい花壇があるだけ。


 私はここに大量の魔力を注ぎこんだ。

 きっと周囲の人には、「聖女が祈りを捧げている」というふうにしか見えないでしょうね。


 魔力を触手のように伸ばして、大地にアクセスする。

 ここだ、と思うところを刺激してあげたら、ドクン、と世界が拍動したような感覚がした。


【緊急】各地で同時多発スタンピード発生? 情報を共有しろPart82


1:名無しの騎士

 おい、冗談だろ……。

 王都東方の『ガリア大坑道』から、アイアンオークの群れが溢れ出してきた!

 第一防衛線が突破された。現在、必死に食い止めているが……数が、数が多すぎる!!


5:名無しの冒険者

 こっちもだ! 南部『テミス湿地ダンジョン』で異変!

 見たこともないサイズのジャイアントスライムが数千体単位で村を飲み込んでる。

 剣が通じない、物理攻撃が効かないんだ! 魔導師を呼んでくれ!!


12:名無しの伝令役

 北の『アイゼン要塞ダンジョン』からも報告!

 武装したゴブリンの軍勢が出現。もはや単なる魔物の集団じゃない、統率された軍隊だ。

 近隣の村が次々と焼かれている。救軍はまだか!?


25:王都の華

 嘘……王都の空が、夜なのに紫色の光で不気味に光っていますわ。

 魔導師協会の知り合いが、龍脈が「暴走」していると言っていました。

 どうして? 結界の充填は聖女様がなさっていたはずなのに!


38:絶望の負傷兵

 【訃報】第六騎士団、ガリア方面で壊滅。

 団長も、副団長も……みんなオークの棍棒で叩き潰された。

 生き残ったのは俺たち数人だけだ。装備もボロボロ、ポーションも底を突いた。

 俺たちは、ここでもう終わりだ。


45:名無しの魔術師

 >>38

 嘘だろ、あの第六騎士団が!?

 おい、魔術師協会は何をしてる! 聖女リリア様はどうした!?

 彼女の祈りがあれば、龍脈の暴走だって鎮められるはずだろう!?


52:リリア親衛隊長

 聖女様は今、お城の最深部で命懸けの祈りを捧げておられるはずだ!

 外野が騒ぐな! 彼女を信じて待て!


60:名無しの市民

 信じて待った結果がこれか!?

 王都の守護結界がさっきから点滅してるぞ。消えかかってるじゃないか!

 騎士団は壊滅、魔物はそこら中から溢れてくる……。

 おい、誰か……誰か助けてくれよ!!


75:名無しの隠居

 ところで、あいつはどうした。

 いつも掲示板に張り付いて「次期国王」とか名乗ってた、あの自信満々の王子。

 こんな時に国民を鼓舞しないで、どこで何をしてるんだ?


80:名無しの騎士

 >>75

 見てない。さっきから一回も書き込みがない。

 いつもなら「リリアの美しさが魔物を浄化する」とか何とか、一番に書き込むはずなのに。

 まさか、自分だけ真っ先に逃げたんじゃないだろうな。


92:名無しの市民

 どこを見ても地獄だ……。

 東の坑道、南の湿地、西の古城、北の要塞。

 四方のダンジョンから、一斉にオークやゴブリンが吐き出されてくるなんて……。

 この国は、今日で滅びるのか?


「…………」


 私は、静かに魔導巻物を閉じました。

 掲示板に並ぶ「第六騎士団壊滅」や「救軍はまだか」という悲痛な叫びが、網膜に焼きついて離れません。

 

 いつもなら、こちらが何かを書き込む間もなく「次期国王」が割って入り、不快なほど饒舌に自説を垂れ流しているはずでした。


 しかし、今の【セカンド・チャンネル】に、あの傲慢で自信に満ちた王子の姿はどこにもありません。

 その不在こそが、王都がもはや取り返しのつかない混乱の渦中にあることを、何よりも冷酷に物語っています。


「ヴィオ……大変ですわ。王都が……国が、本当に沈んでしまいますわ」


「……ええ。ですがお嬢様、今は目の前のことに集中してください。スカンピアにも、あの掲示板に書かれたのと同じように『波』が来ます」


 ヴィオの言葉通り、スカンピアの夜空もまた、王都と同じ禍々しい紫色の光に染まろうとしていました。

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