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婚約破棄された不運令嬢ですが、辺境をダンジョンで開拓しますわ! 〜DEX2の不器用令嬢、LUK999とうっかりミスで借金一億を完済します〜  作者: 海底撈月


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19 目指せ美酒、キノコの森へ出発です!

 蒸し風呂には、私、ヴィオ、ドガンさんの三人がいました。私は【セカンド・チャンネル】で得た情報を共有します。


「買い主がどんな方かはさておき、売れ行きが好調なのは喜ばしいことです」


 ヴィオは悪い面にはなるべく目を向けずに言いました。


「他種族のセンスはわからん」


 ドガンさんはリリア様のドレスの噂に眉をひそめます。


「領地の経営は軌道に乗ったと言える。して、肝心の嬢ちゃんの借金はどうなったんじゃ」


「それが……まださっぱりで」


 私の借金はわたくしごとです。村の収支という公のお金から返すことはできず、減っていないのが現状です。

 村が富めば、村の人は私を助けてくれるかもしれません。が、それはまだ今ではありません。


「ダンジョンができてしばらく経てば、魔法生物に『存在の固定化』という現象が起きる。

 一定期間生きた魔法生物は、魔獣のように倒しても死体が残るようになる。全身を素材として活用できるようになるじゃろう。

 もし嬢ちゃんが大物のモンスターを倒せば、その素材で一発逆転もできんことはない」


 ドガンさんがダンジョンの知識を教えてくれました。大物モンスター討伐! なんとロマン溢れるキーワードでしょうか。私は武者震いします。


「個人資産という考え方はいいと思います。

 お嬢様だけでなく、村人だってお金があれば、それぞれ好きなものを買うことができます。

 給与体系について、村長さんも交えて話し合うことにしましょう」


 ヴィオの意見は素敵なもののように思いました。ものを売るだけではなく、買うこともできるとなれば、流通が生まれます。そうすればいろいろな相乗効果が見込め、生活の質が上がる。村人はきっと喜ぶでしょう。


「わしは金よりも酒が欲しい! 整った後の火照った体に、キンキンに冷えたエールを流し込む……! それこそがドワーフの、いや全知性体の至高の喜びじゃろうが!」


 ドガンさんは目に涙を溜めて力説します。その横で、ヴィオも無言で頷き、持っていないはずのパイプを吹かそうと空を切るという、彼女らしくないうっかりをしています。どうやら、ヴィオにとっても切実な問題のようです。


「では、明日のダンジョン探索は、酒造の妖精を探しに行きましょう!」


 私たちはさらなる発展を求め、翌日の計画について話し合いました。


 翌日。私とヴィオとドガンさんは、ダンジョンの第一層へと赴きました。探すのは森のより深いところ。


 確かドガンさんがユニークスキルで調べてくださったところでは、ダンジョンの構造は基本的に下へ向かって通路が伸びておりますが、道中は枝分かれや合流をしつつ……という形だそうです。第一層は大きな森林エリアの一つだけですが、第二層に相当するエリアは、先日の廃工廠エリアを含めて複数あるとのこと。


「この間解析した感じなら、こっち方面はずっと森が続いておる様子じゃった」


 私たちはドガンさんの案内で、森林の様相を呈すると見込まれる、次なる階層へと向かいました。

 進むにつれて、森の空気が変わっていきました。

 爽やかな森の香りから、湿った土と、どこか甘ったるい発酵臭へ。

 足元の道も、乾いた土から、胞子をまとって白く粉を吹いたような柔らかな腐葉土へと変わっていきます。

 まるで、巨大な生き物の胃袋の中へと進んでいるような錯覚を覚えました。


 はたして、私たちがたどり着いたのは、鬱蒼とした大樹の森と小川のエリアでした。

 私が両腕を広げても抱えきれないほどの太い幹を持つ、年老いた樹の表面には、何種類もの苔が生え、あるいはツタが絡まっています。


 地面は濡れた落ち葉が、分厚い絨毯のように積もっており、うっかりすると滑って転んでしまいそうです。

 足の裏になにかの生き物の気配を感じるのは、空気に混じるのは、土とカビと、それらが醸し出す濃厚な生命の匂いと、視界に入る極彩色たちのせいでしょう。

 太古の石柱を思わせる倒木からは、人の頭ほどもある巨大な棚キノコが何段にもなって突き出し、鉄錆のような赤や、毒々しいまでの鮮やかな紫色に染まっています。


 あちらの岩陰では、まるで職人の手で磨き上げられた瑠璃のような青い傘を持つ光るキノコが、足元の湿った土から無数に生え、微弱ながらも幻想的な光を放っていました。その柔らかな光は、森の暗闇に青い星屑を散りばめたようです。


「まぁ……ここが『キノコの森』ですのね!」


 ここはいかにも、キノコの妖精が住んでいそうな場所です。


「出現するモンスターは、昆虫型が多そうですね」


 言いながらヴィオがナイフを投げました。ナイフが飛んだ先を見ると、大きなムカデが樹皮に突き留めてられており、私は「ひぃぃ!?」と悲鳴を上げます。


「おぉ、イノシシや鹿もいそうじゃ。見てみぃ、泥浴びの跡がある」


 ドガンさんが指さした先には、土色の水たまりがあります。


「動物がいるなら、お肉と毛皮も手に入りそうですわね!」


 新しいお肉が手に入ったら、アニーさんがまた美味しいものを作ってくれるでしょう。私はまだ見ぬごちそうを想像し、お腹が空く思いでした。


 私たちはさらに探索を進めます。道中、ドガンさんの【鑑定】で食べられるキノコや薬草を見極め、収穫しながら、慎重に奥へ奥へと歩みを進めます。


挿絵(By みてみん)

ゼジィのイラストを描いていただきました。


絵師様Twitter

https://x.com/urjr_443

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